第228話 新たなの試練

僕たちはオーリス王国に戻ってきた。


度々、この国に戻ってきているけど、何かのことが終わって戻ってくると本当に、戻ってきたぞーと言う気がする。


本当に今まで、いろいろな魔法を研究したり、開発したり、学んだりしてきたが、魔法といっても万能なものはなく、いつかは魔力が尽きる時もある。


そのためには、もっともっと自分の能力を高めておく必要がある。


最近は特に、自分の屋敷をマラソンしたりすることや体を鍛えることもやっている。


魔法を使えば使うほど体力を消耗してしまう。


魔法を使う上でも、体力や運動力は大切なものだ。


どこかの勇者や英雄のように魔法力は、無限大にあるわけではない。


そのために今度は、本業の冒険者として活動しようと思う。


今の俺は最高ランクの特Sランクの冒険者だ。


しかし上位のランクを持っていても、冒険や剣術で取ったわけではない。


魔法でもらったわけでもない。


全てが切っ掛けでしかない。


と言う事は実力を伴っていない。


数人しかいないSSSランクだけど、人物的に評価が高い人は少ないと言われている。


高ランク者ほど、考え方が偏っている。


つまり変人が多いということだ。


その変わった特技でSSSランクを取っているみたいだ。


今もいるか、わからないけど、一人は体を鍛えることで、SSSランクになったと噂で聞いたけど、体を鍛えて、どうしてSSSランクが取れたのかまでは、伝わってこなかったからわからない。


本当の正真正銘の特SSSランクになることにも、メンバーもそう思っているから、朝のトレーニングは欠かさないし時間があれば走り込みをしている。


普通は、魔法か剣か、のどちらかだけど、俺たちは両方を鍛錬している。


基礎魔法を展開して、刀で斬りつけられても大丈夫なように訓練は積んでいる。


しかし、それは、基礎魔法を展開している場合だけだ。


いわゆる魔法も使えて、剣も使える、魔法剣士みたいになることだけど、今は剣よりも魔法の方が優先している。


強い魔法を持てば、魔法が体を守ってくれる、どんな剣でも通過できない魔力を持つことだと俺は考えるから。



さらに実践的に鍛えるためには、やはり冒険者が一番だと思う。


メンバーを集めて、「3日後から冒険者ギルドに行って依頼を受けようと思う」と言った。


どんな依頼があるか冒険者ギルドに行ってみないとわからない。


最近は本当に冒険者ギルドに行く機会がなくて、依頼表を見ることさえなかった。


もちろんメンバーだって行かないと言う可能性だってあるので、全員の顔を見ながらお伺いを立てると、反対するものはいなかった。


そして全員に爆弾発言をする。


「 全員に聞いて欲しいんだけど、実は、俺には前世の記憶があるんだ。」


アリシアは以前、俺が話をしている


アリシア以外は驚いたような顔をしている。


でも神獣の3人は顔が違う。


神獣の3人は、話していないはずなんだが‥‥‥


「 俺は今から約300年以上前にアルベルトと言う名前で生きていた」


全員が黙って聞いている。


「その時の俺は、ある国の国王直属の魔法使いだったんだけど、その国に隣の国からから急に攻め込まれて戦争になったんだ」


「すぐに自分が所属している国も戦争体制を整えたけど、準備不足のまま、戦争が激しくなっていき、だんだんと押され気味になってきたんだ。


もちろん、俺も王国魔法師団を率いて戦ったけど、みんなも知っている通り魔法師は後ろから兵士を守るのが役目だよね


魔法師は、後方から支援していたけど、徐々に平和な世の中が長すぎて鍛えることもしなくなって魔法欠乏症になり敵の多さから、徐々に前の兵士が倒され少なくなっていったんだ」


そして敵は俺たちの国の農民まで兵として使っていたんだ

家族を人質に取って、しかも前面に出してきたんだ、盾として


だから人数が多いのに、さらに膨れ上がって、味方の兵士も少なくなって、魔法師も減っていったんだ。


敵は、高明な魔法師だった俺を狙ってきたんだけど、俺も兵士や農民を多く殺してしまった。


でも殺しても、殺しても、減ることがないくらい殺戮を繰り返していくと僕の心は疲弊してきたんだ。


目の前に怖い顔をした農民が迫っているんだよ。それをみ続けていたら心が疲れてしまって、もう殺したくないと思うようになってしまった。


そう思ってしまうと、魔法の力も発揮することができなくなって、目の前にいる平民に胸に剣を刺されてしまったんだ。


さらに数人が、切り付けてきたんだ。


俺が、このまま死んじゃうって一瞬だけ思って相手の顔を見たら、相手も恐々、近づいて震えていたんだ。


俺は薄れゆく意識の中、どこかが暗闇に引きずり込まれそうになって意識が消えたんだ。


そして俺の意識が戻ったときには、クリスと言う少年の中だったんだ。


だから今でもアルベルトと言う名前を使ったり、クリスと言う名前を使っているけど、もう、これからは二度と同じ過ちを犯さない…、いや犯したくはない。


今でも死んでいく瞬間を覚えている。


胸を刺されて血が多く流れて、立っている力もなくなって、冷たい地面に倒れて、それを感じながら意識は遠のいていく、自分が死んでいくことがわかった瞬間、俺は、なんて馬鹿な人生を歩んできたんだろうと思ってしまった。


1人で暗闇に引きずり込まれようとしていく、怖いんだ」


僕は、自然と涙が落ちてきた。


次から、次から涙がこぼれ落ちてくる。


そんな時に、アリシアが僕の体を優しく抱きしめてきた。


さらに他のメンバーも、次々と僕を抱きしめてくれたり、手を握ったり、暖めてくれた。


全員が涙を流してくれた。




俺は、このメンバーを守りたいと思う。


そのために努力をするし、能力を向上させていかなければいけない。


それが、俺に与えられた試練だ。


今の公爵としての地位も、結果的についてきているだけだ。


しかし、いつも張りつめた心では、持たない。




翌日、俺たち、メンバー全員で冒険者ギルドに向かっている。

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