第239話 ブラッドフォード大公国 6

ブラッドフォード大公国の城門で門番に名前を告げると、お待ちしておりました、殿下がお待ちです、と言って、すんなり通してくれた。


俺たちは女性9人と、俺の総勢10人で兵士に案内されながら、お城に入っていくが、セラフィーナの様子を気にしながら進んでいる。


セラフィーナの顔を見ると、息が荒いし顔から汗が出ている。


セラフィーナに俺が近づいて「大丈夫?」と小声で言った。


セラフィーナは、きつそうにうなずいたので、何も言わず俺は手を差し出した。


セラフィーナは手を取ってくれたので、歩きながら俺は精神魔法を使った。


誘拐されて起きたことが精神の負担になっているので、和らげるために、記憶を少しだけいじった。


そうするとセラフィーナの顔色が徐々に良くなってきて、息も安定してきた。


「精神魔法は、使いたくないけど負担になっているみたいだから。 少し楽になった?」と俺が言うと


「クリス様、本当にありがとうございます、ずいぶん楽になりました!」と言ってくれた。


「あの、私もお願いがあるんですけど、シャーロットと同じように公爵様のことを、クリス様とお呼びしてもいいですか?」


別に断る理由もないので、いいですよと言っておいた。




俺たちは兵士に先導されながら、お城の王子のいる部屋の前まで来た。


兵士が扉を開けてくれたので、部屋の中に入っていくと、テーブルにはたくさんの書類が積み重なってあったが、ハワード王子は立ち上がって、俺たちに挨拶をしてくれた。


「神よ、先程は大変、失礼をいたしました、どうかお許し下さいませ」


とハワード王子が跪いた。


どうも城の中に入れなかったことを言っているらしい。


王子が俺のことを神と呼ぶのを聞いて、みんなびっくりしている。


「ハワード、私の事はクリスと呼んでください」と俺が言うと、神よ、わかりましたと言ってくれた。


そして王子が、テーブルの上を片付けて、俺たちは椅子に座った。


ハワード王子が「神…、クリス様、本日は、どのようなご用件で」


神と言おうとして、言い直した。


「今、俺がいるオーリス王国とブラッドフォード大公国の友好を築かないかなと思って、国交樹立して友好国になると、いろいろな物流を通しやすくなって国が繁栄すると思うんだよね。

もちろん同じものを売ったりするのではなくて、特産品や、その国しかないものを流通させると、お互いが変わってくると思うんだよね。前向きに考えてみない?」


「クリス様の言われる事はごもっともでございます、わが国も、あの事件以来、我が父である王と兄と弟は裁判が終わり死刑と言うことになりました。


もうすぐ私の王してるの即位式が控えております。二度と過ちを犯すことなく、クリス様にもご協力をいただけたらと常に思っておりました。

多大な恩があるクリス様には、わが国の宰相になっていただきたく思っております。」


「宰相と言うのは、私を買いかぶりすぎですよ。」


「だめですか」なんだかショボーンと落ち込んでいる。


ハワード王子は「では、先ほど公爵だと言われましたよね、では、わが国の公爵になっていただけませんか?


わが国が受けた恩に対してと言うのもあるんですが、あなたには私の相談役になっていただきたい。ぜひ、受けていただきたい。受けていただければ、この国に屋敷を用意しますので。ぜひに…」


と懇願されれば、嫌だとは言えない、わかりましたと答えた。


ハワード王子は感極まって、神よ、ありがとうございますと言っていた。



今は大公国も大変な時期に入っている、俺が当事者だけど、俺に何ができるかわからないけど協力することを約束した。

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