第399話 勇者クリス
ロリーはロゼッタの話を聞いて勇者だって人の子なんだから、死ぬことだってある。
強いからと言って、万能とは言えないし、死ぬ可能性もあるのに、知らない国にきて陣頭指揮を取ること自体、考えられないこと。
いくら王から任されているとはいえ、大変なことだと思っている。
それを一瞬で状況を把握して、的確に対処してしまうなんて普通の人にはできないと思う。
本当に勇者だからと言う言葉では言い尽くせいない。
たぶん、それはクリス様の持って生まれた本能だと思う。
勇者というのは、それだけの能力を持った人のこと、能力を持つためには二つあるとお城に書庫で書いた本を読んだことがある。
生まれつきの能力を持った勇者として育つ場合、もう一つは、生まれつきじゃなく、努力して勇者になる場合だけど、クリス様は、勇者物語に書いてあってけど、最近、勇者になったと新刊に書いてあった。
新刊も、姫様が特別に発売される前の本を手に入れることがあって、私にも貸してくれた。
そんな中で勇者クリス様の冒険は、魔物討伐よりも、国の大惨事に関わることが切っ掛けと書いてあった。
冒険者になって、1年くらいで、シャーロット王女の護衛でお城に戻る時から始まると、第1巻では書いてある。
王女の護衛をしながら、野営の時には、盗賊を一瞬で倒してしまったそうだ。
盗賊だって弱くないと思うけど、普通は盗賊は冒険者崩れがなる場合が多くあり、そこそこ強いと思う。
でも、それを一瞬で倒してしまうなんて普通はできない。
そして、それに続く皇太子暗殺事件、そして王暗殺事件、さらにシャーロット王女毒殺事件を瞬く間に解決するということがあったけど、普通に考えたら、誰だって物語だと思う。
そんな人なんかいるもんですかって。
私も、勇者が、本当に実在するなんて、思っていなかった。
エレノア王女様に、言われるままに旅に出てしまったけど、最終的には、その人に助けられて本当によかった。
ロゼッタさんは、私には理解不能なことを言っていたけど、なんだか数世紀だったかしら、それだけ生きてきたと言うようなことを言っていたけど、まさかね。
でも、クリス様が勇者様でよかった、この国は勇者クリス様に救われる。
*
俺はエイミーと作戦室を交代したりしながら、街に転移することをしているけど、長期戦の可能性もあるので、もう街に行くのはやめて、借りている部屋で神獣たちと交代で検索魔法を展開してサーチを行うことにした。
作戦室は維持しながら、あとは昼間には魔法の練習をしているけど、神獣たちには、王都全域を一人でするには負担が大きいので、4人体制でしている。
「ねぇ、クリス」とアリシアが話しかけてきた。
「うん、なんだい?」
「私も検索魔法の方に使ってくれないかな?」
「えっ、アリシア、検索魔法が使えるの?」
「うん、まだ、範囲はせないけど、使えるように練習したの」
「へー、じゃ、やってみて」
「うん、行くよ」と言ってアリシアの展開魔法を確認していくと、神獣たちほどではないけど、有効なようだ。
「うん、アリシア、いいよ、今から誰かと変わって担当してくれる?」
「うん、ありがとう」
「いや、お礼を言われるのは、こっちだよ、ありがとう、アリシア。
でも、初めのうちは、時間を短くするんだよ、精神的な疲労も多いからね」
「うん、了解」
「あっ、それと食事をしながらすると、また、違うよ」
「うん、わかったわ」
私は部屋で検索魔法を使って、王都を確認していくけど、時間が経てば経つほど、キツくなるし、お腹も減ってくる
簡単な食事をつまみながら、検索魔法を使うけど、本当にキツくなる。
検索魔法を練習したのと比べることができないくらい、キツさを感じる。
クリスは、いつも検索魔法を使っているけど、見るのと、実際にやるのとは大違い。
『実戦で使ってみてから言えばよかったと後悔もしているわ。
でも負けられない、クリスの役に立ちたいなら、やらなけりゃいけない。
そうよ、やるの、アリシア』
やると言いながら額には、汗が出てくる。
私は一旦、検索魔法をやめた。
「はぁ、はぁ、はぁ」呼吸が苦しい。体が真っ過ぎに維持できない‥‥‥
前屈みになってしまう。
こんな姿見せられないのに、目の前にはクリスがいるのに‥‥‥
よし、もう一度、検索魔法をやってみよう。
私が検索魔法を展開するのは、狭い範囲、このエリアを異常がないか見ていく。
検索魔法を使っていると、あれっ、なんだか、さっきよりも楽にサーチができるようになった。
ん? これはクリスだわ、以前、感じたことがあるクリスの魔力が私に入ってきているわ。
これで検索魔法が使いやすくなったけど、甘えてばかりはいられない。
自分だけで検索魔法を使えるようにしなくちゃ。
でもクリスの魔法は、前にも感じたけど、人の心を温かくしてくれる魔法だわ。
でも、今はクリスが加勢してくれるから、練習の意味で検索魔法を続けてみるわ。
*
あれから3日が過ぎたけど、いまだに魔物は現れず、情報もない。
もう魔物が出てこないのかな?
