第400話 ボールドウィン王国と帰還
いつまで待っても魔物が出てくることはなく、検索魔法でサーチしても反応はない。
俺は魔法通信で、盟主の加盟国に連絡をとってみたけど、事件は起きていないと言うことだった。
足止めに使われたかと考えたけど、情報がないからわからない、瞬間転移ができるから、すぐに戻ることもできる。
今、王都は魔物に壊された建物を修復していたり、塀を作り直したりしているとことだ。
しかし、警備体制は以前のままだから、維持する必要があるので、徐々に兵士や騎士などが疲れを溜めてきている。
以前も思ったけど、ウルフの奴が戴冠式に人間の皮をかぶって現れて、何もせずに逃げてしまった時にも、今回のことも、どこかで何かを企んでいる揺動じゃないかと思う時がある。
困ったな〜、このまま、この国にとどまるべきか、帰るべきか、迷っている。
どうしよう?
俺たちも24時間体制で、検索魔法を使っているわけだから、誰かが起きていなければならない。
俺は作戦会議を開くことにした。
この作戦会議には、王様とエレノア王女、宰相、将軍、上級士官などが集まっている。もちろん文官もいる。
「えー、皆さん、これから、どうするかと言う会議ですが、どなたか意見はありますか?」
エレノア王女「はい、これからも24時間体制で、してほしいです」
ボールドウィン王「そうじゃな」
二人は、ああ言っているけど、どうしようかな?
でも、おかしいよな、俺たちが、ここにきた途端、魔物が出なくなっているなんて、やはり、どこかおかしいような気がする。
俺たちを、ここに繋ぎ止めておく手段か?
でも、知っている国だったら、瞬間転移で一瞬で、いくことができるのに、ということは、今まで、行ったことがない国で、何かが起きようとしているのか?
どうしようか、この国にとどまるべきか?
要は俺たち次第と言うことで、会議は終わってしまった。
国王からは、いつまでも、国に留まってくれと言われているけど。
いつまでも、この国にいることはできないし、一度、来たことがある場所には、瞬間転移することができるので、一度、帰る予定にした。
国王には、、その旨を伝えたけど、もちろん止められたけど、俺たちは、この国に所属しているわけでもないし、国元に戻ることも必要だと思う、いつまでも盟主が留守というのはまずい。
でも初めに思ったけど、勇者物語の影響が、こんな国まで広まっているなんて、すごいな。
どこまで勇者物語の本が広まっているんだろう?
確か、本は、俺たちが加盟している国だけだと思うんだけど。
どこからか流通していることは明らかだけど。
相手を油断させるためにも、一度、本国に帰ることにした。
そのことを王と姫に伝えると、「クリス様、帰らないないで〜」とエレノア王女から懇願されたが、何かあったら、すぐに来ますから、と言って半ば強引に帰ることにした。
俺は、魔法通信設置のことを考えたけど、やめておいた。
なんだか、 しょっちゅう連絡が来るような感じがしたので。
しかし王様が帰り際に「勇者どの、リンゴの形をした通信機を我が国にも貸してもらえないだろうか?」
「えっ、どうして知っているんですか?」
「それは本に書いてあるからな」
「あっ、そうですかぁ」本が仇になってしまった。
俺はしょうがなく、魔法通信装置のリンゴを異空間から取り出した。
そして、それだけではなく、使い方も説明しなければならなくなった。
使い方を説明して、やっと帰途に着く前に全員で挨拶して、王の執務室から一瞬で消えて瞬間転移してオーリス王国に戻ってきた。
「ハァ、なんだか疲れた〜」と俺が言うと、「クリス、お疲れ様」と言ってアリシアが、温かいコーヒーを出してくれた。
俺はアリシアからもらったコーヒーを飲みながら、全員にコーヒーが行き渡るまで待って、幼年組にはジュースとお菓子を配って、
「今回はお疲れ様」
「今回のこともだけど、最近のことを、みんなどう思う?」
ジャネット「なんだか意味不明ですね」
「うん、俺も、そう思う」
パトリシア「何か意図があるんでしょうか?」
「う〜ん、それはわからないな」
ソフィア「でも、どうして、我々が到着したら、魔物が出なくなったんでしょか?」
「それは、わからないな〜、それさえわかればいいんだけど」
セラフィーナ「でも、不思議ですね、戴冠式でも、襲おうと思えば、クリス様が結界を張る前にできたはずなのに」
「うん、俺も、そう思う」
シャーロット「でも、あの時のウルフは、すごかったですね」
「うん、でも、前にも増してウルフのドス黒さは増したような感じがしたよ」
シャーロット「じゃ、以前は、そこまでなかったんですね」
「うん、そうなんだ」
ロゼッタ「じゃあ、ウルフも能力の拡大を図っていると言うことなのかな」
「うん、たぶん、それと、もう一人の存在を忘れることはできないよ」
アリシア「本当に最近の、悪い二人は、何を考えているのか、全然、わからないよね」
「うん、そうだね」
セラフィーナ「クリス様、どうしますか?」
「う〜ん、そこなんだよな、加盟国に連絡しても事件は起きていないらしいからね」
「まぁ待つしかないけど、あまりやりたくない方法だけど、また、勇者の能力を最大限、使って見つけるしかないかな?
