第283話 救世主2

神獣たちを支配している神まで降臨して、俺に頼んできた。


その神の恰好が、エロ過ぎて目のやり場に困ったから上着を貸してあげたんだけど、持って行ってしまった。


せっかくのお気に入りの上着だったのに、返せよな~



神獣たちからも救世主だとか、勇者だとか言われて、できたら、どっちか一つにしてくれって感じだけど。


勇者というのは、悪い奴と戦う? 言うイメージだけど。


勇者と言う言葉を辞書で引いたら、勇気があるものって書いてあった。


誰もが恐れてできない困難に立ち向かって偉業を成し遂げた者? なんじゃそれは……


俺の国にある国の金書庫には入れてもらったことがあるんだけど、その中にたまたま目についたのが、勇者伝説って書いてある本だった。


その本をパラパラとめくると、ある村に勇者が現れて、メンバーとともにドラゴンと戦ったと、書いてあったけど、このドラゴンって、もしかしたらロゼッタのこと??


第一に、この世界では、ドラゴンなんて飛んでいないし、聞いたこともない。でも世界は広いから、どこかの大陸にいるのかな?


でも神獣よりも大きいドラゴンはいないと思うし、たぶん、ロゼッタが一番、強いと思うけど。


そしてドラゴンに乗らなくても飛べるし。


たぶん、ドラゴンよりも早く飛べると思う。


物語か、どうかわからないけど、ドラゴンと戦った勇者は、どうなったんだろう??


ここには2巻までしかなかったんだよね。


こんど、ロゼッタに聞いてみようかな?


火を吐いて焼き尽くしたって言わないよね。


さすがに勇者でも炎を防ぐ手段はあるのかな?


剣や盾で防げるのかな、ちょっと興味があるし、面白そうだ。


勇者の書いてある本は、その2巻までしかなかったけど、司書さんに聞いても、2冊しかないと言うことだった。


しかも、本当の話なのか、わからないと言われたから。




でも、救世主ってなんだ??


救世主って世界を救う??  なにから、せかいを救うの??


物語にあったけど、天変地異から水が大量にあふれるから大きな船を作って、乗せる?? 全員、乗れないじゃん。


天変地異が起きて水が大量にあふれるときに、船を作っても大きな山が噴火したら、火の子で燃えちゃうし。


そんなことを考えて、トイレに行こうとして部屋から出てきたら、たまたまロゼッタがいた。


「ロゼッタ、話があるんだけど」


「なぁに、ご主人様」


「ロゼッタって昔、勇者と戦ったことってあるの?」


「うーん、う~ん、 あっ、そういえばある」ロゼッタは昔のことを思い出したみたい。


やっぱりか


「でも、ご主人様、よく、知っているな、そんな、そうとう前のことを」


「えっ、そんな前なの?」


「昔も良いところじゃぞ」


「どれくらい前なの?」


「もうご主人さまに隠す必要がないから言うけど、そうじゃな、2300年前だとおもうな」


「2300年前……」


「そうそう、勇者の奴が、わしが寝床にしていた山に現れて、わしの前に立ったんじゃ」


「へー」


そこにアリシアとソフィア、コリン、イザベラが通りかかって聞いている。


「うん、確か、2300年前に見張りとして、わしが世界の監視をしていたときに、青く光る剣を持った勇者が、やってきて寝ていた、わしに攻撃をしかけてきたんじゃ」


「わしは、ほとんど、悪いこともしていないのに、人の街の上空を飛んでいるだけじゃったのに、わしの任務は人間世界の監視じゃあからのう、


勇者と数人の人が、わしに攻撃してきたんじゃが、寝起きで、頭がぼーっとしていてのう、

ああああ、もう、うるさいと思って、火を吐いたんじゃ

そしたら、そうつらが丸焦げになってしまったな、

いやー悪いことをしたとおもっておるんじゃよ。」


「わしも寝起きじゃなければ、多少は相手してやったんじゃが」


俺もだけど、後ろにいる全員が、唖然とするしかない状況だ。


勇者を丸焦げにするなんて。


「ほんとうに目覚めが悪うてかなわんかったな」


「そこには、もう住めなくなってな、レイチェル様に知られないように、後ろ足で埋めたんじゃが」


「へー、埋めたんだ……」


「あとでレイチェルさまに呼び出されてな、もう、ほんとうに、ひどい目にあった」


勇者には悪いけど、俺たちは、おかしくなって笑った。


そういえば寝起きのロゼッタは、結構、ひどいんだよね。


ぼーっとしているし、朝は、洋服のだらしないし。


髪のボサボサで食堂にくることも多いし。


勇者も、来るんだったら昼間に来れば、もう少し相手してもらえたかも。


「わしが勇者を殺してから、今まで、勇者は一人も現れていない」


「だから、ご主人さまが2300年ぶりの勇者じゃぞ」


ロゼッタが俺を見ている……


「うん、勇者のように燃やされないように、頑張るよ」


でも、考えると2300年前に勇者が現れたんだ……。


本は、その時書かれたものではなく、たぶん、転写を繰り返したものだと思う。


2300年前の本が存在するのはおかしいけど、保存状態が良ければ可能かも。




その期待を裏切る事は、難しいことだと思うが、自分が犠牲にならないようにしようとして立ち戻ってきたのに、真っ先に俺が前にで出ないといけないのか。


損な役回りだ。


今までの努力が、何だったのか!


