第290話 神獣 ウルフ4

俺が計画して王様たち一行を襲わせた。


王様は顔を殴られはしたが、計画通りに運んでいる。


護衛の5人は、襲った冒険者崩れに殺された。


護衛の5人はいなくなったが、構わない。


王様と姫の二人は無事だから。


「よくぞ、私たちを守ってくれた。私はソロモン王国の国王だ」


「本当に、ありがとうございました」姫さま


王様が「護衛もいなくなって、私たちを守るものがいなくなったので、強い貴殿に護衛をしてほしい、そしてお礼もしたい」


「‥‥‥はい、わかりました」


俺は、もちろん承知した。笑いが止まらない。もちろん顔には出さないが。


王様が馬に騎乗して、御者は隠れていたので、御者が馬車を操作して姫二人が馬車に乗り込んだ。


俺は、護衛の奴が乗っていた馬に乗り、馬車についていく。



ここまでは、うまくいった。


しばらく走ると、城の城門にたどり着いた。


ここから兵士が出てきて、王様は理由を説明している。


数人の兵士が王族の守りに就くことになった。


俺は城に到着するまでの間、いろいろ考えていた。


どうやって、人間どもを戦争に導く事ができるか。


俺は王様からの招待と言うことで優遇されて、しばらく城に滞在することを許された。


俺は城で豪華な食事を提供されて、王や妃や姫からもお礼を言われた。


食事が終わってから、俺は部屋に戻っていたが、しばらくすると扉がノックされた。


扉を開けてみると、年上の姫のマーガレット姫が立っていた。


マーガレット姫は18歳くらいだと思うがスタイルも良く髪が長く胸も大きいので、あの時に狙われた姫だ。


どうして今頃、マーガレット姫が来たのかわからないけど、中に入りたそうにしていたので、中に招き入れた。


なんだろう、俺の策略に気がついたのか、いや、そんなはずはない。


「あの時は、助けていただいて本当にありがとうございました。あなた様がいなかったら、私はどうなっていたか分かりません」


「いいえ、大した事ありませんよ」


「でも、本当にあなたには感謝しても、感謝しきれません」


「もし、あなたさえよろしければ、時々、話をさせてもらえませんか」とマーガレット姫が言ってきた。


俺は、これをチャンスと見た。


「お父様が、あなたの貢献に対して、爵位を与えると申しておりました」


「えぇ、私がですか、私なんかが貴族なんて」


「まぁ、ご謙遜を、あなたはお父様を、王を助けたんですよ」


「そういえば王様は殴られた跡がありましたけど大丈夫でしたか」


「えぇ、大した事はありません」


「それよりも、私はあなた様の方が気になるんです」


「‥‥‥今日は夜遅いですから、ご挨拶だけにしようと思ったんですけど、また明日にでも」


と言ってマーガレット姫は去っていった。


馬鹿な女だ


俺に殺されると思ってもいないのか。


俺は、その時に殺された妻のことを思い出していた。


体が熱くなる、どうしようもなく熱い。


俺は、その時に、人としての形を保つことができなくなってウルフに変身してしまった。


開いた口には、尖った牙があり、無性に人を食い殺したい衝動に駆られる。


たまらない


俺は、真夜中に城を抜け出して、屋根の上から女を物色して暗闇を歩いていた娼婦の女を襲った。


キバで喉を噛んで息ができないようにして殺した。


手の爪で切り刻んでやった。


そして死んだのを確認して城に戻ってきた。


俺は城では平常心に戻ることができた。


次の日ももマーガレット王女が俺の部屋に遊びに来た。


王女が遊びに来たときに、俺はある考えが思い浮かんだ。


王女は椅子に座らないでベットに座っている、バカな女だ、俺なんかに惚れたか?


しかし俺は王女と他愛もない話をして時間を過ごした。



その夜に、俺は他の国に瞬間移動してきた。


神獣の俺の力を使えば、城の中に入るくらい、たやすいこと。


城の中に入って、紋章がついたものを探す。


ある部屋に展示してあった紋章が付いたボタンと短刀を見つけた。


そして俺は、また城に戻ってきた。


城に戻ってきて、マーガレット王女が来たときに実行に移すことにした。


昼過ぎにマーガレット王女が俺の部屋に訪れた。


しばらくは様子を見ることにしたが、俺は実行した。


「あなたには、恨みもないんですが、殺させていただきます」


と言って、奪ってきた紋章付きのナイフで王女の胸を刺した。


「どうして…」


王女は倒れながら、涙を流しながらつぶやいた。


俺は何も言わなかった。


王女が死んだのを確認して、オレも腕や顔や体を傷つけた。


俺の体は神獣だから、すぐ回復してしまう。


俺は、「侵入者だ」

「誰かー」

「早く来てくれ」と大声で叫んだ。


すぐに兵士が駆けつけて、王女が倒れているのを見て、兵士はさらに大声で、賊が侵入したぞと言った。


大勢の兵士が部屋の中に入ってきたが、俺は演技をするために息絶え絶えになりながら、急に窓から賊が3人、入ってきて、王女を助けようとしたんだけど、やられてしまったと説明した。


前もってベランダにロープを結んでおいた。


兵士が、そのロープを見て、ここから侵入したみたいだと言っていた。


そこに王様が、入ってきて姫を抱き上げているが、姫は、もう死んでいるので意識はない。


王様が泣き崩れる


王様が泣き崩れながらも、姫に刺さった短剣の紋章を見ている。


「賊と格闘したときに、これを拾いました」と言って紋章が入ったボタンを差し出した。


感情的になっている王様は、辻褄が合わない事は関係ない。


事実あるのみ、他国に姫を殺されたと思い込んでいて、以前、狩猟の時に襲ってきたのも、他国の暗殺者なのかもわかんないと言っていた。


「戦争の準備だ。」


「マクシミリアン国に姫を暗殺された」


姫が殺された事実だけに、王は他に考えることができなくなり、戦争に突入することになるだろう。


もちろん、王に精神魔法を使っているが。

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