第297話 神獣と戦争7

国と連絡を取り合って、これから進行しようとすることを報告して、あとはアイリスとエイミーにお願いすることにした。


アイリスとエイミーは、本当の獣の姿は、ケロベロスとグリフォンだけど、人型ヒトガタになったら、可愛らしい女の子だった。


8歳か9歳の女の子なので、本当に幼く見えてしまう。


この二人には殺し合いをさせたくない。


でも、世界を担っていかなければならない存在なので、悪い部分も知っておいてほしい。人には狡猾な奴もいるし、悪い奴だっているんだから、騙されたら大変だから。


「おいちゃんが、お小遣いをあげよう」と近づいてくるかもわからないから。


本を読んでできると思っても、実際は違う場合が多くあるから。


本当は少しでも戦闘に参加させた方がいいのかな、と思うこともあるけど、今は、「俺の思い人」を守ってほしいから。


アリシアからは「私も、いっぱい努力してきたけど、神獣たちには及ばないのは、わかっているから、無理は言わないわ」


ソフィアも「本当にクリスには助けられてばかりで、情けなわ」


「そんなことないよ、ソフィアには、いつも助けてもらっているよ」


イザベラ「でも、神獣の女の子たちには、人は勝てないわ」


「うん、そうだね、 心中の女の子たちは、世界を守ったり、監視をするのが役目だから、特別なんだよ」


コリン「 でも、私も本当に頑張ったのになぁ」


「 そうだね、コリンも本当に、がんばったと思うけど」


アリシア「 クリス、本当に死なないでよ」


セラフィーナ「本当ですよ、私をお嫁さんにもらってくれるっていったんですからね」


シャーロット「私もです、もうお風呂で何回も裸を見られているんですから、他にお嫁に行けないんですからね」


「 もちろん、死ぬもんか、約束は守るよ」


イザベラが涙を手で拭きながら「 本当に、本当よ、死んだら許さないんだから」


「うん、 その時は殴ってもいいし頭に拳骨でもいいよ」


イザベラ「 何よ、それ、もう死んでいるじゃない」


みんながクスクス笑い出した


「みんな、俺は死ぬために行くんじゃないから、みんなとの未来を見るために行くんだから」


俺は椅子から立ち上がって、アリシアを抱きしめて、ソフィアを抱きしめて、イザベラも抱きしめて、コリンを抱きしめた、シャーロットを抱きしめて、セラフィーナも抱きしめた。


