第204話 誘拐犯 3

俺たちは宿に戻って今回のことを話し合っている。


「 今回は俺たちが見つけることができたから、32人の子供を助けることができた。


そして誘拐犯も多くの犯人をとらえることができたと思うが、こんなのは底辺の1部だろう。


みんなも実際に現場にいたりして実感はあると思うので、気をつけなければいけないけど、俺たちにしか解決する事は不可能なのかもわからない。」


「その時には俺の全能力を持って対処しなければいけないと思う」俺は下を向いてテーブルに乗せた自分の手を見ていた。


全員、ここまで何も一言も話さない。


「今から誘拐犯の殲滅を行いたいと思う。 それにはみんなの協力が必要だ。」


と俺が言ったところで、俺の手をアリシアが握ってくれた。


そして、その上に、ソフィアが、イザベラが、アレクが、ロゼッタが、コリンが順番に手を置いていった。


言葉は無いけど、全員が賛同してくれたものと俺は思っている。


「しかし、手がかりになるものが、あのアジトで見た書類しかない」


「あの書類には、名前など一切ない。どこから見つけていけばいいのか。それが今の俺にはわからない」


それを聞いていたアリシアが、

「クリス、以前、やっていた皇帝の娘さんを見つけるやり方、できないかな」


「あの時は、皇帝の娘さんの写真があったからできたと思う、でも今回は写真がないんだよ!」


「写真でイメージすることで感知魔法の中に引っかかってくるんだ」


「じゃぁだめか」とアリシアがつぶやいた。


ソフィアがその時、「アルベルトの魔法は写真があることでイメージすることだよね、誘拐犯たちは、麻袋に入れるのが特徴みたいなんだけど。」


ソフィアが続ける、「だったら麻袋に入れられている子供たちをイメージして見つけられない?」


その言葉に俺は目が覚める思いがした。


子供をイメージすることができるんだったら麻袋に入っている子供を手、足を縛られている子供をイメージすることができたら、しかし現実問題に、そんなことができるんだろうかと俺も一瞬、考えてみた。


しかし、考えてみるんじゃなくて、実際に実行してみる思いに駆られる。


以前、やった時は初めてだったので、かなり疲労疲弊してしまったが、今回は、一度、覚えたことの応用をすればいいわけだから、そこまではならないと思う。


「今、ソフィアが言ったことしか見つける事はできないと思う」


「だから、感知魔法で、ソフィアが言った、やり方をやってみようと思う」


そして全員を見渡しながら、アレクとロゼッタが他のみんなとは違う顔をしていた。


何か言いたいのかな?


アレクとロゼッタの2人を交互に見ていると、ロゼッタが、「妾たちが力を貸そうか?」と言ってきた。


「私たちが力を貸せは、ご主人様は、そこまで消耗もしないと思うよ」とアレクが言った。


「力を貸すっていうのは、どうすればいいの?」


「それは妾たちに任せれば良い」とロゼッタ


「じゃあ任せるよ」と俺が言うとアレクとロゼッタが俺に近づいてきて、横から抱きついてきた。


2人とも胸は豊満だから、すごくいい気分になる。


それを見ていたアリシアが、頬を膨らませながら俺の手に自分の手を重ねた


アリシアが頬を膨らませたのを見て冷や汗かきながら、俺は目を閉じて集中力を増していくが、さらに俺の手の上に複数の手が置かれた。


俺は、どんどん集中力を増して感知魔法を展開していく。


アレクとロゼッタのおかげなのかわからないが、すごく魔力が増したような感じで感知魔法の展開が速くなる。


そして、より強く鮮明になっていく。


自分でも驚くほど感知魔法の展開が早くなっていく。


さらに意識を集中しながら、いろいろなところを確認して麻袋に子供たちが入っていることがないか確認したり、手や足が縛られていないか確認していく。


人々が歩いている雑踏を確認しながら、その中に子供たちがいる現場を探していく。


そうすると二組見つけた。


捉えられている人数は2人と、もう1組が4人だ。


子供が二組捉えられている現場には誘拐犯だと思われる男たちが3人。


そして4人の子供が捉えられている現場には男たちが6人。


場所と方角をイメージしながら、どれぐらい離れているか確認して感知魔法を終える。


「あと、この街に二組の捉えられている子供たちがいる」


俺は感知魔法を解除して、説明した。


俺たちは、すぐに、4人が捉えられていて、男たちが6人いる現場に急行する。


もう慣れたこともあるので、説明は省いて、それぞれの顔を見て、確認する。


俺は、瞬間転移してきた。


前回と同じように捉えられている子供たちに、すぐに結界を張って守る。


そうして急に現れた俺たちが6人の男たちを倒した。


現場で憲兵隊を呼ばない限りは証拠がないので、すぐにソフィアに憲兵隊を読んでもらうようにギルドカードを渡してお願いした。


そうするとすぐに憲兵隊が駆けつけてくれた。


以前と同じように眠らされている子供たちに、覚醒の魔法を使って目覚めさせ、傷がないか確認して女性メンバーについてもらう。


俺は説明もしないまま、あとは憲兵隊に任せ、次の現場に急行した。


2人が捉えられている現場には、男が3人しかいないので、子供たちを守るために結界の魔法をかけて、男3人を倒して、またソフィアにギルドカード渡して憲兵隊を呼んでもらった。


男6人たちの現場には何もなかったけど、ここの3人しかいない誘拐犯たちの場所には、書類が置いてあった。


誘拐するのは女の子供で5人、拉致せよと書いてあった。


憲兵隊が来る前に、書類から指紋が読み取れないか確認する。


そういう魔法を使った事はないが、指紋と言うのはその人のイメージが重なる時があるから。


確認してみると指紋が出てきた。


その指紋を俺は頭の中に焼きつける。

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