第459話 イーノック王国

この国のイアン王子がメンバーのことを天使か女神みたいだと言っているけど、実際にも、そうかもしれない。


だから最近は、神獣たちだけじゃなく、他のメンバーも魔法力が桁違いに上がってきているのかも。


もう、たぶん、人が相手では、負けないかも。


イアン王子が「あの、クリス様、一度、城に来ていただきたいんですが」


「じゃ、明日、行こうか?」


「そうですね、ほんとうなら今日でもいいんですけど、今日は、もう午後3時ですね」


「そういえば今日は城を見てみたいんだけど、入るのは明日で‥‥‥」


「はい、いいですよ、じゃ、今から行きますか?」


「そうだね、行く人?」と言うと全員が手を挙げた。


宿の人には、城を見物してくるからと言って食事の時間を遅らせてもらった。


俺たちは本当は、飛んでいる時に城は確認しているけど、この二人に案内してもらうことにした。


王都も大きくないので、宿から歩いて1時間くらいで、城が見える位置に到着した。


城の入り口には城門があって、兵士が警備している。


街角の兵士たちからは見えない位置に立ち、俺は二人に地下がどこにあるのか、確認した。


「えっと、地下ですか、地下に行くには、あの城門を通って、左に歩いて行くと外門があるんですけど、そこから中に入って歩いたところに下に降りていく階段があります」


「うん、だいたい、わかったよ」と俺は言って。


「今日は、二人は、どうするの?」と聞くと王子は帰るそうだ。キャサリンは宿を取ったので、宿に泊まるそうだ。


「じゃ、王子、明日ね」と言って王子とは別れた。


俺たちはキャサリンと宿へ歩きながら、遠くから護衛の二人を確認している。


王子も旅の時にいた、護衛が陰ながら守っている。


この国の護衛は、強くて、頭がいいな。


俺たちは宿に戻って食事をすることにしたけど、料理が美味しいといいなと思う。


全員が何も言わないから、俺の行動がわかっているみたい‥‥‥


俺たちは宿に到着すると、街を見ながらゆっくり歩いてきたので、今はちょうど、6時くらいになっているので、そのまま食堂に行った。


まだ、食事している人は多くないけど、俺たちは決められたテーブルについて、待つことにした。


料理を運んでくる女性た二人、熱々で湯気が出ている美味しそうな料理を持ってきた。


俺たちの前に美味しそうな皿に盛られた料理を置いていく。そこで念話で、(料理は食べちゃダメ)と送った。


隣に座るキャサリンには、俺が手で制した。


「えっ、なんですか?」とキャサリンは声を上げたけど、俺が誤魔化して「あ〜のね、食べる前に、聞きたいことがあるんだけど‥‥‥」と食べないようにした。


「もう、せっかく美味しそうなのに‥‥‥」とキャサリン


俺はもう一度、念話で「食事を持ってきた女性の二人は魔族だ」と伝えた。


全員が手を足の上に置いて俺の方を見ている。


あとは、キャサリンだけ。


「ちょっと、俺たち急な用事ができたらから出かけますから、まだ手をつけてないないので料理は食べていいですよ」と言ってキャサリンの手を引っ張って宿を出た。


ここでは他の人もいるので戦うわけにはいかない。


俺に手を引っ張られて宿の外に出てきたキャサリンは、早速「もう、クリス様、私、お腹減っているんですよ」と強めに言ってきた。


「死にたければ、どうぞ」と俺


「えっ」と言いながら、口をポカンと開けているキャサリン


検索魔法でサーチを行うと、物置に二人の店員が死んでいる。


しかし魔族は、俺たちがたまたま、用事で出て行ったと思って宿から出てくる気配もない。


俺たちは部屋に瞬間転移して、荷物を持ち出す。もちろんキャサリンの荷物も持ち出す。


そこに護衛が現れた「クリス様、いかがなさいました?」


「あの宿にいる従業員たちは魔族に変わっている」というと、護衛の人は、すぐさま「姫様をお願いできますか?」と言って俺が了承すると、すぐに二人は動き出した。


