第172話 基礎訓練


俺たちは魔法の訓練をするために誰もいない野原に全員で来ている。

俺の感知魔法で確認しても街道からも離れているので見られる範囲には誰の気配もない。

今日は何の訓練するのかと言うと、今回は冒険に出るための基礎訓練をしてもらおうと思っている。


基礎訓練は、ほんとうに基礎中の基礎だけど、本当は奥が深い。

しかし、あまりにも、シンプルだから、多くの人は途中で断念してしまう。

面白味がないのが原因なんだけど。


冒険者として、やっていく為にも必要なこと、別に魔法使いにならなくても剣で相手する時にも、最低限の基礎ができていないと、剣のスピードの変わってくる。


筋肉の力で剣を振るっているのが普通だけど、筋肉だけじゃないスピードがある。

そして重たさ、剣を振るうときには、重たい剣だと、はじかれないでズシッとした剣になるから。


多くの人は筋肉だと思って筋肉をつけようとする。

だから女性の筋肉でも、大柄の体格の男でも剣で勝つことができる。

また、いるかいないか知らないけど、勇者にも勝てる可能性もある。


剣に魔法を乗せる形をするわけだけど。

そうすると、魔法力の多さにおいては、剣が光をおびる。

光の色は、魔法の質で違う。

その魔法の力を帯びさせるかで、剣の光の色が変わってくる。


例えば火の魔法だったら、赤色になる。

土の魔法をおびると、剣は茶色になる。

風の魔法を帯びさせると、青色になる。


また魔法を複数活動させることができると、金色に光ってくる。

その色を濃くしていく事ができるんだが、ほとんどの人はできない。

その理由は、色が変わったことに喜んでしまい、それ以上、基礎魔法を練習しないから。


でも色を剣に帯びさせるのは、難しいから多少、魔法を使える程度の人ばかりだから色つきの剣はできないと思う。


色つきの剣にして、色を濃くすることができれば、上達している証拠だと思う。

薄い赤から、濃いい赤になればなるほど、その分野の魔法が上達している証拠になるから。


今から、練習魔法は、基礎訓練だけど、基礎訓練をするときでも、何の基礎訓練をするのか、考えなければならない。

何をするのも意味があるから、、また、意味が必要になるから。


意味、または、理由がないのに、しても伸びない。


まずはソフィアに火の魔法を展開してもらい、剣を赤くしてもらう。

しかし、剣は赤くなることはない。


イザベラも火の魔法を発動してもらい、剣を構えて、剣を赤くしてもらうが、赤くなることはない。


コリンにも同じことをしてもらうが、赤くならない。


アリシアに同じことをしてもらうと、アリシアが手に持っている剣が、うすく赤くなった。

最近は、どうしてかわからないけどアリシアの伸びが大きいような気がする。


アレクに実践をしてもらうと、瞬時に剣が真っ赤になって、剣がボロボロになってしまった。

「あれっ」

俺は頭を抱えた。

「アレク、魔力のコントロールをして」

「うん、わかっているんだけど、久しぶりに復活したから、まだ、コントロールできなくて……」


「じゃ、俺が魔法を剣にこめて、いくから見ていてくれる?」

そうすると全員が、俺と距離をとってみている。


俺が剣を持って、ゆっくり魔力をこめていく、そうすると一瞬で、剣が赤くなっていく、さらに、さらに赤さが濃くなっていくのを見せる。


ゆっくりしたのは、メンバーに見せるためだ、俺は、もう少し早く展開できるけど。


俺も、もう少し練習しなければいけないな、少しでも早く展開できるようにしないと、と俺は考える。


「じゃ全員で練習してみて」


しばらくは剣の色を変えることをしていた。

でも、同じことばかりでは集中力も途切れてしまうので、そろそろ、体を動かしてもいいと思ったので、


「そうそろ、実践を始めるよ」

「でも、剣に魔法は込めないでね、危険だから」

おれは剣に、魔力をまとわせる。


そして、その剣を誰もいない方向に向かって、振るった。

そうすると、「ズバッ」とすごい音がして、あたり一面、焼けこけた。


「あっ、やべっ、やりすぎた」

アレク以外の、みんながびっくりしている。

「軽くしたんだけど……」

おれは、ごまかす意図もあって、剣に魔力をまとわせるのを繰り返している。


俺も威力の調節を練習しないと!!

