第458話 伝承

俺たちはイーノック王国に伝わる伝承を聞いた。


俺のことを、良く見抜いた伝承だな。まるで見ていたようなことを言う。


俺が悪の大魔王になるか?


俺もアリシアが殺されたり酷い目に遭うような状況があると、世界を破壊するかもしれない。


えっ、もしかして俺が、そうなることが前提で世界が滅ぶの?


俺が見たのは、その未来予知なのか?


でもアリシアと全員を守り切れば問題ないわけだし‥‥‥


でも、さっきに伝承の言葉にあったように、不安な気持ちはある。不安な気持ちを、女性たちがいることで、どれだけ救われていたか。


でも、今まで全然、出てこなかったことが出てきた。それが救世主だ。


今まではステイタスで確認しただけで、なんのことやらかわからなかったけど。


でも救世主って、戦うイメージはないような‥‥‥戦うなら勇者だよね。


キャサリンが「あっ、お城の奥に、洞窟があって、その部分に壁画が残っているんですけど、そのにも勇者様の顔が書いてあるんです」


「えっ、俺の顔?」


「はい、お城は壁画を守るために建てられたって教えられました」


「へ〜、そうなんだ」


「キャサリン、お城はいつ建てられたの?」


「え〜とですね、確か300年前に今のお城になったんですけど、その建てかえられた時にも洞窟の壁画はあったそうです」


「ということは、300年以上前からあったということになるね」


「はい、その通りです」


「じゃ、300年以上前から俺が勇者になることは決まっていたということかな?」


「そうなりますね。うちのお城には、その洞窟の壁画や書物も多く残されているんですけど、ほとんど勇者関係ばかりなんです」


「壁画だけじゃなく、本まであるということ?」


「はい」


「その本には、なにが書いてあるの?」


「その本には、勇者物語に書いてあることが、そのまま、書いています」


「えっ、コリンが書いた本、そのままが書いてあるということ?」


「はい」


「えっ、でも、本はコリンが初めて出版したものだよ。それが300年以上前にあるって、どう言うこと?」


「それは、わかりません」


「あっ、そうだよね」


俺は全員を見渡す‥‥‥けど、全員に見られている‥‥‥


「300年以上前からの伝承かぁ? なんだか、突拍子もないような話だね」


アリシアが「もしかしてさぁ、クリスが時を渡るとか?」


「えっ、いや、そんなことできな‥い‥よ‥‥‥いや、待てよ、できるのか?

やったこともないから、できないと決めつけるのはおかしい。

できる前提で考えるべきか?」


もし、時を渡ることが可能ならば、アルベルトの時代も変えられるかもしれない‥‥‥そしてライラも‥‥‥


多分、今の俺の能力があれば戦争もなかったことにできる‥‥‥。


いや、そんなことができるのか? でも、もし、できるとしたら過去に干渉して現在に影響がないのか?


たぶん、俺の能力からしたら、考えれば可能だろう。


あとは教えてくれる人もいないから、研究するしかないけど、そうするとウルフの奴が言っていた、奥さんと家庭崩壊の原因もわかるし、アリシアの両親が殺されることもなくなるかも。