しかし泣き言ばかりを言っていてもしょうがない。


やらなければ、未来はなくなってしまう。


確かに勇者やヒーローと言うのは憧れでもあった、しかし俺は勇者や英雄とは違うような気がする。


救世主と神獣たちに言われて、考えてみたんだが、言葉のあやかもわからないけど、人々を救う?、世界を救う?


俺はそんな大層なものではないし、自分が生きられればいいと思っている自己中だ。


そんな自己中心的な俺が、世界を救う救世主?


本当になんだか、変なことになってしまった。




そこのジャネットが歩いてきて、今の話を聞いていたみたい。


俺たちが廊下で話しているので、シャーロットとセラフィーナも出てきた。


「表立って、何かがあるときには、あなた様は、勇者と救世主として動かなければいけません」


「そして今回、あなた様が、まとめて盟主となられた国々に、知らせる必要もあるんです」


「えーっ、知らせるんですか?」


「はい、そうです。 あなたのもとに一致団結する必要があり、そのためには勇者の称号と救世主としての称号を示す必要があります」


「何をおいても、あなた様が中心に動かなければいけなくなります」


「つまり、盟主としてではなく、勇者と救世主の両方ですか?」


ジャネットが「はい」


「しかし救世主と言うのは、何かがあったときに現れるわけです。今、何も起こっていない状態で、あなた様を救世主として崇めろといっても無理です」


「人と言うのは勝手なもので、何かがあったときに、すがるものが必要なわけです。」


「何もないのに、救世主が現れたぞ、と言ったって、頭のおかしい集団と思われてしまいます」


「今は、このメンバーの中で勇者であり、救世主であると言うことがわかっていればいいと思います」


「わかりました」


「あなた様が迷宮で獲得した剣がありますよね?」


「うん」と言って剣を異空間収納からだした。


「その剣は、勇者の剣です」


「勇者の剣?」


「はい、勇者が現れるときだけ、出現します」


「しかも、勇者だけが触れる剣です」


「へぇー」この剣がねぇ


「アリシア、持ってみてくれる?」ジャネット


「うん、わかった」


「ご主人様、一度、剣を床に置いてください」


「うん…」


「じゃ、アリシア、剣を持って」


「うん」


アリシアは剣を持ち挙げようとしたけど、上がらない。


「う~ん、はぁはぁはぁ、無理」


「じゃ、ご主人様、剣を持ってください」


「うん…」俺は剣の重たさを感じることもなく羽くらいの重たさしかないんだけど。


「わいかりましたね、あなたが勇者である印が」


「この世に聖剣は、この一本だけです」


「そしてご主人様、魔力をすこし流して下さい」


「うん」おれが魔力を流すと、剣は青く輝いている、それも輝き方が、すごい、以前よりも増している。


「その光が聖剣の印です。」




「実は、ご主人さまに、謝らなければいけないことがあります」


「なんのこと?」


「本当は、あなたはウルフに会う必要はなかったんです」


「えっ、どういうことです」


「あなたが修業に出かける前の状態では、たぶん、ウルフには勝てなかったでしょう


だから、あなたに切迫感を持ってもらうためにウルフに合わせたんです。


そして、もしあなたが修行の成果が出ない状態で戻ってくれば、私たち神獣は、あなたを殺すのが使命でした。」


「俺を殺して、どうするつもりだったんです?」


「次の救世主を数百年かけようとも見つけるつもりでした。しかし、勇者は他には、いませんし、あなたほど救世主の高みにある方もいません」


「でも、時代が救世主を誕生させるためにも、救世主に素質があっても、なる事ができなかった者は、殺さなければいけません、それが私たち神獣の使命です」


「あなたと戦えば、私たち神獣も、数人は無事では済まないでしょう」


「それでも、やらなければいけないのが、私たち神獣なんです」


なんだか、すごいことを言われている。


神獣と言うのは、仲間にすると言うよりも、監視されていると言うのもあるらしい。


「私たちは救世主と勇者である、あなたに協力をしながら、あなたを守るのが役目です。」


「もしあなたが、いい加減な修行をして戻ってくるようであれば、あなたは殺されていました」


「本物の救世主とは、なり得ないからです」


素質があっても、誰でもなれるわけではない…



今まで神獣たちは、時代、時代の変革の時に現れて、世の中を監視するのが目的らしい。


それが現代に神獣がいる理由だと。


つまり神獣たちを従えることができる者が、救世主であると……


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

お読みくださりありがとうございます。


ブックマーク、ハートマーク、星マーク、レビュー、評価も、感想も、ほんとうにありがとうございます。


本当に多くの方の支援には心より感謝しております。

そして、何よりも小説を書くための励みになっています。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る