第310話 神獣と勇者5

俺は目を閉じてウルフが 近づいてくるのを待って、魔法で金縛りをかけた。


ウルフが近づく寸前だったけど、俺は、そこまで待つことにしていた。


そのほうがウルフのショックが大きいと思ったから。


剣を振りかざそうとするウルフは、もう切れると思っているから、一番、緊張している時でもあるけど、そこに 集中してしまって他を見れなくなっているから。


第一に、今の俺は自分の体の周りに基礎魔法を展開しているから、簡単に剣が通る事は無い。


しかも以前の俺の基礎魔法じゃなく、勇者としての基礎魔法を展開している。


勇者の基礎魔法を展開しているときには、絶対的な結界魔法になる。


だから、寸前まで待つことができたのは、自信があったから。



奴は、まだ、俺がかけた金縛りに体を動かすことができずに、もがいている。


俺は奴、口の部分だけ金縛りを解いたのでウルフはしゃべれるようになった。


でも、口から火を吹くこともあるから、緊張は緩めない。


「 なお、ウルフよ、もうやめないか」


「いまさら、やめれるかよ」


「そこまでして、奥さんや子供さんの仇を打ちたいのか?」


「ああ」


「奥さんが、そこまで、そこまでしてほしいと思っているのか?」


「とうぜんだ」


「奥さんは、誰にやられたんだ?」


「俺の住んでいた村の奴らに襲われた‥‥‥」


素直に答え出すから気味が悪いけど。


「そうか‥‥‥」


「おい、お前、もしかして神レイチェルに会っているのか?」


「‥‥‥」


「神レイチェルに会っているんだったら、俺を討伐しろと言われたのか」


「‥‥‥」


「神レイチェルは、俺を殺せと言ってきたのか?」


「‥‥‥」


「なぜ、答えない」


俺は考えていた、どう答えるべきか?


「おい、ウルフ、本当に、お前の奥さんを殺したのは、村の人だったのか?」


「ああ、間違いない、村長が話したか‥ら‥な‥‥‥」なんだか、辿々たどたどしく話すな。


「どうしたんだ?」


「お前に話すことじゃない」


「なんだよ、話してみろよ」


「‥‥‥俺の村の村長に家族が殺された、と今のいままで、思っていたが、村の知り合いが辻褄の合わないことを言っていた]