あの時、クリスが力を貸してくれてから、すごく使いやすくなったのよ。
もう信じられないくらい検索魔法が使えるの。
あの時は、はぁはぁ、言っていたけど、今は、そんなことなく使えるの。
たぶん、クリスがあの時、助けてくれたおかげだと思うの。
本当にクリスは村にいるころから変わったな〜
大人っていうか、本当に行動に移る時には、大人の男性って言う感じで動くから、格好良すぎだよ。
普段は顔もだらしないけど、一度、動き出したら、すごいし、私も努力しているけど、クリスは、すごいしか言いようがないけど、すごいよ。
でも、 改めて思うのだけど、私もクリスのメンバーなんだよね。
クリスのと言うよりも勇者の仲間なんだよね。
改めて勇者の仲間だって思うと本当にすごいことなんだなと思ってしまう。
だって世界に勇者はクリス1人でしょう。
そのメンバーである仲間が、たった13人しかいないんだよ。
それも女性ばかりだから、クリスも大変だと思うけど、どこに行っても女性たちがゾロゾロついて回るけど、知らない人から見たら、女たらしだとか言われているのは、知っているわ。
本当に私以外の女性とも知り合ってから、だいぶ経つけど、誰一人、離れていく人はいないわ。
女性たちも全員、仲がいいし、誰よりもクリスを邪険に扱う人はいないし、唯一、イザベラくらいかな、邪険と言うよりも、言い方が強いと言うか、でも、前、イザベラと話をしたら、イザベラもすごくクリスのことが好きなんだって、好きだから、ついあんな態度とることになるから、気をつけなきゃって言っていたのよ。
あのイザベラが最近は、随分とおとなしくなった方だと思うわ。
以前のイザベラだったら、よくクリスの頭を叩いたり、殴ったりしていたからね。
でも、その行動もクリスが好きだったからかもね。
本当にクリスは魔力が強くなると背も高くなるし、ハンサムになるし、体も筋肉質にもなるし、大変な変わりよう。
そのせいで村に帰るのを嫌がっているのよ。
お父さん、お母さんに、恥ずかしいことを言われるって思っているみたい。
両親も屋敷に一緒に暮らすことをしないのは、両親には両親の仕事があるからだって言ってたわ。
村の両親には、毎月、決まったお金を送金しているけど、それを使っているのか、わからないけど、たぶん、使っていないと思うの。
私の本当のお父さんもお母さんも死んでいないから、死んだ後からはクリスの親が私のお母さん、お父さんになった。
二人とも元気で畑仕事していると思うから安心だけど前に手紙がきて「俺たちは農民だから死ぬまで畑を耕すから、心配するな、帰ってくるな」って送ってきたの。
つまり、私たちは、私たちで仕事をしっかりやれって言うことね。
その仕事が国を救う仕事なんだもの。
たぶん、私たちが両親に会うのは結婚式くらいだと思うわ、クリスは暇な時もあるけど、暇な時は、魔法書を読んでいるか、研究もしているか、忙しいみたいだから。
今、することをするって前に、言っていたから。
それが勇者の仕事なんだって。
勇者って仕事なんだと思ったわよ。
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2023年2月19日
今まではプロローグ7で終わっていたのを、プロローグ10までに増やして変更しております。
特にライラとアルベルトのシーンは大幅に変更を行いました。
変更がないシーンもありますが、特に力を入れたのはプロローグ9、10です。
ライラとアルベルトのことを書いてあります。できたらお楽しみください。
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