軍の魔法師

俺は軍に売られて、軍の生活は、嫌だと思っていたが、ローリー大尉と会ってから、生活が一遍に変わってしまった。


いったい何が起きているのか、自分でもわからない。波に乗るような感じになっている。


つまり、流されるまま………


あんなにつらい生活をしていたのに、俺には選択肢はない。


でも、俺はローリー大尉と会って、何かの変化を感じている。


*****


俺はあっと言う間に、魔法師部隊の士官になってしまった。


士官と言っても、俺は准尉と言う階級らしい、とアグネス少尉が説明してくれた。


アグネス少尉も、ローリー大尉と同じようにかわいい顔をしているが、ブロンドの長い髪を束ねている。


可愛い顔して言うことは、男みたいな言葉を言うが、ジュリー軍曹の方が、男みたいな体つきをしている。


アグネス少尉が「君は、何の魔法が使えるんだ?」


「はい、わかりません」


「な、なんだって?」


「あっ、いえ、今まで使うようなことが無かったもので、そして、魔法のことを知りません」


と、ほんとうのことを話した。


「君は、なにも知らないで、あんな魔法を放つのか?」


「はい、そうです」と意味も分からずに言う俺。


まったく、と言いながらアグネス少尉は眉間を押さえる。


そこにジュリー軍曹が「アルベルトは、今までは、剣士の部隊で掃除夫として働いていましたから、理解できていないと思われますが………」と擁護してくれた。


「はっ、そうであった。アルベルトは、掃除夫であったな、では、これからは、本を置いてある蔵書庫で、時間がある時は、読んで勉強したまえ、場所はわかるな」


「はい、昨日、行きましたので、大丈夫です」と答えた。


「では、座学の方も、ジュリー軍曹に聞いて時間に遅れることなく、行くように」と言われた。


「今日は、早いが、もう訓練は終わりだ」と言うと二人して、去って行った。


ジュリー軍曹が引き返してきて、あとで案内の紙を入れておくと言ってくれた。


俺は訓練場にかかっている時計を見ると、まだ時間があるので、魔法のことを知るために、昨日、行った蔵書庫に行く事にした。


*****


歩きながら思うことは、准尉と言う階級になったこと、しかし准尉では階級章がないらしいから、今まで通りだ。


俺は今は、魔法師の服装をしているので、蔵書庫には、昨日と同じように、すんなり通りしてもらえた。


俺は、色々な棚を見て回る。


昨日の奴らはいないみたい………


ゆっくりと、何の本が置いてあるのか上段から下段まで、見て回ることにした。


そうすると魔法の初級と言う本が目についた。


俺は、その本を手に取ると、キョロキョロして、座る所を探したが、空いている所だったら、どこでも座って良いみたいだったので、俺は近くの椅子に座り、テーブルに本を置いて、開いていく。


えっと、魔法の初級………魔法を知るには、魔法の特性を知る事である。


魔法の属性には、水、火、風、土、空間、結界、支援、闇、聖属性、特殊スキル(個人魔法)があると書いてある。


これ以外にも魔法は存在するが、確定はしていないとも書いてある。


う~ん、俺は、どの魔法が使えるんだろう?


しかし、訓練場でやって見せた魔法は他の隊員みたいに火が出ていない。


あれは、なんの魔法だ?


他の魔法師の魔法を見たのは炎だけだけど、炎が的に飛んで行っている。


俺のは、飛んでいない………


しかも、炎らしいものを見ていない。


俺が使う魔法自体がわからない………


まぁ、いいや………次を見よう。


魔法の属性はわかった。


あとは、どうやって使うんだ?


生活に一番、密接な魔法は、水だ、と書いてある。


なので水魔法を使える魔法師は重宝がられる………と


なるほど、水か・・


水魔法の呪文を、メモ帳に書き写していく。


なになに………精霊なる水の妖精よ………えっと、我の魔法に答えたまえ………我のもとに水を出したまえ?