俺がアリシアとソフィアとイザベラとコリンとシャーロットとセラフィーナから離れて


「 じゃぁ、みんな行こうか」と神獣たちの方を向いた。


「はいっ」と大きな声がした。


そこに扉を叩く音がして、 セバスチャンが現れた。


「 王様からいろいろ話は伺っておりますので、屋敷の働いてる間で一同を代表しましてお帰りをお待ちしております」


「うん、ありがとう」


「じゃ、言ってくる」


と言って神獣達を連れて瞬間転移した。


ウルフがいるのは、ここの位置と反対側になるので、もう少し近づくためだ。


しかし近づきすぎるのも良くない。


神獣達たちは 監視しているときには世界中を回っているけど、 世界を知っているんだったら


「地図を書いて欲しいんだけど」と頼んだ。


アレク「はい、書いてきたよ」


というので全員で机に広げて見てみると


「ぷっ なにこれ〜」と言ってジャネットが笑い出した。


「これは、ひどいの」ロゼッタ


「オーリス王国は、どこにあるのよ?」パトリシア


アレク「あっ、書いてなかった」


「もう、私が書くから、ノートとペンを頂戴」


と言ってパトリシアが1時間くらいで書いてくれた地図は、略図だけど、すごかった。


「俺たちはテーブルに地図を広げながら、ここがオーリス王国だから、反対側の国は、 マクシミリアン国とソロモン王国って言うんだね」


「 その、えっーとマクシミリアン国だっけ、とソロモン王国が今戦争に突入しようとしているみたいだ」


「 そしてその横の国がジェレマイア王国」


「 このジェレマイア王国の端っこのほうの街に宿を借りようと思う」


「みんな、どう思う??」


アレク「うん、いいと思うよ」


ロゼッタ「そうじゃな」


ジャネット「そうね、妥当なところだと思うわ」


パトリシア「うん」


「じゃ、ジェレマイア王国を知っている人、手をあげて」


誰も手を挙げない


「えっ、知っている人いないの?」


みんなを見渡したけど、いい顔をしていない。


「ダメじゃん」


「じゃ、飛行魔法で行こうか?」


「‥それがいいわね‥‥‥」ジャネット


初っ端から出鼻をくじかれた感じ。


「じゃ、一度、屋敷の外に転移しようか?」


「わかった」


アリシア「あっ、じゃ、私たちも屋敷の外まで見送りするわ」


全員が、頷いた。


そして俺たちは全員で、屋敷の外に瞬間転移してきた。


「じゃ、ここから、飛んでいくけど、方向的には、どっちなの?」


アレク「えーと、まぁ、ここと反対側だから、どっちでもいいじゃない」


「あっそうか‥‥‥みんな本当に知っているんだよね?」


アレク「う〜ん、本当はよく知らない」


「じゃ、パトリシアは?」


パトリシア「地図では理解しているけど、まぁ、大丈夫だと思う」


「 なんだか頼りないなぁ」


「 しょうがないか」


「 じゃぁパトリシアが先頭で飛んで行こうか」


「うん、わかった」


「じゃ、みんな行ってくるよ」


アリシア「気をつけてよ、みんな」


イザベラ「ケガするんじゃないわよ」


コリン「行ってらっしゃい」


シャーロット「クリス様、ご無事をお祈りしています」


セラフィーナ「無事に帰ってきてください」


「うん、わかった」


「エイミーとアイリスとアデル、あとはよろしくね」


「はい、わかりました」


「はい」


「うん」


全員に挨拶して、、透明化の魔法を使い飛んでいく。


徐々に飛行速度をあげていく。


神獣達は、人と違って、高速飛行が得意な方なので最高速度を出せる。


この星の反対側でも、そんなに時間は、かからないと思う。


俺は、振り返ると、もうオーリス王国は見えなくなってきた。




アリシア視点


本当にクリスが勇者なのか、私にもわからないけど、指輪のステイタスでは、確かに勇者の称号が確認できた。


でも私は、不安でたまらない。


昔から知っている、弟のような存在だったクリスが、勇者だなんて。


いまだに信じられない。


でも、今でもクリスが、いくら勇者だからって、どうしていかなきゃ行けないのか?


私は村にいる時から、弟だと思っていたクリスに、本当は好意を抱いていた。


弟と思おうとしたけど、どうしても、思えなかったけど、恥ずかしかったから弟みたいだと言っていたけど。


そのクリスと、キスはしたけど、先の約束はできなかった。


そして、今、クリスは勇者として、仲間と共に飛び立って行ってしまった。


なんだか、心に穴が空いたような感じに思える。


寂しい、クリスと離れたのは、1年間だけ。


それ以外は、クリスと離れたことなんか、なかった。


クリスと離れて、自分が、どれほどクリスのことを好きか、良くわかってしまった。


クリスのことを思うと、心が張り裂けてしまうほど痛みを感じる。


クリス、早く帰ってきてよ。


クリス、無事に‥‥‥



私は祈ることしかできない。


今まで、あんなに努力してきたのに、他のメンバーの女のより、練習は

頑張ってきた。


そうだわ、クリスがいないあいだ、もつとクリスの教えてくれた方法で練習しておこう。


もしクリスが、危ない時には、私が駆けつけることができように。


‥‥でも、そう思うと涙が出てきた。


そんなことあるわけないじゃない。


だって、今まで、クリスが戦う時に私たちに見せていたのは、感知魔法だけ。


感知魔法で人を探すときに、見せただけ。


そう、クリスは、まだまだ、魔法の力を私たちにも見せていない。


クリスのステイタスには、能力が無限大としか載っていない。


いったい無限大ってなんなの??


クリスって、どれくらい強い魔法使いなんだろう?


そのクリスが危なくなることが、起きるの??


それは、どう言う時なの?


それほど強いウルフと戦うの?


怪我だけはしないでね、クリス、私も努力するから、少しでも、あなたの助けができるように‥‥‥


また、涙が出てきて、クリスが飛び立っていった空を見上げている。


そこにソフィアがきて肩を抱いてくれた。


イザベラとコリンとセラフィーナとシャーロットも私に体を密着させた。


私たち全員で、声を出して泣いた。


もう見えないクリスを全員が心配して‥‥‥

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