第247話 トリスタン王国

俺たちは今、トリスタン王国に来ている。


宿を取ることができたので、これからしばらく街の中を見て回る。


トリスタン王国で、きな臭さを感じるのは何が原因なのかを見極めるためだ。


そのためには情報収集をしなければいけないので、午前中でも、午後でも、暗くなってからでも、街をいろいろ回ることにした。


ただ、うろうろしても意味は無いので、情報収集を兼ねてショッピングをする。


1番は、この街に住んでいる人から情報を集めなければいけないが、聞いたって、そんなに簡単に答えるわけはない。


人に何か教えてくださいよーって言ったって、情報が集まる事は無いから。


情報に、お金を払ったって、この街で情報屋なんか知らないし。


いろいろなお店を回りながら、女性陣は買い物を楽しんでいる。


工芸品のかわいいものや、面白いものや、使えるものを買っている。


そして俺の収納袋には、時間が経過しても腐ることがない収納袋があるので、特産品を購入している。


野菜や果物、焼肉、ハム、ソーセージ、魚介類などいろいろなものを購入した。


そして調理しなくても。すぐに食べられるもの購入しておいた。


サンドイッチやケーキとか。


食料は多くあっても構わないので、店主と話をしながら情報を探している。


しかしあまり有効な情報は無い。


今日は、この辺にして宿に帰ることにした。


宿に帰って夕食の時に、料理を持ってきてくれた、おばちゃんに、最近、変わったことがないか聞いてみた。


おばちゃんは「そうだねー、変わったことかい?」


ソフィアが「どこかで、多くの人を雇っているとか?」


ロゼッタが「街に人が多くなっているとか?」


イザベラが「急に税金が上がったとか!」


俺がおばちゃんに、数枚のお札を見せると、すぐに、おばちゃんはお金をとって隠すようにポケット入れた。


おばちゃんは、「街の中心部に行くと噴水があるんだけど、そこになんだか、人が多く雇われているところがあるんだよね。」と言って、おばちゃんは戻っていった。


料理を食べた後、部屋に戻って、作戦会議をすることにした。


まさか自分たちが泊まっている宿で情報収集ができるとは!


おばちゃんは時間を言わなかったので、今日の夜でも行ってみようかと思う。





その前に俺たちは、ブラッドフォード大公国にある山の中腹部にある山荘の温泉に入りに来た。


まずは山荘の中の自分の部屋に全員で転移してきた。


少しだけ、それぞれの部屋でゆっくりしてから、全員で温泉に入りに行く。


たまには歩いて行こうと言うことで、部屋から階段を降り玄関を通って外に出て庭を歩いて小屋まできた。


小屋の全員で脱衣場に入ってきて、俺だけ、隅っこの方で棚を見ながら脱いでタオルを腰に巻いた。


ゆっくり脱いだつもりだったんだけど、振り向くと、まだタオルを巻いていない人がいた。


ちょっと見てしまった。


そして外に出て露天風呂に入る。


しばらくするとタオルを巻いた女性たちが一緒に入ってきた。


硫黄の匂いがあるが温泉に入って、しばらくすると慣れてしまえば、そんなに強く感じなくなる。


もう辺りは真っ暗くなってきているので、ちょうどいい感じで月と星が出ている。虫の音がするので、味わい深い、もう虫の音がするのも最後くらい。


しばらくすると女性たちは、タオルをとって「ハァ〜」と言っている。


やはり温泉はタオルを巻いていると、ないのとは違うけど、俺は外すことができない。


だって裸の女性がいるんだよ。

そ、そんなことできないよ〜


いつも通りに女性たちは、俺の横に来たり近くにいる。

俺は目を上に向けてばかりで首が痛くなってきた。


俺たちは、しばらく混浴を楽しんだあと、トリスタン王国の宿に戻った。


なんだか以前よりも温泉に入るときに意識をするようになった。


宿に戻って、それぞれの部屋で、温泉の後の、まったりを楽しんで、準備を整えて街に歩いていく。


なんだか、交代、交代で俺と手を繋ぎながら。


交代で手を繋ぎながら歩いていくと、おばちゃんが言っていた中心部のほうに行くと噴水を見つけた。


その噴水に腰掛けて、温泉上がりの夜の買い食いをしている。


買ったものを食べながら、周囲を観察している。


そうすると数人の男たちが、ある建物に入っていった。


しばらくすると、建物から出てくる。


また違う男たちが、数人に入って言って、しばらくしたら出てくる。


なんだ、あの建物は?


大人の男しか入っていかないから、俺が言ってもしょうがないし、女性たちが行っても、違う感じがしたので、


俺が立ち上がって、「ちょっと行ってくる」と言って路地に入っていた。


路地に入って、誰も来ないのを確認して自分を透明化の魔法で見えなくした。


透明になりながら路地から出てきたが、チラッとメンバーの方を見るが、メンバーも俺が近づいたのは気づいていない。


建物に近づいて男が入るの待って、その男のあとについて建物に入っていった。


しかし建物の中は狭く、見つかる可能性があるので、俺は建物から出ることにしたが、入れ違いで入ってきた男にマーカーをつけた。


透明化の魔法を維持しながら、アリシアが座っている横に腰かけて意識を集中した。


俺が意識を集中しながら建物の中の会話を拾っていく。


建物の中で交わされる会話は、トリスタン王が人を集めているから、希望するやつは前金を少し払うから10日後に城門の外に集まれと言うことだった。


集まるか、どうか本当にわからない奴に、前金を払うなんてと俺は思ったが、それほど人が足りていないのかなと考えた。


俺は透明化の魔法を維持しながら、アリシアの横に座っていたんだけど、意識を集中して建物の中を伺っているときに、急にアリシアが俺の手を握ってきた。


俺は慌てた。

見えないようになっているのに、手を握られたから。


しかし落ち着いて、そのまま意識を集中して中の話を聞くことにした。


しかし、それ以上の情報は集まらなかった。


急に現れるとまずいので、アリシアの手を離して、路地に行って魔法を解いた。


そして噴水に座っているメンバーの元に戻ってきた。


「アリシアよくわかったね?」と俺が聞くと


「見えなくても、人がいるって分かったから、クリスだなと思ったの」と答えた。


なるほど、目には見えなくても、人がいると言うのを感じることができるんだ。


やはり狭い建物に入らなくてよかった。



もっと修行しなければ。



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