第129話 アリシア視点
アリシア視点
クリスが魔法を使ってみるからと言うと、自分の周りに集まってと言ったので、私はクリスの目の前に来た。
そしてクリスが自分に触れるか触れないかくらいに、手を伸ばしてと言ったので、私は、わざとクリスの胸元近くに手を伸ばしたクリスに触れた。
ソフィアも、イザベラも、コリンも、同じように手を伸ばしているけど、ちょっと嫉妬がある。
そんなことを考えながら、クリスが「じゃあ行くよ」と言った。
「じゃぁ全員、目をつぶって」と言ったので、私は目をつぶったけど、その時にクリスの胸板が大きいと思ってしまった。
クリスは何も言わなかったけど。
目をつぶって手を伸ばしていると、クリスの周りに風が吹いているような感じがした、それが一瞬で濃密さがましてきたように感じた。
これが、いつもクリスが使っている魔法なんだ!
そして濃密になった魔法が、どんどん分厚くなっていくことを感じた。
すごく暖かい
そして、感じたのは、優しい魔法!
魔法が優しいって変な感じだけど、実際に、なぜか私はそう思ってしまった。
暖かくて、優しい魔法を使うクリス
なんだか、私の胸のあたりまで暖かい、顔まで赤くなって心臓がドキドキしてきた。
クリスの魔法を間近で見ることや感じることなんてないから、はじめての体験だった。
魔法を感じる、簡単な言葉だけど実践してみると、とっても難しいこと。
しかもクリスが使っている魔法が、凄すぎて!
でも、私はクリスに近づきたい!
クリスがいる位置には、到達できないかも、でもできるだけ近くに!
クリスの近くにいたい
私は、そう考えながらクリスが魔法を行使しているのを感じ取っていた。
なんだか、こうしているとクリスと一つになったような感じがする。
クリスが、「どう、わかった?」と言ったので私はうなずいた。
あまりにも凄すぎて、自分が、これだけのレベルの魔法を使えるのか疑問に思ったけど、近づきたいから、がんばらなければ・・・
そしてクリスは、「これが基本の魔法だから、いつも練習しておくんだよ」と言っていた。
これだけハイレベルの魔法を使って、さらに自由にコントロールされている魔力をまとわせて、色を濃くしていくのが基本中の基本だそうだ。
以前も馬車の中でクリスがやっていたのを、見たことがあるけど、見るのと、体験するのとは、大違い。
たまたま、すごい人が幼なじみで、知り合いだったと言うだけで、これだけの体験をさせてもらったことに感謝したいというか、よかったと思う。
普通は生きていても、これだけの体験はできなかっただろうし、自分が冒険者になると言うこともなかっただろう!
多分、クリスと知り合わなければ、今でも村にいて畑で作物を作っていたと思う。
一生に1度でも王様が住んでいる王都に行くことなんかなかったかもわからない。
そして信じられないのが、クリスが王様からもらった屋敷に、クリスと一緒に住んでいると言うことだ。
クリスが冒険者になりたいと言って村を出て行ったときには、すごく寂しかったし、夜に泣いたりもした。
クリスが村を出て行って、また村に戻ってきたときには女の子が3人もついてきたので、びっくりしたけど嫉妬もした。
でも今は、王都でクリスと一緒に暮らしている。
夢のような話だけど、友達にお姫様がいる。
お姫様も、本当に優しく身分が違うのに自分に気を遣ってくれている。
王様にも何回も会ったことあるし、こんなことを話したら、死んだ両親がどう思うかしら?
・・・なんてことを考えてしまう。
小さい時は村でクリスは弟のような存在だったのに!
自分の人生が変化しているのを感じている。
本当にクリスには感謝している。
ううん、クリスが好きだ・・・
・・・それを初めて胸の奥で感じてしまった・・・
胸の奥が温かくなる
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