この時に、俺は勇者レベルの精神支配をウルフにかけていた。


話を聞きながら、奴の情報を集めながら、精神魔法を行使するのは、簡単なことではなかったけど。


そして奴の心の問題は大きくあったので精神魔法だけでは、修復できなかったので、聖属性魔法を行使することをした。


俺は以前から、ウルフだけが悪いわけじゃないと考えていたから。


話を聞いただけでは、うまく言えないけど、感というか、そんなことを考えていたから。


このまま、ウルフを消滅させることもできたが、また、復活してくるだろう。


もっと悪の化身として、その時は、その時代の勇者に任せてもいいんだけど。


しかし、ウルフだって神獣の女の子と同じだと思う、別に女の子と言っているわけじゃないよ。


いま、俺に従ってくれている神獣たちにも、それぞれの言い分があると思う、だって悪いのは、全て人だよ。


人が悪いから、それを正すのに神の雷じゃないけど神獣たちがいるわけだから。


全て悪いのは人間なんだよ。


もし、人間が、悪いことや戦争をしなければ、神獣たちは復活することもなかったかもわからない。


神獣が人の中で混じって生活できたかもしれない。


ウルフが神レイチェルに黙って結婚したって、いいと思うし、 仕事さえしていれば関係ないと思うから。


俺はウルフだけが悪いと思ってはいない。


ウルフだって被害者だと思う、


俺の周りには神獣たちがいるので、なんとなくだけど、神獣たちのことを理解している。


ウルフが、俺の金縛りを解いて剣を出した。


精神魔法も奴には、一時の効果しかなかった。


さらに、金縛りも解除する魔法を持っていたみたいだ。



ウルフは剣を出して構えながら、スキを窺っている。


俺たちは、ジリジリと距離を詰めたり、開けたりしながら、突撃する機会を窺いながら、俺も魔法か、剣にすべきか、迷っている。


俺は、何も考えないで、左手に雷の魔法を作り出していた。


雷の魔法の中に炎を作り出し、風の魔法で炎をボールの中で回転させる。


小さい空間の中に稲妻が出て、炎と風の威力で、大変なことになっている。


つまり俺は無意識で、炎の魔法と風魔法と稲妻の雷魔法を展開している。


3つの魔法の同時行使をすることで、奴の注意を、左手に向けながら、剣を持つ、右手は剣の握りで隠しながら、以前、ロゼッタが放ったことがあるレーザービームを準備している。


本命は、右手のレーザービームだけど、左手もおとりというわけじゃない。


つまり、どちらも本命ということ。


俺の魔法の同時展開は、今、初めてではないけど、以前は2つまでしかできなかった。


でも、今は4つの同時展開を可能にしている。


俺の前に対峙しているウルフに対して、俺は左手に準備している発動可能な魔法を、奴に向けて放った、そして同時に、右手のレーザービームも同時に放つ。


ウルフは、初めの魔法は、なんとか回避したが、レーザービームに左腕を貫かれた。


痛そうにしているけど、演技の場合もある。


腕を抑えて痛そうにしているけど、目が曇っていない。


何かをたくらんでいるような目をしている。


俺にできることは、ウルフもできる可能性がある。


俺たちは10メートルくらいの距離をおきながら、様子をうかがっている。


奴の息が荒くなる


何かを企んでいるのか、腕が痛むのか。


ウルフの奴は、右手を前へ伸ばした。


手を俺へ向けながら、火の魔法を展開しながら、大きくして行っている。


火の魔法が完成するまで、待つ必要はない、俺は、ウルフが準備する前に、もう一度、レーザービームを放った。


しかし、ウルフはレーザービームを瞬間的に避けてしまった。


そけられたレーザービームは俺のコントロールを失ったわけじゃなく、ビームは、曲がって後ろから、奴の背中に当たった。


穴は開かなかったけど、奴の背中は焦げているだろう、煙が出ているから。


俺は、未だに無傷だけど、ウルフは左腕と背中の損傷がある。


でもウルフだって馬鹿じゃないだろうから回復魔法が使えることも考える必要がある。


でも、未だに傷は治していない。


傷を治さないと言うことは、治癒魔法が使えない? いや、そう思わせる何かがあるのか?


油断はならない。


ウルフを倒すことができないと、世界戦争が始まるかもわからない。


世界中を巻き込みながら、始まる戦争は、アリシアたちにも影響があるだろう。


そして戦争が始まれば、人が大量に死んでしまう。


今、奴に同情している場合ではない、話してわかる奴だったらよかったけど、俺も女性の神獣の主人として、多少の思いはある。


ウルフの奴は、一人だけ、男の神獣だったため、孤立化してる。

俺も、その気持ちはわかる。


でも、今は、そんな状況じゃない。殺すか、殺されるかの戦いだから。


俺はなりたての勇者だけど、世界を守る、なんて大層なことは、おもちゃいない。


アリシアと女性たちが生きていくための世界がほしいだけ。


それを壊させやしない。


奴の姿が揺らいだ。


瞬間転移か?


俺はウルフの気配を窺う。かける時間は、0コンマ1秒もかけない


ウルフは、俺の背後に現れた。


俺の背後から、右手の剣で切り掛かってくる。


俺は結界魔法を強化して、「ガキンッ」と剣を弾く。


奴は、また、消えた。


俺は目を閉じたまま、奴の気配を追う。


ウルフの気配の消し方も、優れている。


ウルフは今度は、俺の上から襲ってきた。


右手には剣を持ち、左手には炎の魔法がある。


いつの間にか、左手が治っている。


剣と炎の魔法で俺に迫ってきているけど、俺は奴の動きをわかっているので、難なくかわす。


やはりウルフも治癒魔法が使えるのか!


俺も集中力が落ちてきた。




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年末でお忙しいと思いますが、体に気をつけてください。


私も注意しながら執筆していきます。

これからもよろしくお願いします。




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