第460話 イーノック王国2

俺たちは食堂に入って夕食を食べているところ。姫を守っていた、暗部の二人は魔族にやられてしまった。


もう、あちらも気がついたと思う。


どうするか? 一度、国に戻るか? いや、それはダメだ、火種を抱えたまま戻れば、戻った国に火が広がる。


もしかしてクラーケンも魔族の仕業なのか?


そして勇者のことも、魔族が変装しているのか?


これも世界が滅亡しようとするものなのか?


この国だけでとどめておく必要がある。


俺はイアン王子に「どうしますか?、もう悠長にしている時間はないですよ」と強めに言う。


イアン王子は考えている。


俺が先走って対処するのは簡単なんだけど、この国の王子はイアン王子だ。


イアン「‥‥‥」

キャサリンも「‥‥‥」


考えているところに、護衛に扮した魔族が食堂にドアから入ってきた。


「お客さま、困ります、剣を抜いたまま入って来られては‥‥‥」と店員。


「店員さん、下がった方がいいですよ」と俺。


「あなたたち、剣を鞘に収めなさい」とキャサリン


そんなこと聞くわけない。


二人は、店のドアを通って俺たちの方に歩いてくる。


このままじゃ、店が壊される。


そう考えた俺は、店の外へ全員で瞬間転移した。もちろんイアンとキャサリンも。


俺たちは全員で店の外に瞬間転移したけど、それを察知したのか魔族も俺たちの前、10メートルの位置に瞬間転移してきた。


俺たちと魔族が瞬間転移してきたのを知った周りの人たちの注目を集めている。


「なんだ」

「なんか急に現れたぞ」

「何が起きるんだ」

「喧嘩か?」


「おい、そこの魔族、狙いはなんだ?」


「お前には関係ねえ」と魔族


もう一人の魔族が「俺たちは、そこにいる兄弟に会いにきたんだ」


狙いは、王族か。


「この二人は渡せないぞ」


「お前、なんなんだ?」

「邪魔、すんじゃないぞ」


「この二人は、俺の依頼主だ」


「なんだって? 依頼主?」

「今から死ぬ奴に依頼は出せないぞ。ヒャァハハハッ」


「‥‥‥」


「お前、馬鹿だな、もう、この国は終わりだ」


「なぜ、この国を狙った?」


「あのお方の言いつけだからな」


「あのお方?」


「そうだ、そこまでしか言えないが、まぁ、お前も死ぬから知っても意味ねえよ」


「そうなのか、ほんとうにそうなればいいがな」


「おいおい、俺たちと戦うのか?」


「そうだな、それがいいかな?」


「お前みたいな女の尻に隠れているような奴に勝てるわけねえだろ」

「そうだな、笑わせるぜ、ヒャァ〜ハハハッ」


「それは、どうかな?」と言って俺は異空間から聖剣を出して。


「おい、そのなまくらな刀はなんだ?」

「そんな刀で俺たちを切ろうとしているのか?」


なまくらか、どうかは今にわかるさ」


「あの、クリス様、危険ですから、逃げましょう」とキャサリン


「そうですよ、強そうですよ、キャサリンの護衛が簡単にやられるんですから、クラーケンとは違います」とイアン王子。


「う〜ん、どうだろうな、クラーケンと同じくらいなじゃい?」


「でも、魔族ですよ」と心配そうなキャサリン。


「そうですよ、魔族と言うのは人間よりも強いんですよ」とイアン


「逃げましょう、クリス様」とキャサリン


アリシアが「ねー、どうする?」


「あっ、私、やりたい」とアレク

「あっ、じゃ、私もとエイミー

「二人が参加するなら私も」とアイリス

「じゃ、私も参加しようかな」とアデル


「じゃぁ今回も君達4人に任せようかな」


「うわ〜」と喜ぶ

「やった〜」と嬉しそう


「でもクラーケンの時みたいに遊ぶのはなしだよ」


イアン「あっ、あの時、遊んでいたんですか?」と驚いている。


アレクが「う〜ん、やっぱりご主人さまには、わかるか」

アデルが「もう、だから言ったじゃない」

エイミーが「そうだよ、もう」