おかしいな、以前したときは、ここまで強くなかったのに、成長しているからかな?


焼け焦げた地面は水魔法で消化した。

すごい範囲の地面が焼けてしまった。

そしてマグマが落ちたように灼熱化している部分もあった。


これも依然、発火の練習をしたからかな?。

アレクだけは、それを見ていた。

今日のアレクの洋服は、以前、着ていたワンピースじゃなくはブカブカだったので、メンバーが新たに買ってきてくれたワンピースを着ている。


これから実践してもらうことになる。

初めから剣で攻撃してもらうと危ないので、拳で戦ってもらう。

もちろんアザができたら大変だけど、痛い思いをすることも大切なんだけど、恐怖が出てしまうと大変だからプロテクターをしている。


もちろんアザや怪我は治せるけど。

アザやケガを治しても心の傷や恐怖心は消えない。


攻撃するときにはプロテクターの部分を攻撃してもらうようにする。

最近は一番、伸びてきているのはアリシアだ


2番目はソフィア、3番目がイザベラ、コリンが4番目くらいかなって感じ。

まずは、ソフィアが守りで、アリシアが攻撃をする


ソフィアに基礎魔法を展開してもらう、魔法を纏うようにして濃密にしていく。

準備ができたら手を挙げてもらう


「アリシア、プロテクターのあるところを思いっきり拳で殴って」

アリシアは、構えてソフィアのプロテクターのある位置、めがけて拳を振りかざす。


「ガンッ」と大きな音がしたが、プロテクターまで届いていない。

アリシアが拳を痛そうにしているので、俺の所まで来てもらって治療をする。

本当は俺のところまで来てもらわなくてもできるんだから。


「全員、見ていてわかったね、ソフィアがしているプロテクターまで拳が到達していないんだよ」


「と言う事は、ソフィアの基礎練習はしっかりできていて、拳を防ぐだけの濃密さがあると言うことだよ」


「じゃあ、今度は交代ね」

今度はソフィアが拳で攻撃して、アリシアがそれを防ぐ。

アリシアが基礎魔法を展開する。魔法をまとって濃密にしていく。


準備が終わって手を挙げたので、ソフィアが思いっきり拳でプロテクターを殴る。

「ガ〜ンッ」と大きな音がしたがプロテクターまでは到達しなかった。


ここまでは成功なので、


「じゃぁ試しに、俺が攻撃してみていい?」と言うとアリシアは手を挙げなかったけど、ソフィアが手を挙げた。

ソフィアが基礎魔法を展開して脳密にしていく


ソフィアが基礎魔法を展開して脳密にしてい、準備ができて手を挙げたので、俺がソフィアのプロテクターめがけて攻撃をする。

攻撃する前に、「あっそうだ、忘れるとこだった」


「ちょっとソフィア、そのプロジェクターの上に、全員のプロテクターもつけてくれる」と俺が言ったので、ソフィアは4枚重ねてプロテクターをつけたわけだ。


「じゃぁ基礎魔法を展開して濃密にしてくれる」

準備ができたのでソフィアは「いいわよ」と言った。

俺は軽い力でソフィアのプロテクターに拳を叩きつけた。

「ドガッ」凄い音がしてソフィアが吹き飛んで気絶した。


あれっ、そこまで力入れてないんだけど!

急いでソフィアのところに全員が駆け寄って、俺が治癒魔法を使う。

しばらくしてソフィアは目が覚めたので

「ごめん、ごめん、軽くしたんだけど」と言って謝りながら治療をしていく。


本当に軽くしたので、こんなはずじゃなかった。

自分の方がびっくりだ。


ソフィアは目が覚めたけど、まだぼーっとしている感じがあったので、さらに治療を続けるとしっかりしてきた。


「もう、クリスったら」と言って立ち上がった。


そして全員でプロテクターを見たら凹んで傷が入っていた。


「まさかと思って4重にプロテクターをしてもらったんだけど」

「ここまで威力があるとは思わなかったよ、自分でもびっくり」

「本当にソフィア、ごめんね」


「もう、いいわよ、そんなに謝らなくたって、クリスのような人が来たら、私が展開していた魔法じゃダメだってことね」


「まぁ、そうだね」

俺は顔をポリポリ書きながら冷や汗を垂らしながら言った。

自分の実力に自分自身が驚きながら、こんなんじゃぁ相手がいないことになる。

あっ、相手がいた! と思った。


錬金術で壊れたプロテクターを直して、「じゃあ今度は、同じような感じでイザベラとコリンが戦ってみて」と言って、俺はアレクの方を見た。


アレクは、今は人型をしているので、目がクリクリっとした髪の長い可愛い女の子だ。

本当に見た目で、こんなに可愛いのに、強いんだろうか?


