第419話 魔法の鏡3
アデルのお菓子をかじる音に中断されたが、俺は話を続ける。
「お城にいた研究員は、目星をつけていたんですが、逃げられました。
忽然と消えて、検索魔法でも、どこにいるのか、わからずに、住んでいる家には家族もいたんですけど、家に行って聞いたんですけど、そんな人いないって言われました。」
「もしかして、それがウルフと言う奴なのかね」
「はい、そうだと思います」
「ここ数ヶ月に考えたことが、すべて一つにつながったと思います‥‥‥」
「そ、そんなに厄介な奴が相手なのか?」
「そうですね、俺たちは伊達に、いつも稽古しているわけじゃありませんから」
そこにメンバーに、応援にきた兵士が到着したと言ってきたので、瞬間転移でここに来て、と告げた。
すぐにメンバー全員が、現れる。
「今から鏡の中のことを、説明するから、全員、聞いていて」
「うん、わかった」とアリシアが代表して答える。
「 鏡の中には、数えきれないくらいの鏡があるんだ。
鏡の中は空間と同じように、一面が白い空間で、その中に鏡があって、形はさまざまな形をしている。
大きい鏡もあれば、小さい鏡もある、それを魔力を注ぐと、裏からもみんなが何をしているか、見えることになる」
「そんな、じゃ着替えているところも見えていたかも?」とエレノア
「うん、そうなんだ。
鏡の世界は、どこにでもつながっているから、多分、この星にある鏡は、すべてつながっているみたいな鏡の多さだった」
「もちろん、鏡には同時に見ることはできないと思う。
しかし、気になる人物が入れば、その人を監視したり、寝静まった後、襲うことは簡単だよ」
シーンとなってしまった。
「もちろん、お風呂にも鏡があれば、どうなっているか、わかるよね。
実際に、魔法の鏡の中では、鏡を覗いてみると、着替えていた人もいたよ」
「だから世界を覗き見ていたわけだよ、ウルフの奴は」
「許せませんね」とセラフィーナ
「その通りだよ」
「それで、どうやってウルフを捕まえればいいんですか?」
「それは、正直なところ、まだ、わからない
何せ、俺も鏡の中は初めてだからね。
それを相談するために、集まってもらったわけですよ」
「なるほど」と王様。
「みんな意見を言ってくれるかな?」
「う〜ん、難しいよね」とソフィア
「うん、難しい」とアリシア
みんな黙ってしまった。
「結局は、鏡の中に入って対処するしかない、と言うことかな?」
「そうなるよね」
「でも、鏡の中に入るためには、鏡がないと入れないし、出れない、鏡の前までは瞬間転移することができるけど。
あっ、思い出した、ちょっと皆んなの手荷物に鏡があれば出してくれる?」
「あっ、そうだった」と言って全員が立ち上がった。
しかし、立ち上がって部屋から出て行こうとしたけど、立ち止まった。
そして全員が降り向いて俺を見ている。
「??? どうしたの?」
「あの、クリス、皆んなの荷物、クリスが持っているのよ」
「あっ、そうだったね、ごめん、ごめん、うっかりしていた」
「もう、しっかりしてよ」とアリシア
「なんだか、俺も初めてのことだから、気が回らないよ」
「そ、そうだよね、鏡なんて、本当に予想外だもの」とソフィア
「本当よ、まさか鏡だなんて」とイザベラ
「そうですよ、皆さん、クリス様だって人ですからね」とシャーロット
「本当ですよ、かわいそうですよ、皆んな、クリス様に押し付けて」とセラフィーナ
「そうだね、皆んなクリスに頼りすぎだね」とアリシア
「反省、反省」と言いながら俺が出すのを待っている。
俺が全員分の荷物を出す。
最近は、神獣たちも自分でも異空間があるのに、俺のところに持ってくる。
皆んな荷物から鏡を探し出す。
「あった」
「私も」と言う声がしているけど、結局は小さいのも入れて、24個の手鏡があった。
これを、どうするのか、と言うと空気をなくして、空気を通さない結界魔法で覆う、そしてタオルを巻いていく。
空気がなければ音も声も聞こえない、そしてタオルで覆えば見えないから、それで異空間に入れておく。
さらに全員分の荷物を、もう一度、異空間に入れる。
俺は荷物運び?
まぁ、そんなことを王族の二人に見られていた。
「王様、どうしますか?」
「それは専門の貴殿に頼みたいんだが」
「さっきも言っていたように、俺も初めてなので、考える必要があるんですよ」
「それは、そうだろう、じっくり考えて構わない」と王様
そんなこと言われても、ここにいつまでも止まるわけにはいかない。
盟主として仰いでくれる国がある。
俺には、その責任が伴っているから。
俺が考えていると「そういえば伝えていなかったと思うが、クリスどの」と言い出した。
俺が考えをやめて顔を上げると「我が国も、ぜひ、同盟に入れてほしい」と言い出した。
「えっ」
「いや、貴殿たちのことは、前から聞いていたし、本に書いてあることが、どこまで真実かわからなかったのでな。
貴殿たちの情報は、一般人である我々には、本当に信じられないことばかりなのだ」
「そ、そうですか?」
「それを確かめるためにも、一人残った国の後継であるエレノアを旅に出させたわけだ
ここにエレノアがいることさえ、奇跡と言ってもいいと思えるほどだ。
それ以上に、生ける伝説の勇者が、本当にいたと言う事実をエレノアが持って帰ってくれた」
えっ、生ける伝説の勇者って、俺のこと?
「勇者物語の第一版には書いてあったが、なんでも貴殿はオーリス王国の王族暗殺事件を解決して、能力を認められたと記してある。
その活躍ぶりは、本当に、我々でも憧れと希望を思い描いてしまった。
しかし、なにぶん、本に書いてあることが事実なのか、理解できないほど、魔法の力を有していうと書いてあり、そんなことは信じることができなかった。
しかし、ここに、勇者としての統率力とメンバーの信用度も大きく、何かあった時には、中心として動き、また、我が国も麻薬の被害から貴殿は救ってくれた。
これが国家的なことではいと言えるか?
我は、どうすれば、貴殿に報いることができようか?
屋敷は、当然だか、それだけでは少なすぎる、もちろん我が国も貴殿の行いの報酬は用意する。
しかし、貴族連中でも勇者の人気は高くてな、抑えきれんのじゃ。
貴殿は、貴族には、興味がないと書いてあったが、我が国の他の国と同じ公爵として、なってくれんか? 頼む!」
と言って王様から手を合わせられた。
俺はメンバー全員の顔を見るけどを、アリシアが最後に頷いた。
「ええ、俺でよければ貴族になります」と答えた。
「おお、そうか、よかった」
「お父様、よかったですね」とエレノア
王が続けて話す
「そして海があるから離れているが、ぜひ貴殿の考えている同盟に入れてほしいと思っている」
「えっ、同盟ですか?」
「そうだ、国家を超えて、色々な行事をしたり、最終的には不可侵条約なども考えて行こうと思う。
ここは、貴殿の国がある大陸とは、違うが、大きな大陸だ。
この国を足がかりにしてほしい」
「そ、そうですか、それは他の加盟国と協議する必要があります」
「うん、わかっておるよ、本にすべて書いておるからな」
へー、本に、そこまで書いてあるんだ、すごいなコリンは。
ちらっとコリンをみると、恥ずかしそうに下を向いている。
本当に本は偉大なり、なんだ。
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