でも、ウルフがいる空間は、なんだか説明ができない空間なんだよ。
その正解には、普通に他にも人も建物もあるし、もちろん草や花や木もあるんだけど、この星の世界じゃないと思えるんだ」
アレク「そういえば、前、ご主人さまが言っていましたよね、え〜となんて言ってましたっけ」
「えっ、多重世界?」
「そうそう、その多重世界じゃないですか?」
「う〜ん、でも多重世界って行っても、どこかに存在しているわけだよ」
「それが、どこに存在しているのか、いまだにわからないんだよ。
そのことを考えると、頭が混乱するというか」
パトリシア「難しいですね」
「うん、そうなんだ。
だって、今は俺たちは、丸い星の上にいるわけじゃない。
そこに、もう一つの世界が、重なって存在しているなんて。
もう頭が、混乱しそうで」
「でも、ウルフは、どうして、その世界に行けるんでしょか? ウルフの能力ですかね?」
「うん、それは、そうとも言えるし、違うとも言えると思うんだよ。
もう一人の奴の能力なのかもしれないから」
アデル「ご主人さまは、もう一人のことを目星がついているような言い方をしていますが、わかっているんですか?」
「うん、予想でしかないけど」
アデル「それを聞いてもいいですか?」
「うん、いいよ」
アデル「誰なんです?」
「予想は、創造神ナサニエルだと考えている‥‥‥」
ジャネット「神ですね」
「そう、神なんだよ」
パトリシア「神レイチェル様よりも上の存在‥‥‥」
「そうなんだ、レイチェルよりも上の創造神、ナサニエル」
「聞いてもいいですか?」
ジャネット「どうして創造神ナサニエルだと?」
「だって考えてご覧よ、神レイチェルは関与していないとすると、ウルフ単独でこなせるようなことでもないと思うし、あの時はウルフともう一人いたんだよ、神が、俺を殺すことに用いた手刀は、神の神々しい感じじゃなかった。
神が、ドス黒い魔力を纏っているなんて、考えてもおかしいよ」
「なるほど」
「しかも、どうして姿形を偽る必要がある?」
「神なら、神らしく、俺が邪魔なら正々堂々と俺の前に現れて、俺を殺せばいいっ」
「そうじゃないかな、みんな」俺は落ち着こうと、もう冷えてしまったコーヒーを一口、飲んだ。
つい熱くなってしまった。
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2023年2月19日
今まではプロローグ7で終わっていたのを、プロローグ10までに増やして変更しております。
特にライラとアルベルトのシーンは大幅に変更を行いました。
変更がないシーンもありますが、特に力を入れたのはプロローグ9、10です。
ライラとアルベルトのことを書いてあります。できたらお楽しみください。
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🍏 お読みくださりありがとうございます。
ブックマーク、❤️マーク、★マーク、評価も、感想も、小説を書く上で励みになっております。
誤字脱字がありましたらお知らせください、すぐに訂正を行っていきます。
この物語は異世界の物語です、空想の物語ですので混同されることがないようにしてください。
🍎 基本的に週末に連続で投稿していきますので、よろしくお願いします。
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