第240話 ブラッドフォード大公国 7
ハワード王子に国の発展に協力すると言って爵位をもらうことになった。
別に爵位をくれなくても、協力するときにはすると思うけど。
国が俺のことをつなぎとめたいんだと思う。
俺には、それだけの価値はないと思うんだけど、メンバーに言わせる、とんでもないと言われた。
それよりも全員が驚いたのが、どうして俺のことをハワード王子が神と呼ぶのか?
一国の王族たるものが、人のことを神と呼ぶ、それは普通のことではない。
しかもハワード王子が俺のことを心酔しきっている状態。
俺は少しだけ事件の顛末のことを話さなければいけないと思ったので、俺が忍び込んだ時に体が弱かった王子を少しヒーリングしたと言った。
王子は、それを感づいていたらしい。
そういう経緯があって俺のことを神と勘違いしていると思うと説明した。
「ハワード王子、お城に来やすいように、近くに部屋を借りられませんか?」俺は言った。
そうするとハワード王子は、
「すぐに、用意をさせます。」と言ったので侍女を呼んで部屋を用意してもらった。
俺たちは侍女に案内されて、部屋を見に来た。
借りた部屋は、国賓用の部屋だったので、すごく豪華で3つの部屋がつながっていた。
真ん中の部屋には、大きなテーブルがある、左側の部屋がそれよりも、さらに大きいので、こちらに長期滞在が出来るようにベッドを入れてもらった。
さすがに9つもベッドが入ると狭く感じる。
そして右の部屋にはベッドが1つ。
転移する場所と休憩場所が、お城の中に確保ができた。
もちろん城の兵士や騎士や貴族、文官には、周知してもらった。
じゃないと突然、現れた、怪しい奴になってしまう。
借りた部屋を見終わった後、もう一度、王子に会うことにした。
王子の戴冠式は1週間後だ。
王子は戴冠式まで忙しそうにしていたが、俺たちはすることもないので、街に繰り出すことにした。
シャーロットとセラフィーナは街には来たことがない。
実際にはセラフィーナはあるけど、誘拐されたままだから。
だから、ここがどんな街なのかということを知ってもらうためにも必要なことだ。
できるだけシャーロットとセラフィーナを中心に歩くようにした。
もちろん2人とも、この国の関係者と言うわけでは無いから、顔を知っている人は少ないと思うけど。
街を歩いているときに、そういえば以前、考えていた予知魔法のうちの、危険予知を鍛えることにした。
何事も練習だから。
この街の中には俺たちに対して悪意を持つ奴はいないと思うけど、殺意の予知と言うよりも、いやらしい目線の予知をすることにした。
そうすると、結構な数で、いやらしい目線の予知が働く。
ある男は、メンバーの胸ばかり見たり、他の男は足ばかり見たり、またある男は、お尻ばかり見ている。
また少なかったが、洋服の上からアソコを見ている奴もいた。
こうしてみると、露出が多い格好しているわけじゃないのに、いろいろ見られているんだなぁと感心する。
俺も、たまには見ているけど。
街を歩いていると、道路の先の方で騒ぎが起きている。
そちらのほうに行ってみると、酔っ払い同士が喧嘩をしていた。
しかも、1人は冒険者の格好をしている。
もう1人は兵士と言うよりも騎士かなと言う格好だ。
俺は、しばらく2人の喧嘩を見ていたが、一向に収まることもなく、兵士が駆けつけることもない。周りにも騎士みたいなのがいるんだけど、煽ることや見ているだけだ。
2人は、結構な傷を顔につけていた。
お互いが、同じレベルくらいなのでなかなかケリがつかない。
俺たちも、関わりたくないので見ているだけ。
どうしようかなと思っていると、「あなたたち、いい加減にしなさい」と俺の後方から声がした。
もしかして?と振り返ると、やはりシャーロット姫だった。
えー、なんで声あげるんだよ と思ったが、もう遅い。
そこに、怒りで頭が働くなくなった騎士が、刀を抜いた。それを大きく上段に構えて振り下ろそうとしていた。
声を出したシャーロットはキャッと言って目をつぶる。
俺は近くに動く人がいたので、いつでも動けるようにして静観することにした。
横にいたアリシアが、基礎魔法を展開した。
アリシアが展開した基礎魔法はシャーロットまでカバーできるものだったので、兵士が降り下ろした刀は、簡単に弾かれてしまった。
そこで怒りが、おさまったのか騎士が青ざめた。
アリシアが基礎魔法を展開したまま、前に出て「いいかげんにしなさいよね、騎士としてもあるまじき行為よ」と啖呵を切った。
よっぽど怒り心頭だったんだろう!
こんなアリシアを初めて見た!
怖いなぁ
騎士は、アリシアに言われて、酔いが覚めて冷静になったみたいだ。
俺は目だけで、アレクとロゼッタとパトリシアを捉えていた。
3人がアリシアが動く前に、切りかかろうとしていたからだ。
つまり騎士は、周りにいる4人から狙われていたわけだ。
しかもアレクとロゼッタとパトリシアは、すごい殺気を出している。
多分、酔いが覚めたのは3人の神獣の殺気だろう。それほどすごかった。
俺はアリシアが魔法を使おうとしていたのを見ていたので、とどまったが。
俺は3人の神獣の肩を軽く叩いた。
そうすると3人から発していた殺気が消えた。
危ないところだった、危険を感じていたのは俺だけではなかった。
普段はかわいい女性の格好しているので、つい、うっかりしていた。
この3人は、世界で、トップスリーに入る実力だった。
この3人よりも強い人はいない。
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