第155話 調印式2

調印式の当日が、とうとうと言うか、俺にとっては、やっと、と言った方が良いと思う。


今日で解放されることはないと思うけど、一段落は嬉しい。


今まで、俺はオーリス王国と、ダイラス連邦を転移を繰り返しながら、魔法を行使しているけど、便利屋じゃない。


しかし、俺には村にいる時から、宿命みたいなものを感じている。

それが何かは今は、わからない。


いつも覚醒してから、こちらの世界の中で俺は、焦燥感を常に感じて、焦りを持っているから。


調印式は、一大、イベントと言える。


今日の調印式には多くの人が見物に来ている。

オーリス王国としては、初めての一大、イベントだ。


たぶん

いままで、隣の国同士でも、商人の物の流れは当然あったが、国が動くようなことはなかった。


商人はものを動かして流通はあるけど、国家が関与することはなかった。


税金だけ取って、終わりと言う感じだと思う。


あとは勝手にやればいいという国が多くあり、国が動くということは、ものではなく、人の交流も盛んになってくる。


例えば、2国間の武芸大会とか。


できたら、それで終わりではなく、軍の交流をしてほしい所だ。


もしかしたら、2国で、司令官は一人とか。

指令系統が、まとまっていると、軍を動かすときに、判断する時にも、しやすい。


2国の軍隊を一人の司令官が動かすわけだけど、そうすると、他の国から侵入されにくいと思う。


もちろん、その兵力をもっていれば、関係ないけど。


調印式が行われる広場では大勢の人が行き交っている。


式典には、大きなテーブルにはアーロン王国の関係者とダイラス連邦の関係者が席に座っている。


調印式は、国の一大行事だから、それだけ警備は厳しいことになる。


当日の調印式は、両方の国の関係者しか、用事はないから、俺は関係ないので、暇になると考えていた。


当日になって、俺は、今日は当日だから、関係ないから、今日は何をしようか、と考えていたら、文官の人に見つかってしまった。


「あっ公爵、どこにいたんですか?」


「えっ、今日は、俺は暇だから…」


「何を言っているんですか、当事者の方が…」


何を言っているのか、わからない……

「今日、必要な人は当事者だけでしょ??」

「あなたが、両国を、むすんだんでしょ?、てっきり、伝わっていると思っていましたよ、今から、調印式にいきますよ」


「そうなの?」


「そうです」


あ~今日も、俺は、忙しくなるのかな。


でも、俺は当事者でも、いるだけ。


調印式の席に座っているだけ、退屈で、しょうがなかった、そして眠くて。


俺が調印式の隅っこに座っているだけで、退屈そうにしていたら、メンバーは調印式を見に来ていた。


俺が縁を結んだ国同士が、調印式をすることに、退屈だけど嬉しいね。


あくびが出そうになるのを我慢しながら、座っているだけ!!


でも、なんだか、みんなから見られているような気がして緊張している。


自分の希望としては、こんなところに座っているよりも、アリシア達と一緒に見るほうに回りたいんだが。


文官がやってきて、説明をしてもらったときに、嫌だなぁと思ったんだよね。


しかも自分は、年齢が近いのはシャーロット王女しかいないし。


第一王子は俺よりは、ずっと年上だし。


王様の調印式よりも、俺のほうに注目が集まっているような気がしたんだけど、多分、気のせいだろう、注目を集めているのは多分きれいなシャーロット王女だと思う。


そのシャーロット王女が横にいるせいだと思うので、俺はシャーロット王女から、椅子を持ち上げて少し離れた。


シャーロット王女から離れても、あまり自分への視線が変わらなかった。


なんで、俺を見ているんだろうか?


シャーロット王女から離れようとした俺を、王女は不審に思って、「皆様、公爵様を見ておいでですね」と変なこと言ってきた。


俺は、「私じゃなくシャーロット王女を見ているんじゃないですか?」


シャーロット者は、「いいえ、違いますよ、国の英雄を見ているんですよ」


「えっ英雄?」


俺が、英雄?


そりゃあ、今まで、いろいろ、やらかしているけど。


自分が英雄だなんて、思ったこともないけど。


やりたくて、やったわけじゃないし、行動しなければ、いけなくなったからだ。


「私が英雄ですか?」とシャーロット王女に聞くと


シャーロット王女は「えぇ、街の人だけじゃなく、私たちもそう思っていますよ」


「あなたは私の英雄ですよ」と微笑みながら言われた。


私の?


そこで俺は正面を向くと、こちらを見ている人と目があった。


睨んでくるのは、アリシアだ。

俺が横にいるシャーロット王女と話しているのが、気になるのか、なんだか睨んでくる。


俺は、話しているだけなんだが。


そこで大きな音楽が鳴って、これから調印の儀が行われようとしている。


シャーロット王女が姿勢を正したので、俺も、それに見習った。


そして国王とダイラス連邦の首長が、調印書にサインをした。


サインをした調印書を交換した瞬間に、音楽が鳴り出した。


音楽が鳴っている間は、2人は、そのまましばらく手を握り合っていた。


握りやっていた手を離したダイラス連邦の首長は、俺のほうに近づいてきた。


そして俺にも手を差し出して「本当にありがとう」と言ってくれたので、俺も握手をした。


そして、なぜか王様も、こちらのほうに来て「大義であった」と言って手を差し出してきたので、俺も握手した。


なぜか、このときが、街人の歓声が大きかったような気がしたのは勘違いだろうか。


調印式のあと、パーティーが行われた。


俺のパーティーメンバー4人も出席していいと言う事だったので、ありがたく出席させてもらった。


女の子4人は、購入しておいたドレスを着て、俺がプレゼントをしたネックレスを首にはめている。


俺は踊ることもできないので、パーティーメンバーと5人で一緒にいたら、こちらを見ている人数が多いのに気がついた。


しかも見ているのが全員が女性なので、メンバーに好意があるのかなと思っていたら、なぜだか、俺を誘ってくる。


俺が必死に断っていると、パーティーメンバーの5人が入れ替わるように説明をしてくれて、俺から遠ざけてくれている。


パーティーメンバーには感謝したい


そこにシャーロット王女がやってきた。


「公爵、踊れないんですか?  誘いに来た女の子たちががっかりしていますよ」


と言われたが、自分は少し前までは平民だったので、踊れないんです。と返すと「じゃぁ、私と練習しませんか?」とシャーロット王女が言ったので、アリシアが出てきて、ダメと言っていた。

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