アイリスが「今度は遊んじゃダメだよ」


「アイリスの言う通りだよ」と俺


で4人は向かい合うけど、剣を持っていない‥‥‥


「あっ、君たち剣はどうする?」と俺


「えっ、いらな〜い」とアレク

「うん、私も」とアデル

「私も」とエイミー

「みんなが剣を持ってないからいらない」とアイリス


「じゃぁ4人ともがんばってくるんだよ」と俺


「はい、わかりました」

「じゃあ行ってきます」

「うん、がんばってくる」

「大丈夫」


「おい、俺たちを馬鹿にしてんのか?」

「お前たち4人なんか、すぐに殺してやる」


「じゃ、行くよ」と言うと4人は魔族に向かっていく。


魔族は、剣を持って構えている。


「じゃぁ私たち2人は右の魔族を担当するね」とアレク


「じゃぁ私たちは左の魔族を担当するね」とアデル


どうやらアレクとエイミーで右の魔族、アデルとアイリスで左の魔族を担当するみたい。


今、4人は基礎魔法を展開している。


今度は遊びじゃない証拠に、基礎魔法の練度が違う。


クラーケンと戦ったよりも2倍以上、強力みたいだ。


どこまで基礎魔法を強くすることができるのかわからないけど、2倍以上も基礎魔法を展開する事は容易なことではない。


神獣たちが己の能力に過信することもなく練習を続けていた成果だと思う。


「みんな行くよ」とアレクが号令をかける。

「うん」

「やるよ」

「勝つよ」


アレクとエイミーの組みが魔族に襲い掛かる。


まずアレクが魔族に手に強化魔法で一点させ、手刀で斬りつける。


「あぶね」と魔族

「おい、こいつら強いぞ」

「ああ、そうみたいだな」


「俺たちも本気で戦うぞ」

「よしわかった」


エイミーが同じように強化魔法で手を剣のようにして刺す。


エイミーの手刀が魔族の腹に傷を作る。


「く、くそう」と腹を切りつけられた魔族。


でも、あまり幼年組にはいいことじゃないことに気がついて、「もう、そのへんでいいよ」と言ったけど、納得がいかない4人。


「君たちには、まだ、早すぎるよ」と俺。


「もう、仕方ないな」と下がるアレク。


女性たちにも実践経験を積んで欲しいけど、俺が出ることにした。


「‥‥‥」魔族の二人に剣を構えて様子を見る。


俺が剣に魔力を注ぐと、剣が青く光り出した。


久しぶりに使う剣は俺のことを勇者だと認めてくれているみたい。


「なんだ、その剣は?」

「まさか、まさか、ほんとうの勇者なのか?」


「さぁ、それは、どうだろうな?」


勇者の剣は、俺の力を倍増してくれる。俺が剣を持っていると、剣は青く輝きを失うことなく、光輝いたまま。


俺は、剣を構えて突進していく、一人の魔族は俺の剣を避けるために横へのステップを踏んだけど、俺の剣が二人同時に薙ぎ倒す。


一瞬だった。


もう少し歯ごたえがあるかと思ったんだけど。


こんなんじゃ全然だめだ。


もう少し強い魔族じゃないと練習にもなりはしない。


後から拍手がしている「すごい、クリス様」とキャサリン姫

「いや〜、ほんとうに、あの強い魔族にも勝てるんですね」とイアン王子


というか相手にもなっていないんですが‥‥‥


俺はメンバーの方を見ると喜んではいるけど自分たちが参戦できなかったのが不満のような顔をしている。


はじめに戦った4人も完全に不満顔だ。


「今度何かで埋め合わせするから機嫌直してね」と俺が全員に言う。


「もう、肉ですよ」とアレク

「うん、そうだね肉だね」とアデル

「うん、肉がいいね」とエイミー

「うん、私も」とアイリス

「あっ、私も」とアリシア

「じゃ、私も」とパトリシア


全員が、あの店の焼肉が気に入ったみたいだ。


オーリス王国にも、あればいいけど、なければ飛んでくるか?


いや瞬間転移がある。

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