「   クリス様‥‥‥」 と言われて考えることをやめた。


「えっ、なに?」


「もう、さっきから呼んでいるのに」キャサリン


「あっ、ごめん考えことをしていた」


アリシアが「クリスが、考えことをしている時には邪魔しない方がいいよ」


ジャネット「そうですね、ご主人さまは考えている時には、待っていた方がいいですよ」


「あっ、そうなんですね、ごめんなさい」とキャサリン


「いや、もう、いいけど。考えていたのは時を渡ること。と言ってしまえば簡単なことのように思えるかもしれないけど、時間を超えることになる」


「時間を超える?」とアリシア


「うん、そうだね、時間を超える、または時間を超越する」


「時間の超越?」とソフィア


「うん、できるかもしれない‥‥‥」


「えっ」とイザベラ


「今まで、必要じゃなかったから、しなかっただけで、俺には、その言葉を聞いたらできるような感じがしてきた。あとは、どうやればできるかだよ」


「なんだか、クリス様って神みたいですね」と言われたけど、誤魔化して


「そうかな?」とだけ答えた。


「でも、本当に、どうして俺の顔がお城の奥にあるんだろう?」


「本当に不思議ですね」とシャーロット


「私のところにもあればよかったな」とセラフィーナ


「あっ、私も、そう思いました」とシャーロット


「ねぇ、そうしたらクリス様が、来るのに」とシャーロット


「ねぇ、キャサリン、お城の壁画みることができる?」


「はい、いいですよ、と言いたいんですが、見てもらうためには、助けてもらわないと」


「あっ、そうだったね。詳しく話してくれる?」


「お城に勇者だと名乗る人たちがいるんですよ、お父様が、その人たちのことを勇者だと、どうしてかわからないんですけど、信じ込んでしまって」


「へ〜、そうなんだ。じゃ、行ってみようか?」


「あっ、ちょっと待ってください、お兄様を待たないと‥‥‥」


「あっ、そうだったね」と話していると、ドアをノックする音が聞こえた。


「キャサリン様、王子が到着しました」と警備の人が言ってきた。


そして王子が入ってきた。


「お兄様、こちらが本物の勇者様です」とキャサリン


「うん、わかっている。どうも、私が、この国の王子のイアンと言います。勇者様、船では助けていただいて、ありがとうございます」とイアン


「やっぱり、あの船に乗っていたんだね」


「はい、一瞬ですが、目が合いました」とイアン。


「えっ、知り合いだったんですか?」とキャサリン


「いや、知り合いじゃなく、目があっただけだよ。ねぇ、イアン」


「そうだよ、キャサリン、勇者様を探しに行って、探しても見つからないから、帰ろうかと思っていたら、、あったなんて、本当に不思議な縁ですね」


「俺を探していたの?」


「はい、情報を頼りに、色々、お探ししました。でも、偽情報ばかりで、もう帰ろうかと船に乗っているところを、通りがかったクリス様に助けていただけるなんて、幸運でした」


「そうだね、あのままだったら、たぶん、今は、海の中?」


「え〜、そうなんですか?」


「うん、クラーケンが現れてね、クリス様に助けていただいたんだよ」とイアン。


「いや、俺じゃなく、こちらの4人が船を助けたんだよ」と言って4人を前に押し出す。


「君たち、本当にありがとう」とイアンは全員に握手を求めている。


「いや、ご主人さまの命令だし、自分達がやりたいって言ったんだよ」


「いや、それでも、君たちがいなければ、本当に船は沈んでいた、ありがとう」と頭を下げた。


「いえいえ‥‥‥」とアレクが照れている。


「私たちも、ご主人さまが進めてくださったから自信を持って倒すことができました、お礼ならご主人さまにお願いします」とエイミー


「でも、実際にクラーケンを倒したのは、君たちだよ、この恩は一生、忘れないよ」とイアン。


「こちらこそ、そう言っていただけると、嬉しいです」とエイミー


「クリス様、すごいメンバーをお持ちですね、しかも全員が神秘的な美しさを持っておられる」とイアンが全員を見渡す。


「お兄様、失礼ですよ」とキャサリン


「いや、ほんとうのことだよ」とイアン


「もう」とキャサリン


「勇者物語に出てくる勇者様とメンバーの方々には憧れを持っております。キャサリンから聞いたと思いますが、城にはクリス様が書かれている壁画があります。そしてメンバーの方々も書かれていますから女神か天使だと思っておりました」


「そんな女神だなんて‥‥‥」とソフィア

「天使だって‥‥‥」とアリシア、全員が嬉しそう。


「皆様、お会いできて嬉しいです。幼い頃より聞き及んでいた人たちに会うことができるなんて」

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