第403話 麻薬
俺は聖魔法で麻薬を体内から、取り除いていく。
聖魔法を使っている時に、レイチェルが食べながら時々、俺をみている。
「クリス様は、本当に苦労しますね」とレイチェル
まだ、抜いている途中なので俺が答えないでいると
「えっ、なんことです、神レイチェル」とアリシア
レイチェル「今、クリス様は、あなたたちの体内にある麻薬を取り除いているんですよ」
「えっ、麻薬?」とソフィア
「そうです、ボールドウィン王国で飲み食いしたものに麻薬が微量ですが含まれていたみたいですね」
「前に伯爵領であった麻薬ですか?」
「はい、そうですね」
「誰が犯人なのでしょう?」
「それは調査してみないとわかりませんが、みなさんの体内に入っていることは事実ですね。
みなさん、もう少し、そのままで待っていましょうね、もうすぐ、終わりそうですから」
「‥‥‥」
どれくらいの時間が流れたかわからないけど、全員の体内から麻薬成分を完全に除去できた。
俺が目を開けて顔を上げると、またまた、全員が俺の顔を見ている。
なんだか、こんな場面ばかりだな。
「えっ、なに?」
「もう、クリス言ってよ」
「えっ、なにが?」
「私たちの体内に麻薬が入っているって、レイチェル様が教えてくれたよ、それをクリスが今、取り除いているって」
俺はレイチェルの方を見て、『しゃべったな』と思ったけど、レイチェルから念話で、『美味しい料理のお礼ですわ』と言われた。
「うん、ボールドウィン王国の料理が美味しくなかっただろ、それで考えたんだ、麻薬のことを」
「うん、その点は言えるね、本当に美味しくなかったから」
「多分、国中が汚染されていると考えたほうがいいと思う」
「 さぁ、どうしようか? 」
「 放って置けないよね、エレノア姫もいるし 」
「うん、そうだね 」
「じゃ、食事したら、また、戻ろうか?」
「そうね」
もう食べるものはテーブルの上に乗っていなかった。
俺は出されたコーヒーを飲んで、お腹を満たしていく。
*
俺たちは食堂で熱々の料理を多めに作ってもらって、異空間収納に入れて瞬間転移することにした。
結局はレイチェルに神の話を聞くことはできなかったから、今度、温泉に招待した時に聞こうと思う。
裸の付き合い?なんて、馬鹿なことを考えても‥‥‥妄想に走ることはなかったよ。
俺たちは、ボールドウィン王国の前に借りた部屋に瞬間転移してきた。
ここから帰ってきたのも1日ぶりな感じだけど。
そして部屋の扉を開けて、通路を歩いている人に、王と宰相と姫に会えるか確認してもらうために、扉を開けて、目の前に歩いていた人に、面会を頼んだ。
俺たちが部屋で待っていると、しばらくすると10人くらいが部屋の中に入ってきた。
本当は俺たちが、出向こうかと思っていたが、来てもらえて助かった。
「クリス殿、どうしたのだ、帰って、すぐに‥‥‥」
「まずは王様、椅子に座ってください」と言ってメンバーを立たせて、王と宰相とエレノア姫に座ってもらった。
他の人は立っている。
「ハッキリ言いますが、みなさんは麻薬に体を汚染されているみたいですよ」
「な、なに?」
「麻薬です」
「わしは、そんなものやっていないぞ」
「いいえ、たぶん、水からだと思いますが、ここの井戸はどこにありますか?」
「井戸は、城には7ヶ所あり、そこから、全て賄っておりますが」と宰相
「地図で、城の井戸を示してください」
俺が宰相に言うと宰相は「おい、拡大した地図を持ってきてくれ」と大声で言って、文官が走って部屋を出て行った。
すぐに文官が大きな地図を持って部屋に戻ってきてテーブルの上に広げる。
王と宰相と姫も、地図を覗き込むようにしてみている。
俺たちも位置を把握するため、地図を覗き込む。
その地図に宰相が井戸の位置を刺してくれる。
「ここに一つ」と言うと、俺が「ジャネット、頼める?」と言うと
ジャネットは、すぐに瞬間転移して部屋からいなくなった。