ふ~ん、こんなことを言うと魔力に反応して水が出てくるらしい。


俺は水魔法と火魔法の呪文を紙に書いて、蔵書庫を後にした。


メモ紙を大切に手で持ちながら、訓練場に出てきた。


訓練場に出てくる前に、使用許可証をとることを忘れない。


訓練場を見渡すと、誰もいないので、30分なら良いと言う許可をもらった。


俺は、もらった時間を有効に使う為、すぐに魔法の訓練を始める。


まずは、前にも使った火魔法を的めがけて発動する。


的には防御魔法が施してあり、破壊困難だと説明があった。


的までは10メートルくらい、そして的の後ろは高い壁だから、安心して練習できる。


よし、ここなら、安心して魔法の練習ができるな、と、そう考えて、俺は書いてきた火魔法の詠唱を始める。


恥ずかしいので小声で、業火な炎を燃やす火の聖霊よ、我の詠唱に答えたまえ………だったかな?


とメモを見ようとしたら、俺の手の先に、真っ赤に燃え上がる炎が出現する。


「うわっ、どうしよう?」と俺は慌てて、消そうとするが、消し方がわからない。


「あちっ、あちっ………あれ、熱くない」俺は冷静さを取り戻した。


相変わらず、すごい勢いで燃えあがる炎………


俺は手を伸ばして的に向ける。


俺の魔法を的に当たるイメージを持つ。


そして「はっ」と魔法発射


今度は炎が的に向かって飛んでいく。


炎が的にあたり、燃え上がる。


あれっ、防御魔法がしてあるって言っていたのに、的が燃え上がって崩れていく。


急いで消さなきゃ………


俺はメモに書いてある水魔法の詠唱を始める。


「えーと精霊なる………」と唱えたところで、水の魔法が的めがけて飛んでいく。


えっ? 本と違うじゃないか?


水は的にあたり、消えたからいいけど、もう形を成していない。


やべっ………誰かに見られていないか、後ろを向いたら、そこにはローリー大尉と魔法師団師団長がいた。


ローリー大尉は、俺を見ている訳じゃなく、的の方に目がいっている。


やべっ、どうしよう?と思っていると、しばらく動かなかったローリー大尉が俺の方を見て足早に近づいてくる。


どうしてもローリー大尉の顔が見れない、ドキドキしながら怒られるのを待つ。


「おい、アルベルト、お前の魔法の威力はすごいな」と両肩を持たれた。


ローリー大尉の後ろから、師団長が走ってくる。


俺は敬礼して「あの今は詠唱の練習中です」とだけ答えた。


師団長「なにか、特殊な魔法の練習か?」


「あっ、いえ、初歩魔法の火と水を練習しておりました」


「あれが??………初歩魔法だと言うのか?」とローリー大尉


「はい、本に書いてありましたので………」と紙を見せる。


その紙を奪い取るようにとるローリー大尉


自分が読み終えた後、師団長に手渡す。


師団長も書いてある文章を読んで「確かに基礎魔法の詠唱文だな」と言ってくれた。


ローリー大尉が「君は、いったいなんなんだ?」


「えっ、ローリー大尉は、俺のことを調べたんですよね」


「ああ」


「それ以外、ありません」


師団長が「アルベルト、君は、早急に士官に上がる必要がある」


「えっ?」


師団長は俺の疑問を無視してローリー大尉に「大尉、アルベルトを早急に仕上げるんだ、今度の戦争に間に合わせろ」


「はっ、イエス、マム」と敬礼して師団長を見送る。


それから、座学にしても、魔法の練習にしても、俺は毎日が、へとへととなるまで特別授業が行われた。


座学では、士官としての資質を問われることばかりをローリー大尉自ら教官として指導してもらった。


そして魔法の実戦練習もローリー大尉に指導してもらう。


俺が魔法を放つことができない状態、つまり魔力切れを起こす直前まで行うと、魔力が伸びると言われているので、魔法の練習は行われたが、俺の魔力は、なかなか、魔力切れを起こすことはなかった。