「アレク、ちょっと勝負してみない」

「うん、いいよ」


と言うので、俺たちは離れた位置に移動した。

「じゃぁ、何でも使っていいからね」と俺が言って戦闘開始


俺が、瞬間的に動いてアレクの死角に入って拳で殴ろうとする。

しかしアレクは、瞬間的に、俺の方を向いて手で止めた。


右足で蹴りを入れようとしたが、それも手で止められた。

一度、離れる


俺はアレクから離れたつもりだったけど、アレクの方がすごい勢いで近づいてきた。

そして拳で殴ってくる。


その拳を、俺も手で受け止める。

アレクは、右足で蹴りを入れてくる。


アレクは戦闘するつもりで来ていないので、ワンピースを着ていたが、パンツが見えた。

なんてことを考えながら、戦闘を続ける。


「じゃあ、ここからは魔法もありでと言うことで」と俺が言うと、アレクは巨大なファイアボールを作って投げた。


俺は、瞬間的にファイヤーボールを体の表面に、手だけに魔力を集めて濃密にして受け止めた。


1点集中の魔法だ。


ある程度実力がわかったので、アレクに、もう終わりと言って終了を告げた。

「アレク、すごいな」と言うと、ご主人様こそ実力の半分も出していないでしょうと言われた。


「じゃあ、みんなのところに戻ろうか」と言って4人のところに戻ってくると、あきれられていた。


「どうしたのみんな」と俺が聞くと、クリスとアレクの戦いが凄すぎて、と言われた。


「もう、現実じゃない戦いだよ」とアリシアが言った

イザベラが、「異能同士の戦いだね」

イザベラがそう言うと、全員がうなずいていた。


「まぁうん、実際にはレベルが高ければ高いほど、すごい戦いになるわけだけど、それに、できるだけ対応できるようにしておいて欲しいんだ。


そして、ここにいるアレクは、いざ危ない時が起きた場合に守ってもらうために来てもらったんだ。


今から本当に何が起きるか分からないし、自分の命が危なくなる場合もあるかもわからないから、できるだけ自分でも高めなければいけないし、他人に守ってもらうだけでは、その人がいないときには、どうするのかということを考えて欲しい」


「その間、ここにいる俺やアレクが手助けしてくれるから。


今の俺との戦闘を見てもわかるけど、妹みたいな存在だけど、実際には伝説級の女の子だよ。


俺も人だから、うっかりする時もあるけど、アレクと協力して鍛えたり、仲良く生活して成長していこうと思うんだ」


「だから、みんな新しくできた仲間のアレクと仲良くしてね」と俺は言ったが、実際に、自分を守ると言う事は本当に大変なことなんだ。


前世でも魔法使いだった俺は、戦争に巻き込まれて、長期間に及んだ戦争で疲弊してしまい魔法が使えないほどのことが起きて殺されてしまった。


誰かを守りたいと言う意思があったって、守れないこともある…


なんで戦争なんか起きるんだろう

どうして人と人が殺し合いをしなければいけないんだよ


戦争をしたくない人が強引に参加しなければいけない状況になる、それが戦争なんだ。

戦争をしたい奴だけ人が住んでいない、どこかの島で戦争すればいいのに。


本当に、ごく一部の奴の考えだけが戦争を引き起こしていく

なんだか最近、以前の自分が殺された記憶が蘇ることが多い。


冷や汗をかいて目覚めることもある。

なんだか悪い予感がするんだ


予感が当たらなければいいけど


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2023年2月19日

今まではプロローグ7で終わっていたのを、プロローグ10までに増やして変更しております。


特にライラとアルベルトのシーンは大幅に変更を行いました。


変更がないシーンもありますが、特に力を入れたのはプロローグ9、10です。


ライラとアルベルトのことを書いてあります。できたらお楽しみください。


最後にブックマーク、ハートマーク、星マーク いつも励みになっております。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る