‥‥‥と言う感じで、お城だけ七ヶ所の井戸をメンバーで確認してもらう。
瞬間転移して行った神獣たちが、戻ってくると、全員が麻薬に汚染されていると説明した。
「王様、井戸の使用を止めてください」と俺が言うと
「わかった、おい、クリス殿の指示通りしろ」と宰相に指図した。
宰相が出ていき、他のものや調理場でも、ストップがかかるし、食堂でも、これ以上は食べるな、と言う指示が出される。
また、お城の中にも溜め水があるので、使用を控えるように大声が、あっち、こっちで聞こえる。
「王様、近くに川がありますか?」
「ああ、川なら、数キロいったところにある」
「俺は騎士や兵士に言って、馬車で水を汲みに行ってくれ」と伝えて人が動き出す。
「次に、川から汲んできた水を、予備があれば、それにためること、そして容器がなければ、汲んできた水で洗ってから、使うようにしてもらいたい」と指図を出す。
エレノア姫が「まさに勇者物語の中で伯爵家で起きたことと、同じだわ、格好いい、クリス様」
俺はエレノアの言葉を気にすることなく、わかっていることを指図する。
今、すぐにでも必要なものは、水の確保と運搬だ。
幸いに水は近くの川から取れるけど、汚染も確認する必要があるから、神獣たちが上空から飛んで、川に急行してもらう。
圧倒的に機動性が違うから、神獣たちの行動は早い。
一度、行っておくと、あとは瞬間転移できるから。
川の水源まで行って確認したり、王都から一番、近い水を汲めそうな場所まで、行って麻薬の汚染を確認すると、念話で川は『異常なし』と言う報告が入るから、それを王に伝える。
水汲みの馬車が到着するまで、見張りをすることも忘れていない。
近いというから、数時間で馬車は到着して、兵士を待機させることになると思う。
その時は、神獣たちには帰ってきてもらう。
以前、伯爵の土地で起きた麻薬汚染と同じだけど、これだけ多くの麻薬を井戸の中に入れることができるのは、城の中に勤務する奴だけだ。
オーリス王国から、ダイラス連邦に行く途中、立ち寄った街で起きたことを思い出す。
俺は、城の水脈を確認する。
以前だったら、近くまで行かないとできなかったことだけど、今は城の中から全体の水脈を確認することができる。
「王様、邪魔にならないところに井戸を掘っていいですか?」
「えっ、できるのか?」
「はい、仮に井戸を掘ろうと思いますが、近くに掘ると汚染された水が出ることもありますから、しかし、掘っても水脈がないと井戸には水は出ませんから、それを考えて早急に対処したいんですが‥‥‥」
「それは現場で確認しながら、やってほしい」
「はい、わかりました」と言って残っている神獣たちに頼んだけど、残っているのは、アイリスとエイミーしかいなかった。
「エイミー、アイリス、君たちに頼める?」と俺がいうと
「もちろんです。アイリス、いきましょう」と言って二人、手を繋いで瞬間転移していった。
「新しく掘る井戸に警備を置いてください。できたら二人以上」
「わかった、しかし、さすがだな」
「いえ、以前、経験がありますから
ちょっと研究室をお借りできませんか?」
「どうするのだ?」
「体内から麻薬を出す薬を作ります」
「おお、そうか、そんなことまでできるのか、わかった、ついてきてくれ」
王は小走りに走り出すけど、別に走るほどでもない距離に研究室はあった。
俺が作るのは、なんでもいいけど、それを飲むと麻薬成分を体内から除去できるもの。
要は魔法で除去できるんだから、その効果を体内に入れても安全なものを用意して、それに魔力を混ぜればいい。
しかし大量に必要だ、
以前は、伯爵領だったけど、今は王都全体の汚染だから。
人数も規模も桁が違う。
本当は俺たちは、冒険者なんだが、魔物討伐とかが、本職なのに‥‥‥ハァ
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