第465話 壁画2
俺が剣を置いてある場所から出てくると、全員が結界魔法を突破しようと試みているができないみたい。
「あっ、ご主人さまだ、帰ってきた」とアデル。
「どうだった? 何かあった?」と聞いてきたのはアリシア
「うん、それがね、俺だけが入れる空間になっているみたいなんだ」
「あー、だから入れないのか?」とアレク
「それでお宝は?」とイザベラ
「お宝は本と剣だね」
「え〜、本と剣だけ?」とアレク
「うん、宝石はないよ」残念そうなアレクを横目で見ながら、俺は壁画を見ていたら、先ほどと指差す方向が違う。
えっ、これ、動くの? と思って驚いた。
みんなは気がつかないみたいだ、俺だけに見えるのかな?
今度、指差す方向は、建物みたい。
「この建物は?」とキャサリンに聞いてみる。
「たぶん、神殿だろう言うことですが参考になる本もなくて、扉があるみたいですが、入れないんですよ」とキャサリン
「今まで入ってみようとしても入れないと‥‥‥」
「はい、そうです」
たぶん、俺が鍵なのかな?
神殿へ続く階段を登っていく。30段くらいあるから、結構、高いけど本当に神殿なのか?
でも、作り自体は神殿みたいだな。
30段くらいある階段を登り終えた。
そこには巨大な扉があって、両方に大きな石像が設置してある。
俺は扉の前に立って石像を見ている‥‥‥、それにしても大きいな石像だ、どうして、ここにこんな大きな石像がいるのか、わからない。
石像を見ていたら、両方の石像が動き出した。
「キャア〜」と声を上げるキャサリン。
石像が「選ばれし運命の子よ、1000年の時を渡り待っていた」と話し出したので会話ができるのか?
「誰が、これを作ったんですか?」と聞いてみた。
「あなただ、あなたが過去を救って、その後の私たちを作った」と会話ができた。
「俺が作った?」
「そうだ、あなたが未来の自分に渡すための場所が、ここだ。
これから、あなたは、時間を超越した存在になる。そのために必要なのが時間を超越できる、その剣だ」
俺はベルトに下げている剣を見た。
「この剣が?」
「そうだ、その剣は次元超越剣『セイビアー』と言う。
その剣があれば、あなたは、時間、次元を越える力を手に入れることが可能となる。
ただし剣を持てばいいと言うわけでない、剣に使われるのではなく使いこなせ」
その剣を使って超越できるわけじゃないんだ。
つまり剣の能力で次元や時間を越えることはできないということだな。
しかしダサいネーミングだな、誰がつけたんだろう?
次元超越剣セイビアーのセイビアーって、どう言う意味だろう?
「へ〜セイビアーって格好いいね」とアレク
「そうだね、救世主っていう意味だね」とアリシア
次元を超えてみんなを助けろってことかな?
じゃ、過去に何かが起きるのかな?
過去に行ける能力があるや奴がいるのか、今は過去で大災害が起きるのか?
「ねぇジャネット、1000年前って言ったらわかる?」と聞いてみた。
「そうですね、1000年前には、私たちは、ちょうどアレクやアデルくらいでしたから、あまり動くことができなかった時代なんです」
神獣たちにもわからない時代。
石像が「あなたが作った超越剣セイビアーは、空間をも切り裂いてしまう剣だ‥‥‥」と聞いていたが、後半は、声が違ってきた。
それも俺の声として聞こえる。
今までは石像が喋っていたような重たい声だったんだけど、今は俺の声に聞こえる。
なんだか1000年前に俺がいて、喋っているような声だ。
石像と話をしているときに、俺の頭に何かが入ってきているような感覚に襲われた。
それは1000年以上前の、俺自身の意識だった。
俺が1000年の時を渡り、時間に干渉して歴史を変えることをしている。
どうして、それができるのか理解することは難しいが意識がどんどん俺の中に入ってきている。
しかし、初めは難しかった意識も、俺自身の意識なので、容易く理解することができた。
しかし、1000年前に行くことができた俺自身は、戻ってこれたのだろうか?
まぁ、行くことができたということは、戻ってこれたんだろうと安易に考えた。
俺の知識が全て、今の俺の中にインストールされた。
どうやって1000年前にいったのか、全てわかった。
そして、それをどう使うのかもある程度は理解できたが、あとは使って覚えていくしかない。
過去でも今でも時間の流れはつながっている。それをコントロールできると思う、
そして次元超越剣と言う名がついているわけだから、違う次元にもいくことができる。
あとは石像が言っていたように使いこなすこと、何ができて、何ができないのか、意識が入ってきた時には、そのことは言ってなかったから、自分でやれということだろう。
でも、これで今まで俺がわからなかったことが、わかったから、よかった‥‥‥じゃないよ、今から俺って大変なことをしないといけないんじゃない?
