第156話 調印式が終わった

「ふぅー」やっと調印式が終わった。


俺は舞台の上で、調印式が行われている横で座っていたので、街の人たちから、じーっとみられていたので、疲れた。


人の目が集まるという事は、緊張もするけど、疲れる。


普段から王族みたいに、注目されるのに、慣れていない。


なんせ、田舎の出身だから、人の目の怖さを良く知っている。


そして前世で、俺のことを、もてはやした村人が、最終的に俺のことを、忌み嫌い、は軍に売ったわけだ。


軍に売られた俺が、どんなにつらい目にあったか、今でも忘れることがができない。




調印式が終わって、気苦労で疲れ果てた俺は、王城にある貸し出された部屋に戻ってきた。

俺は、ベッドの上で寝転がって、目をつぶって疲れを取ることにした。


自分たちで作っているポーションを飲みながら、自分で回復魔法を使って回復させる。


しばらくすると調印式を見ていたメンバーの女の子4人も部屋に入ってくる。


俺がベッドの上で横になっているのを見て、音を立てずにゆっくりと入ってきて椅子に座っている。


メンバーが入ってきたときには、目覚めていたんだが体の疲れは取れたけど、精神的な疲れは簡単に取れないので、目は閉じたままにしておいた。


テーブルについた女の子たちは、声を低くして、こそこそ話している。


「すごかったね」とか、「格好良かったね」とか、「王女となにを話をしていたんだろう」などの声が聞こえてくる。


これ以上、何か言われる可能性があるので、俺は背伸びをするようにして起きた。


「あれ、来てたんだ」


そう言うとアリシアが、「うん、さっきね」と返してきた。


あと、こういう行事をダイラス連邦でも、やらなければいけないので本当に気が重たい。


「なんだかクリス、お疲れね」とアリシアが言ってくれたので、「本当に気疲れするね」と返した。


ソフィアが、「でも今回の国交樹立と言う一大事のことも、あなたが、切っ掛けなんだよ」


アリシアが、「本当に、そんな一大事だことをクリスがしたんだよ」


イザベラが、「本当にね、普段は、だらしないのに、なんでこんな男が、と、いつも私は思うわよ」


コリンが、「………」何も言わなかった。


調印式が終わった、明日、王国の文官たちをダイラス連邦に連れて行く必要がある。


そして、今日から10日後、ダイラス連邦で形式だけの調印式を行う。


ほんとうの調印式は、今日、終わったので。




10日が過ぎて、今日がダイラス連邦での調印式の日になった。


調印式では、王族全員が参加している。


滞りなく調印式は終わり、何かの発表があるようだ。


俺は調印式のテーブルの横の方で聞いていたんだけど、首長が、俺の方を向いて全員に大きな声でしゃべっている。


首長が言うには、

「このたびのオーリス王国との調印ができたのは、ここに、おられるオーリス王国の公爵のおかげである。


公爵は、オーリス王国でも数々の功績を上げて、わが国とオーリス王国の友好を結んでくれた。


ここに、わが国でも公爵の功績に報いるために、名誉公爵の地位を授ける。


わが国における名誉公爵の地位は、かなりの貢献度がないと与えられるものではない。


しかし公爵殿には、その功績以上のものがあった、ここに爵位を叙爵することを、私が宣言する」


俺はそれを聞いていて、愕然とした。


何も相談なく、叙爵されても困るんだけど。


もう、いらないよ〜


なんて言うことを考えていたら、ステージの外から見ていたりアリシアが、なんだか誇らしげ!


隣にいるシャーロット王女からも、「すごいですね、公爵」と言っていた。


「2つの国から公爵の地位をいただけるなんて」


シャーロット王女、俺が余計に落ち込むようなことを言わないでいただきたいと心の中で思った。


俺は苦笑いを返しておいた。



まぁ、両方の国で公爵になっても、名前だけのようなものなので、土地も持っていないし、お城にも住んでいないし、王城の中のお城の部屋は仮住まいだし。


公爵になって間もないから、いろいろなことがわかっていないような感じだけど王様から仕事を任せられて、他国を回ることを続けなければいけない。


しかも、そのことを知っているダイラス連邦の首長から、わが国にも情報を提供してくれと言われた。


ここでも、調印式の後にパーティーが行われた。


俺のメンバーも参加できるので、前回と同じように全員がドレスを着ている。


今回のドレスは前回と違って新調したドレスだ。

すごく高かったけど、女性がドレスを着るのはいいよね!


なんだか普段はドレスなんか着ていないから、わからなかったんだけど、ドレスと言うのは胸の谷間を出したものが多い。


見ている分はいいけど、俺はアリシアのドレスを見て、他の男から見られることに、ちょっとショックを受けたので、いい気分がしなかった。

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