手練れの護衛の二人は、まず、宿に潜入して確認すると思う。


俺たちは、キャサリンを任されたわけだから、宿から離れる。


宿から離れて、レストランを見つけて入ることにした。


注文が終わると、アリシアが「よく気がついたね」と言ってきた。


「やはり、俺には魔族は匂いすぎるんだ」


「え〜、私、気が付かなかった」とイザベラ


「私も」とソフィア


「私もわかりませんでした」とシャーロット


「私も」とセラフィーナ


ジャネット「私もわかりません」


「じゃ、感じるのは俺だけ?」


全員が頷く


どうしてなのか理由はわからないけど、俺だけ匂いを感じるみたいだ。


「あんなに美味しそうに見える料理に毒が入っているなんて」とキャサリン


「美味しそうに見えても毒が入っているかは、見た目は関係ないからね」


「あの料理を一口でも食べたら今頃、死んでいるよ。でも、毒入りは俺たちの皿だけみたいだよ」


「俺たちを狙ったのか、キャサリンを狙ったのか、わからないけど‥‥‥」と言いながらキャサリンを見る。


「たぶん、私かも‥‥‥」と言いながら顔が真っ青になる。


「そうかもね、たぶん、城にいる勇者は魔族だね」


「ということは、王女を暗殺しようとしたと言うこと。そうだね王子にも言っておかないと」と言って眉間に一本、指を当て、検索魔法を起動させる。


そして俺が瞬間転移していないのに、空いている椅子に王子が現れた。


「!、えっ‥‥‥」と何がなんやらわからない様子。


「お兄様‥‥‥」


「あっ、すいません、連れがきたんで、同じものを、もう一つお願いします」


「えっ、いつ来られたんですか?」と店員さん


「えっ、今ですけど」


「気が付かなくてすいません」と言いながら疑問符を浮かべているから、頭を捻っている。


まだ、王子様は、口をポカンと開けている。


「えっ、俺、城にいたよね‥‥‥」


「私がお連れしました。すいませんが俺は魔法使いですから、ある程度のことはできるんです。危険があったので、お連れしました」と俺


「いや〜、何もわかりませんが、ありがとうございます‥‥‥??」


キャサリンが「お兄様がお城にいては、危ないとクリス様が、こちらに呼んでくださったんですよ」


「お城にいると危ない?」わかっていない王子に説明する。


「今、俺たちも宿で食事を取るところだったんですけど、毒が入っていましてね、それを確認したら、どうも入れたのが、宿で働いている女性だとわかったんですよ」


「なるほど」と王子


「それで検索魔法で、あなたを確認してみると城にも大勢の魔族がいるとわかったので、あなたが魔族に殺される前に強引に、お連れしたと言うことです」と説明した。


「でも、強引ですね」


「そうですね、自分でも、そう思いますけど、あなたの身を守るためです」


「でも、そんなに多くの魔族が城にいるんですか?」


「はい、半数の人が、魔族になっています」


「半数?」


「はい、半数です、あなた方の父親も魔族ですね」


「えっ、お父様が?」

「ええっ、父上が?」と、驚いている。


それでは、魔族に代わられた人は‥‥‥」


「はい、死んでいます」


「まぁ、徐々に魔族に代わって国を乗っ取るつもりでしょうね」


「まぁ、怖いこと」


「そ、そんなことが起きていたなんて‥‥‥」


と話していたら、料理が来た。


念話で「全員に警報、早く食べて」と伝えた。


「王子様、お姫様、お早くお願いできますか?」


「何かがきているということですか?」と王子


「はい」


「この場で申し上げるのは、なんですが、姫の護衛の二人がやられました」


「ええっ、あの者たちが‥‥‥」


「はい」


「あの者たちは、暗部でかなり強い方ですが、それでもダメですか?」


「そういうことですね」


今は、魔族は俺たちの行方を探している。

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