でも世界滅亡が今の時代じゃなく、過去に誰かが言って、厄災を起こすことが原因で滅亡するなんて。
この時代で探したってわからないはずだ。
でも、俺の他に誰が過去に行ける能力を持っているんだろう?
俺の意識は、そこまで伝えていない。
というか、1000年前の俺は、ほとんど大事な部分は伝えてこなかった。
あとは自分で考えたり研究したりやれってことだろう。
まぁ、俺だって、そう考えるからね。
それをしてこそ身につくこともあるから。
しかし城が建て替えられて300年、それ以前に俺が過去にいった事になる。
あとで次元超越剣セイビアーと一緒に置いてあった本を見てみよう。
そして神殿から出てきて、変えようとした時に天井に大きな字で『すべては勇者様の行動するままに』と書いてあった。
まぁ、この場所も一度、訪れていれば、また瞬間転移で来ることはできるからね。
しかし神殿には何もなかった。第一に結界が張っていないということは重要なものはないと言うことだね。
神殿は過去の俺の言葉を、今の俺に伝えるものだと思う。
*
俺たちは地下から戻ってきた。もちろん歩いて。
しばらく地下にいたので明るさが眩しかったけど、悲惨な城の現状が一気に貧しさを消してくれる。
魔族の死体は俺たちが片付けたけど、血が残っている。それを拭き掃除しないと消えないから、多くの人が一生懸命しているけど、全員が俺たちが助けた人なので、俺たちが通り過ぎる時には手を止めて深々とお辞儀をしてくれる。
俺たちは、また歩いて城の上階まで戻ってきた。
王がいる部屋に入ると「それで、地下はどうであった?」と王が聞いてきた。
「地下には被害はありませんでした」とキャサリン姫
「こちらは今はイアンが先頭に立って指示を出している」と王様。
「そうですか、お兄様が‥‥‥」とキャサリン
「多くの人が殺されているみたいでな、生き残りは30パーセントもいない。今は急いで近衛騎士隊を集めているところだ。生き残っていればいいんだが」
「そうですね」と落ち込むキャサリン。
「そして兵士も侍女も文官も激減している。こんな状態じゃ、国の存亡に関わる」
「そうですね」とキャサリン
「急ぎ、近くの領地を持っている貴族から、借りる必要がある」
「でも、馬で走っても時間がっかりますよ」とキャサリン
「勇者様、協力を頼みたい、もちろん冒険者ギルドを通して依頼を出すつまりだ」と王様
「どうすればいいんですか?」
このまま放置して変えるのは、あと味が悪い。
王様は地図を広げて説明する。
「ここと、ここと、ここに我が王族にゆかりの者たちが領地を持っているから手紙を急いで書くから持って行って、そして連れてきてほしい」
まぁ、しょうがないよね。
「三ヶ所ですね」
「そうだ、頼めるか?」
でも、この王様、ちょっと気位が高いのか、話し方が嫌だな。
「でも、俺たちは盟主として国を持っていますので、単独で依頼を受けるには、ちょっと困るんです」と言ってみた。
「おお、これは失礼した、いつもの調子で言ってしまって、申し訳ない」
俺たちは、個人で動くことは可能だけど、1つの国としての依頼は受けられない。そしていくら冒険ギルドを通しても同じだ。
盟主という立場は、加盟国になってもらっている国を蔑ろにできるのもではないし、守る立場と従う立場がある。
まぁ、王さまが頭を下げてくれたから急げばいいか?
「じゃ、今回は特例として、手配します。急いで手紙を3通書いてください」と俺がいうと王様は、手紙を書き始める。
「じゃ、誰がいく?」
「はい、私、行きたい」とエイミー
「う〜ん、ごめんね、ちょっと見た目が子供だから‥‥‥」と言うとエイミーが落ち込んだ。
俺が頭を撫で撫でしてあげると、笑顔になった。
「じゃ、ジャネットとイザベラとエイミー、そしてロゼッタとアリシアとアレク、そしてパトリシアとソフィアとアイリスとコリンのチームでお願いするね。でも魔族がいるか魔族もいるから注意して」
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