ローリー大尉は「君は私の魔力の何倍あるんだ?」と変な目で見られた。


しばらくは戦争に間に合うようにローリー大尉により、俺の訓練が行われ


******


訓練が続けられているが、初めのうちは、結構、きつかった訓練も、次第に慣れてきた。


もちろん、筋トレや、走る事もローリー大尉は、俺に付き合った。


訓練中にも休みはあり、俺は休みには、本が置いてある部屋にいき、読み漁った。


そんな生活をしていると、俺はもう、17歳になった。


戦争が起きる、起きると言われているが、今だ戦争は起こらない。


軍隊の生活も、慣れてしまい、今では色々なところにいく事ができる。


給料をもらうことができているので、街に買い物することもできたが、基本、何も買うことがない。


本なら軍隊の方があるからだ。


まぁ、それでも新刊は、市場の本屋の方があったが、高額だった。


そんなある日、俺が蔵書庫で本を読んでいた。


ページをめくり、書いてある文字を頭に入れている所だった。


結構、俺のことを本の虫だと馬鹿にする人もいたので、俺は、奥の方に座って読んでいた。


そこに声をかける人物が………


「ねえ、きみ………」と俺は、本を夢中に読んでいる所であり、こんなところで俺に話しかける人はいなかったから無視していた。


「ねえ、ちょっと、そこの君………」と俺の肩に手をかけてきた。


鈍感な俺も、さすがに気が付いて、もう、大切なところを呼んでいるのに………と思いながら顔を上げる。


「はい?」


「ねぇ、その本、魔法書の本でしょう?」


と言う綺麗な女性………


目は、くりくりッとして、金髪の髪を立てロールにしている。


小顔で色白で化粧もあまりしていない。


俺は一目みて、「か、かわいいっ………」って思って口に出してしまった。


「あっ、ありがとう」と顔を真っ赤にして、縦ロールを触りながらうつむく女性。


「あっ、すいません」と誤ったが、だれだ?


あっ、この人は………時々、ローリー大尉との訓練を見ている人だと思い出した。


「あの、あなたは、いつも訓練している人でしょう?」


何を言っているのか、ちょっとつかめなかったが「あっ、はい、そうですが? あのあなたは?」と聞いてみた。


俺なんかが、こんなきれいな可愛い女性に声をかけてもらえるなんて………夢のようだ。


軍服を着た綺麗な方や、軍人でも可愛いと思う人もいるが、ドレスを着ている可愛い美人は初めてだ。


こんな人が俺に声をかけることはない………あっ、そうか、この本を読みたいのか?


「あっ、どうぞ」と言って本を閉じて、その女性に渡そうとした。


「?」


「あっ、違うんですか、この本が必要なのでしょう?」


「! いいえ、わたくし、あなたに興味があって」


「えっ?」


「その本なら、私も以前、読んでみたけど、頭が痛くなったわ」


「この本はですね、読むときのコツがあるんですよ」


「えっ、どんなコツなの? 教えてよ」と言って俺の横に座って顔を寄せてきた。


うわっ、近い………


俺の顔の横に、自分の顔を近づけて、のぞき込むようにして本を見ようとする。


良いニオイがする。


「ねぇ、どこなの?」と俺の顔をみて、近いことに気が付いたみたい………


「ご、ごめんなさい」と顔が赤い。


俺も顔が赤くなり、「こちらこそ、すいません」と誤った。


二人して、顔を見合わせて、笑い出す。


「うふふっ」

「あっ、ははっ」と笑うとどこからか咳払い。


俺は声を出して笑ったことに、恥ずかしい思いがしたが、この女性は笑顔がかわいいと思う。こんな女性が俺と付き合ってくれたらな~


村で隣で暮らしていたリサ以来だ。


俺は村のことを思い出す。


リサ、どうしているかな?


必然的に思い出すのは、お父さん、お母さんのこと………


俺の顔から笑いが消える………沈んでいく俺の心………


「どうしたの?」


「………いや、ちょっと、昔のことを思いだしてしまって」


「そう………つらいことがあったのね?」


「いいのよ、私がいるわ」と俺の頭を抱くようにする。


俺は突然のことに驚く


「えっ?」


女性の胸が俺の前の前にある………


俺はどうすれば良いのか、わからない………


******


「魔法を使う時は、詠唱ってするでしょう?」


「うん、そうみたい」


「でも、あなたが訓練している時は、聞こえないけど、、あれは、どうして?」


「えっ………それは………」


「それは?」


「詠唱していなんだ」


「えっ、詠唱していない?」


「うん、俺は、小さな村で生まれて、軍に来るまで数回しか魔法を使っていなくて、それで魔法のことも、よく知らなかったんだ。魔法は詠唱することが前提で使えるだなんて」


「そうなの?」


「うん、俺の村って、小さな村だったみたいで、ここと比べたら、すごく人も少なくて………それで、魔物が襲ってくることがあって、その時に魔法を使ったのが初めてだったんだけど、無我夢中で魔法を行使したみたいなんだ」


