第311話 神獣と勇者6


俺とウルフが戦っている時に、ウルフの近くの空間に揺らぎを感じた。


その揺らぎの正体を確認するために、ウルフも俺も戦闘を停止した。


揺らぎは徐々に実体化していき、形を作ったのは神レイチェルだった。


俺は、姿を現した神レイチェルに安心した。


安心したレイチェルに違和感を感じた。


現れたレイチェル時は、白い衣装しかきていないが、胸を強調しているのか、布の、ほとんどが、隠せていないくらいの衣装を着ている。


胸の部分は、トップしか隠せていないような衣装を着ているので、俺は目のやり場に困って、俺の上着を着せたはずだ。


まぁ、一度、貸したからと言って、いつも着ているとは限らないけど。


でも、目のやり場に困るような服で、現れたレイチェルに、気を抜くべきじゃないと俺の感知魔法が警報を鳴らしている。


おかしい


俺は解いていた緊張をして、もう一度、身構えた。


しかし、遅かった‥‥‥


身構えを解いた、俺に神レイチェルは、すごく早い速度で近づいてきた。


俺は動くこともできないほどの速さで‥‥


神レイチェルは、俺の腹をドス黒い魔法を帯びた手で貫いた。


俺は、訳がわからず、腹を押さえて、体が崩れそうになりながら、やっとの思いで立っていた。


腹からは血がポタポタと落ちている。


神レイチェルとウルフが話をしている。

レイチェルの声を聞くと男の声だった。


俺は痛さに体を曲げながら、徐々に立っていられなくなった。


立つどころか、膝をついてしまった。


ウルフと神レイチェルは、話をしているけど、レイチェルからは、やはり男性の声を発している。


神レイチェルは、ウルフのことを「無能な奴め」と言われているけど、ウルフの奴は、頭を下げるばかりだ。


やはり二人は関係があるのか?


神レイチェルが、俺を裏切ったのか?


俺は膝をつくことも困難になりながら、倒れてしまった。


やばい、俺は、もう、頭を上げる力がない。


動くこともできない。


頭がぼーっとしてきた。


ヤバい


大量に血が流れ出て腹に手を当てても、手に水があるような感じになっている、それも徐々に感じなくなる。


神レイチェルが俺に近づいてくる。


俺は、もう動けない‥‥‥


意識を失いながら、前世の記憶の死んでいく記憶が蘇る。


目の前が暗くなっていく、ああ、もうダメだ、アリシア‥‥‥

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