第422話 魔法の鏡6

俺たちは休憩をしてトイレに行ったり軽い食事をすることにした。


以前、ブラッドフォード大公国の屋敷がある温泉街で買ったものを出して食べることにした。


俺は鏡に結界魔法を使っているので、今は、鏡も見ることができずに透明な結界魔法じゃなく、灰色の結界魔法を使っている。


一応、鏡は俺が監視しながら食べている。


普通は食事するときには、丸くなって食事をするんだけど、今回は全員が鏡の方を向いて食事をすることにした。


結界魔法で攻撃は防いでいるし、見えないようにして、音は結界魔法で防音処理を施したから、見えもせず、聞こえもせず、攻撃もできないけど、安心はできない。


油断大敵だ、俺は油断から以前、殺されているからな。


食事を終えて、休養をとって、「さぁ、行こうか?」と俺が言うと全員が立ち上がった。


それは自分で張った結界魔法を解除しないで、俺たちが入れるようにした。


「じゃ、また、頼むね」と言って、俺が魔法の鏡の魔力を注いで、鏡の中を確認する。


そして、今度は、俺から鏡の中に入っていくことにした。


俺が入り、ジャネットが続いて、ロゼッタ、パトリシアと入り、最後はアレクが中に入ってくるけど、俺が入った時点で、中にある鏡は見える範囲は、結界魔法で覆って灰色にして音も遮音した。


これで奴が攻撃しようとしても、攻撃が自分に返ってくることになる。


多分、奴が攻撃すると鏡が割れるんじゃないかと思う。


俺たちが魔法の鏡の中に入ると、以前とは、また、中の形が変わっている。今度は鏡の数が、先ほどよりも少ないように見える。


この差は、どうしてだろう?