「へー」と感心しているような顔


「村には魔法師が一人もいなかったし、なんの情報も持っていないし、魔法書なんて、言葉さえも、伝わっていなかったからね」


「へー、そうなんだぁ」


「俺はね、八歳の時に村の村長に少しの金で軍に売られて、数年は下働きをそて暮らしていたんだ」


「まぁ、そうなの」


俺は、こんなキレイな女の子が、俺に話しかけることは身分不相応だと思っている。


孤児になって、軍に行くしかなかった俺に、こんな子が近づくことは、周りが良しとしないだろう。


いくら魔法師部隊に入る事ができても、こんなかわいい、キレイな女性と話すと、彼女が変な目で見られることになるし、彼女が傷つくこともある。


だから、俺は嫌ってもらう為に、本当のことを伝えた。


この蔵書庫でも、ドレスを着ているのは、彼女だけ………


ドレスも、デザインも、刺繍も、すごく豪華だし、きっとどこかの貴族のご令嬢だろう。


そんな人が俺に話しかけること事態、場違いだと思っている。


しかし、彼女は俺の素性を話しても、嫌な顔、一つせず、立ち去りもしなかった。


「そう………つらい思いをしたのね、あなた」と一緒に悲しんでくれる。


「ねえ、あなた、名前は?」


「………アルベルトだけど」


「そう、私はね、ライラよ」


「ライラさんですか?」


「いいえ、違うわ、ライラよ」と指を一本立てて俺に凄んでくる。


「えっ?」


俺は、冷や汗を流しながら後ろに下がる。


「いい、アルベルト………私の名前はライラよ、ライラ!」


「うん、わかったよ………ライラ」


「そう、それでいいわ」


貴族の女性を呼び捨てにすること事態、大事になってしまう。


しかし、ライラの希望なので、また、会うことはないだろうけど、その時は、ライラって呼んでみよう。


******


俺は、それからも数回、同じ時間に蔵書庫に行ったが、本を取る前にライラを探したが、いなかった。


俺は、そんなことよりも魔法の探求していくことをしないと、付き合ってくれるローリー大尉に申し訳ない。


ローリー大尉は、かなりの時間、俺の練習に付き合ってくれている。


寮の部屋も隣同士と言うことも、無いとは言えないが、本来なら大尉が、新人の練習を付き合うことはない。


それが、わかっているからこそ、俺はやらなければならない。


ローリー大尉の努力を無駄にしない為にも、そして、戦争に備える為にも。


数日は何事もなく、過ぎて色々な魔法を勉強することができた。


ある天気が良い日に俺は時間があったので、蔵書庫に、勉強に来た。


もう書庫の門番の人とは、仲良くなれたので、「こんにちわ」と声をかけて中に入る。


「おう、アルベルト、熱心だな」と言われた。


「はい、今日も入らせてもらいますね」


「おう、わかった、しっかりと勉強しろよ」


「はい」と答えながら中に入る。


中に入ると、俺はいつもの席にいく。


と、その前に今日、読む本を探す。


「う~ん、どれにしよう?」


と指で探していると突然、目の前が暗くなった。


「えっ?」


「誰でしょ」と女性の声


こんなことをするような女性は、俺は一人しか知らない。


「あの………ライラだよね」と言うと手を離した。


「あったり~、もう、少しも迷わないのね」


「いや、俺、知り合い少ないから、特に俺が知る女性って、いないに等しいし」


「そう、アルが知ってる女性は、私一人ね」


「う、うん、そうだよ」


「あっ、そういえば、ごめんね、しばらく来れなくて」と言うとライラが手を合わせる。


そのポーズが可愛いなと思ってしまう俺………


「い……いや、大丈夫だよ。貴族は忙しいもんね」


「それは、そうだけど、私としては、アルと話している方が楽しいわ」


それを聞いて俺は少し顔が赤くなる感じがした。


ライラのような人から、俺ともっと話したいと言われれば、誰だって悪い気はしない。


「うん、俺もライラと話していると時間を忘れてしまうよ」


「それは、わ、私との話が楽しいと受け取っていいの?」


「もちろんだよ」


「嬉しいわ」と俺に抱き着いてくる。


俺はどうしたら良いか、わからない………俺の手は、宙に浮いたまま。


それからも俺は蔵書庫にくるたび、ライラを探した。


すぐに見つかる時もあれば、あとからライラが遅れてくることもあった。


そのたびに、ひそひそと話をしては、笑っていた。


