第132話 国境の町

俺たちはダイラス連邦の国境を超えてから、国境付近の町に着いた。


オーリス王国を抜けて、ダイラス連邦に入ったわけだ。



途中で盗賊や魔物に出会うこともなく街道を進んできた。


この国境を越えた街で宿を探すことにした。


この街は、人で賑わっているが、到着したのが、お昼ぐらいだったので、たぶん宿は空いているだろうと予測した。


この街の雑貨屋に入って、必要なものを買いながら、雑貨屋の店主に聞いてみる。


「店主、女性でも泊まりやすいお風呂がある、いい宿ありますか?」とソフィアが聞いてくれた。

店主は、「それなら1番いいところがあるよ」


この商品も買ってくれるなら紹介するよ、と言ってきたので勧められた商品を買って宿を教えてもらう。


紹介された宿は、目の前だった。


店主は、ニヤニヤというか、儲けたと言う顔をしていた。


一応、紹介された宿も確認してみたが、他と比べたら確かにいいような感じがした。


この街には、行商人や冒険者が多く泊まっているので、宿のランクはいろいろあるみたいだけど、店から出て見渡してみても、目の前にある宿のほうがいいような感じがしたので行ってみる。


宿の入り口には、部屋の模様を描いた絵が飾ってあり、お風呂の絵もあるので間違いは、無いような感じを受けた、あとは実際に確認してみよう。


宿に入っていくと、「今日、部屋はありますか?」

とソフィアが宿の女将さんに聞くと、

「何部屋必要だい?」と言うので、「1人部屋が1つと4人部屋が1つ」と言うと、

台帳を確認して、「大丈夫だよ」と言ってきたので、

「もう一つ確認なんだけど、お風呂はありますか」と今度はイザベラが聞いたので、

「あるよ、最近、改装したばかりだからきれいだよ、女性に評判だよ」と女将さんが言ったので、すぐに、この宿に決めた。


「それで、食事はどうするんだい?」と言ってきたので、「夕方と朝、お願いします」と言った。


俺は内心で、アーロン伯爵の宿のことがあるので味はどうだろう?と考えていた。


俺たちは2泊、泊まると女将さんに言って、大丈夫と言うことなので代金を支払ったが少し高めだった。

料理の代金は別で払うと言うことだ。


階段を上って、部屋まで行くと、廊下を歩いていくと、手前には俺の1人用の部屋があって、その横が4人部屋だった。


階が違うよりはいいけど、女性が泊まっている部屋が横と言うのもちょっと考えてしまう。


旅の疲れを取るために、俺はゆっくり部屋でくつろごうと思うが、女性4人は、もうお風呂に入れると言うことで、多くならないうちにお風呂に入りにくそうだ。


俺たちが泊まっている部屋は、道路に面している。

泊まってる部屋に窓があるから、すごく眺めがいいと思う。


宿によっては一応、窓はあるけど、横に建物があると言うのもあるから。


俺は窓を開けてみて、下の街並みを何も考えずにぼーっとしながら見ていた。


今日は天気がいいので、すごく空気が澄んでいて、街並みまできれいに見えるけど肌寒い風が流れている。


この町並みを見る限りでは、ダイラス連邦国と言うのは、いい国なのかもわからないが、まだ国境を本当に抜けたばかりだからわからない。


しかも、到着したばかりで、まだ街をウロウロしているわけではないので、情報収集はしていない。


女の子たちたちの部屋に行っても、ノックをしても出てこないので、まだ、お風呂に入っているみたいだから、街をウロウロしてくると書いて紙に書いてドアの下から入れた。


俺は宿を出て、街並みを眺めながら歩いている。


いろんな格好をしている人とすれ違っているが、毛皮を着込んでいるような人もいれば、そうではない人もいる。


国境の街と言うのは、いろいろな人が行き交うので情報収集がしやすい。


そのためには、まず街をウロウロすると言うよりも、どこかの店に入ったほうがいいと思ったので、定食屋と言うよりも、居酒屋の方が情報収集には向いているから。


俺が居酒屋の扉を開けて中に入ると、昼間なのに、酒を飲んでいる人が結構いる。


俺は、1人なのでテーブルに座るよりも、カウンターに座った。


本当は情報収集にはテーブルの方がいいんだが、1人ならテーブルに座るよりもカウンターに座った方が目立ちにくいと思ったからだ。


カウンターに座ると、目の前にいる店主らしき体が大きい男が近寄ってきて、「注文は」と低音で聞いてきたので、わからないので「オススメを」と言っておいた。


しばらく待っていると、肉と野菜を炒めたものが出てきた。


俺はフォークを持って食べ始めたが、ちょっと塩辛い。


でも熱々で、おいしい。


料理を食べながら、周辺の男たちが、どんな話をしているのか耳をすませて聞いている。


ある男は、酒を飲みながら奥さんの愚痴を言ったり、また他の男は女の話をしたり、さらに他の男どうしは行商の話をしていたり、その他の男は、冒険者同士で飲みに来ていたりと言う感じかな。


そんなに悪いような感じではないので、この街自体は良いような感じがしたが、王都は、どうなのかもわからない。


他の国を、どうこうしようと言うわけではなく、自分が住んでいるオーリス王国に、ちょっかいを出さなければ構わないと思っている。


以前もあった帝国が、王国に攻め込もうとするなんて最悪だから。

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