何が鏡の中を変化させることになるのか、ウルフが操作しているのか? わからないな。


もしかしたら、何かの作用で自然と変化するのか。または真っ暗な部屋には光は刺さないから、それが影響して、この空間に出るか、出ないか決まるのか?」


俺たちは、中に入ってきて、索敵魔法で探ってみたら、ウルフの反応がある。


俺たちは、その方向に向かうことにした。


先に進めば、進むほど、鏡が多くなり、全ての鏡に今までしたように結界魔法で覆い灰色にして遮音した。


「ガチャンッ」


俺たちの後方に、大きな音がした。


多分、奴が攻撃しようとして鏡が耐えられなくなり、壊れた音だ。


俺は予想していたので、振り返ることなく、前へ進んでいく。


「パリンッ」


また後方で音がした。音は先ほどよりも大きい音がしたので、大きな鏡が割れた音だと思う。


俺が覆った結界魔法で、奴は攻撃できないから、イライラしだす頃だ。


念話で(ウルフがイライラしていると思うから、注意して)と伝えた。


俺が異変を感じ取って手でみんなを制した。


前方から瞬間転移してくるやつがいる。


当然、ウルフだろう。


「ウルフだ」と大きく叫んだ。


「全員、戦闘体制」と大きく言う。


ウルフは、俺に向かって突っ込んでくる。


ウルフは、俺に向かってきながら、剣を構えている。


俺も奴に習って剣を異空間から出す。


奴と俺の剣が交差する時に、大きな「カキンッ」と大きな音が響く。


すれ違いながら、お互いが振り返り、剣を構え直しながら対峙する。


俺はウルフにアイススピアを放つけど、ウルフは剣で当てて弾き落としてしまう。


横からジャネットが水魔法で ウォーターボールで攻撃する。


「チッ」とウルフが舌打ちしながらウォーターボールを切り捨てる。


ウルフが、ファイヤーボールを出そうとするけど、今度はジャネットが、同じウォーターボールで消してしまう。


俺たち5人でウルフを囲うように圧力を加える。


俺が、結界魔法でウルフを捕縛することを狙うけど、寸前のところで交わしてしまった。


同じ手は、そう簡単には、引っかからないと言うことか。


「おい、ウルフ、今度は何人くらい人を殺したんだよ」


「お前には、関係ないだろ?」


「いいや、あるぞ、お前がお城の研究員に憑依して、悪さをしていたことはわかっているぞ」


「お前、来るのが早すぎるぞ、せっかくの計画が途中でダメになったじゃないか」


「やっぱり、ウルフが犯人なのか!」


「あんなことする奴は俺様しかいないだろう、綿密な計画だったのに、それを潰しやがって」


俺は話を切り替えることにした。


「ウルフ、この鏡の空間は、お前が作ったのか?」


「俺様が作れるわけねえだろ。あの お方がお作りになったんだよ」と勝手にウルフは頭が足りないから喋ってくれる。


「そうか、あのお方が関与しているのか?」


「おっと いけねえや、話をするのは、ここまでだ」とウルフ


「さぁ、俺とお前は話をする中じゃねえよな、殺し合いをする中だよな」


「そうだな、所詮、水と油だからな」


ウルフの奴が、ドス黒いオーラを纏い出した、ここからが本番だ。


多分、ウルフが本気を出し出すとオーラが黒くなっていくと思っていた。


ウルフの奴が何かするつもりなのか、時間稼ぎをしているのか、わからないけど、、大抵は、こう言う時は時間稼ぎの場合が多いから、俺は、手を振り抜くことで発生する風魔法のウィンドカッターを奴に放って見ることにした。


しかし、普通の風魔法のウィンドカッターで様子をみたいために使ったので、簡単に奴は、同じウィンドカッターを使って相殺した。


奴の体から発生するオーラが目で見ても黒く、暗く、濃くなっていくのがわかる。


オーラが漆黒のような、墨色のような色になっていき、顔まで変わり始めた。


「おい、犬」と言ってみた。


「馬鹿野郎、俺は狼だ」と返してきた。


まぁ、もちろん、わかっているけど‥‥‥言ってみただけ、面白いから。


そう考えていると、奴は手にドス黒い魔力を持っているけど、これがなんなのか、わからない。


しかし鑑定ができることを思い出してみてみると、見たまんまのものだとわかる。


俺を体に受けると、どうなるのか、さっぱりわからないけど、受けて見る気はない。


普通の魔力であれば、吸収することもできるけど、あんな汚い魔力は吸い取りたくない。


俺は、ここで以前、習得した限界突破を実践で使うことを選んだ。


限界突破で使うのは聖属性魔法だ。


限界突破を使うイメージをすると、すぐに俺の体から金色の光が発生しようとするけど、評判が良くなかったので、光は体の中に抑えて最高レベルの聖属性魔法を使うことにした。


ウルフが手に持っていたドス黒い魔力が霧散してしまう。


「!、くっ‥‥‥」と言ってウルフは立ち止まった。


再度、ドス黒い魔力を発生させようとしているけど、すぐに霧散してしまう。


「お前、何をした?」


「何もしていないぞ」と俺は嘘を言った。


と言ったら急に動き始めてウルフは剣を構えて切り付けてきた。


俺は咄嗟に剣を構えて、奴の攻撃を受けるけど、すぐに跳ね返した。


奴の体内から、手が出てきているから‥‥‥


どの手もドス黒い魔力を帯びている。


やばかった、でも、俺の聖属性魔法を今も発生させているから、すぐに消えて行ったけど、気味悪いからな。


これも限界突破のおかげで、奴のドス黒い魔力に対抗できると確認を得た。


光あるところに影あり、か、よく言ったもんだな。


「グルルッ」ってウルフが唸っている。


まさに狼の声


俺は、聖属性魔法を使いながら、奴の懐に潜り込み、そこに雷魔法を使う。


ウルフが雷を浴びて「グアアァァー」と大きな声で叫ぶと、一気に燃え上がった。


ウルフは床に転がりながら、苦しそうな声をあげる。


「グアアァァーーーーーァ」ともがいている。


俺たちはウルフが苦しそうにもがいているのを見ていたら、俺が結界魔法で覆っている鏡が爆発的な光を発して目をつぶれるくらい膨大な光だ。


「なんだ?」


そいて、俺は腕で目を覆いながら見えたのは、手だ。


そう鏡から手だけが出て、ウルフの体をふわりと浮かべて、鏡の中へひきづり込んだ。


「!、待て」俺が叫んだ時には、ウルフの体が鏡の中に消えた時だった。


「‥‥‥」


全員が今、見たことが信じられないように、目を大きく開いて、口をポカンと開けて鏡を見ている。


「くそっ、一瞬だが、手が見えたけど、ウルフの仲間の存在を忘れていた」


そう、ウルフは生死はわからないまま、仲間に連れて行かれた。


「くそ、やられた」と俺は床に手をついた。


せっかく追い詰めたのに‥‥‥


まさか、あそこであわられるとは‥‥‥

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