第188話 行方不明

今まで自分がもらった屋敷にいたんだが、庭の端っこに小さい小屋があって、階段を降りて、降りた部屋で部屋の中をウロウロしていたら、魔法を使ったら、急に、まばゆいほどの光が発生して、今ここにいるわけだ。


どこだ、ここは?


たぶん何かの魔法陣が、俺の魔力に呼応して起動したんだと思う。


俺の転移に似ているが、違うような感じもする。


しかし、一体ここはどこなんだ?


俺は、だだっ広い空間をウロウロしている。


一応、自分が出現した場所を記憶するために、マーカーをその部分にしている。


ウロウロしすぎて、わからなくならないように。


何回も自分が出現した場所を振り返りながら確認している。


しかし、ここはどこだ?


白い壁が、永遠に続くような、だだっ広い空間、というのが、この部屋のイメージだ。


どこまでも続くような空間。


そして扉がない。


俺は、どこに来たのか?


なんだ、ここは……



しばらくは歩いてみたが、白い空間が続くばかりで、壁もないし扉もない。


こんな空間は初めてだ。


なんだか今までで、最大のピンチのような気がする。


どこまでも広がる広い空間だなんて、使いようがないし意味もない。


だから、どこかに、何かがあるはずだ。


俺は何かを探すために、自分の手のひらに火を出してみた。


炎のゆらぎと、煙がどちらに流れていくのか。


手のひらに炎を出して、煙がどちらかに流れていけば、そちらに隙間があると言うことになる。


炎を見つめていると煙が真上ではなくて、少し横に流れていく。


閉鎖空間になっているけど、空気がなくなれば意味は無いので、何かがあると思う、煙が流れる方を炎を出したまま確認しに行く。


誰がこんな空間を作ったのか、しかも、ここはどこなのか。


手に炎を出しながら、煙が流れていく方向を見る。


そうするとある方向に足を運んでいくと、そこに壁があった。


遠くから見てもわからない壁だったが、近寄ってみると煙は確かに壁に吸い込まれていく。


しかし煙が流れると言う事は吸い込まれる方と入ってくる方が存在しなければいけないので、今は吸い込まれる方を確認してみるが、触ってみても何もない。


何もない壁に煙が吸い込まれている。


う〜ん、わからないなぁ


しばらく触ってみるが、わからない。


仕方がないので、この部分を印をつけてマーク。


そして今度は逆側に行ってみる。


つまり空気を吐き出している方だ。


煙が流れる反対の方向にどんどん、どんどん歩いていくと、壁に行き渡った。


でも、先ほどは、なかった位置に壁ができている。


もしかしたらここの空間は、自分の意思に反応するんじゃないだろうか。


自分がここに壁があると思えば壁が出来上がって、広い空間だと思えば空間になってしまう。


そして今この空間にいても、敵の攻撃も受けていないし酸素も十分にあるような感じがする。


と言うことを考えれば、俺は座り込んだ。


俺は空間とという言葉で思い出すことがあった。


それは前世で本で読んだことがある、空間魔法だ。


この空間が、空間魔法で作られているんじゃないだろうか。


今、座っている俺が、もっと狭い空間になれと意識を集中してみた。


そうすると空間はシュと瞬間的に縮まって俺の前後左右1メーターの距離になった。


なんとなく、この空間がわかってきた。


多分、ここはいろいろなものを実験する空間なんじゃないだろうか。


それを誰かが作って、今まで残っていると言う事だ。


誰が作ったのかと言うのは資料もないからわからない。


そして、どうやって作ったのかと言うことも研究してみなければわからないが、ある程度の理解はできた。


なので実験してみる。


上空を見上げて天井が高くなるイメージを強く持つと急激に広がった。


そして俺は、飛行魔法で浮かんで、床を50メートルくらい深くするイメージを持つ。


そうすると本当に50メーターくらいは深くなった。


なるほど……


今度から、この空間に転移すれば練習ができる。


直に転移できるのかと言う問題があるが。


この空間から脱出を試みなければいけないので、俺は意識を集中して、転移の魔法を使った。


そうすると、階段を降りた部屋に転移ができた。


多分、この空間を作ったやつは、自分で転移することができなかったんだろう。


だから魔方陣を作って転移することをしたと思う。


なるほど、空間魔法でもこういう使い方があるのか。


考え事をしていて地下室に戻ったときには、アリシアが泣き崩れて座っている、そしてパーティーメンバー全員が涙を流しているとこだった。


俺が瞬間的に考えながら現れると、全員がすごい勢いでパッと俺のほうに顔を向けた。


俺は把握できないまま、アリシアが立ち上がって抱きついてきた。


そしてソフィア、イザベラ、コリンが同じように抱きついてきた。


女の子たちのあとにアレクと、ロゼッタも抱きついてきた。


「もう、クリスったら死んだと思ったじゃない」とアリシア


「急にいなくなったって言うんだもの」とソフィア


「心配していろいろ探したじゃない」とイザベラ


「本当に心配した」コリン


「目の前でいなくなるから心配したわよ」アレク


「本当に探したのじゃ」ロゼッタ


と全員を心配させたみたいだ。


「いやー、俺もびっくりしたよ」


全員が落ち着くのを待って、俺が引っ張り込まれた空間の話をする。


そしてどこかに研究資料があるんじゃないかと言う話になったが、今いる部屋を探し回っても何も置いていない。


部屋らしい部屋は感知魔法で確認してもなかった。


いや、待てよ、俺は部屋を探していた、部屋じゃなくて、どこかに空間があるんじゃないだろうか?


と思って空間を意識して探してみると、床下に空間があった。


空間と言うわけではなく、ものを床下に隠している。


そこを開けてみると、資料が出てきた。


確かに床下収納みたいに入れているわけではなくて床の下に空間を作っている。


その空間に資料を入れていたわけだ。


だから普通の感知魔法ではわからなかった。


俺は空間魔法でも、異空間収納しか理解していなかったが、こういう使い方もあるのかと研究しなければいけないと考えている。



本当に今回は心配をかけた。


でも1番びっくりしたのは、俺自身だ

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