ある時、ローリー大尉から、「君は蔵書庫の姫君に会っているそうだな」と言われた。


「えっ? 蔵書庫の姫君?」


「あっ、君は知らないのか? あの方は、良く蔵書庫に来ては、本を読み漁っているからな」


「えっ、そうなんですか? ライラって言うらしいんですが、どこの方ですか?」


「アルは知らなくて、会っていたのかい」


「はい」


「まあ、それは本人に聞くと良いよ」


「では、練習をしようか?」


「はい、よろしくお願いします」


「では、アルだけの個人魔法から展開してもらおう」


「はい、結界魔法ですね」


「ああ、そうだ」


俺は、自分の周りに結界を展開していく、今回は、どれほど結界を維持する魔力が持つのか、と言う訓練だ。


ローリー大尉「一分………3分………5分、まだ、やれるか?」


「はい」


「よし、良いだろう、今度は、アルが結界を張って維持していろ、我々が、攻撃するから持ちこたえて見せろ」


「はい」と言って、俺は結界を張って、近くで魔法の練習をしていた部隊員を数名連れてくる。


横一列に並び、魔法を展開して俺を攻撃する。


「いいか………では攻撃開始」とローリー大尉


火の魔法のファイヤーボウル、風の魔法のウィンドウカッター、氷魔法のアイススピアで自分のありったけの魔法で攻撃してくる。


手加減なしで、魔力切れになろうとも、実勢形式で攻撃しても、俺の結界はビクともしない。


ヒビが入るようなことも起きない。



「これは、すごいな」


遠く離れたところで、ライラがいて、その横に壮年の男性が、ライラと話している。


男性が「これはすごいな、これほどの使い手だとは思わなかった」と言ってた。


男性がライラとヒソヒソ話をしている。


俺が攻撃されているのを、遠くでライラが見てくれている。


普段は、蔵書庫に行かないと会うことができないライラと、こんなところで会うなんて………


「こら、アルベルト、よそ見しない」と怒られた。


ライラと一緒にいた男性は、ライラに何か言うと、去って行った。


数日が過ぎた日。


俺は蔵書庫で、ライラとあったが、変なことを言ってきた。


「ねぇ、アル」


「うん、なんだい、ライラ」


「アルは、私を守る魔法使いになってくれない?」


「えっ、それは、どう言うこと? でも、俺の一存じゃ何もできないよ」


「それは、大丈夫だから‥‥‥」


「何かあるの?」


「うん、私に任せて」


「うん、でもライラを守るなんて、俺にできるかな?」


「あなたならできるわ」


「でもライラって、何者なの?」


「それは、まだ秘密ね」と言ってライラは指を口に当てた。


「じゃ、貴族なの?」


「うん、そうね、貴族よ」


「へーライラって貴族なんだ、あっ、でも、俺と会っていいの?」


「うん、私が良いんだから、良いじゃない?」


「でも、さっきの男性が気にするよ」


「えっ」


「うん、さっきの男性、彼でしょ」


「ううん、違うわよ、お兄様よ」


「あっなんだ、お兄さんね」


「アルったら、お兄様のことを彼氏だと思ったの?」


「うん、仲良さげにしていたから」


「うん、うちの家族って、本当に仲がいいんだ、特にお兄様とは仲がいいのよ」


「そうなんだ」


「今度、ちゃんと紹介するわね」


「うん、そんな機会があるといいな、俺が貴族の人と話しができるなんて、夢みたいだよ」


「‥‥‥うん、うん、まぁ~、そうだよね………」


なにか、裏があるような言い方。


「うん」俺がライラの言い方が、可笑おかしかったから笑うと、ライラは、俺の顔を見て顔を赤くした。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


初期と違い改稿しています。(23年8月24日)


お読みくださりありがとうございます。


ブックマーク、ハートマーク、星マーク、評価も、感想も、ほんとうにありがとうございます。


本当に多くの方の支援には心より感謝しております。

そして、何よりも小説を書くための励みになっています。


誤字脱字がありましたらお知らせください、すぐに訂正を行っています。


また意味不明な文章があることもありますが、なにぶん素人が書いている文章です。お知らせくだされば、訂正しています。


クリスとアリシアの物語をお楽しみください。

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