第128話 アーロン元伯爵領


俺たち5人が王都から転移してアーロン伯爵領があった土地に戻ってきた。


以前、来た時から、あまり経っていないため、大きな変化はないが、雰囲気が悪かった時と比べると、あきらかに変化して良い方向に行っていると思われた。


麻薬患者が多かったため、街の人たちが変な感じもあって違和感があったんだが、全て、これで解決したような感じがするが…。


麻薬に依存した人が、そんなに簡単に良くなることは無い。


多分、最初に泊まった宿の主人なんかも、だいぶん麻薬にやられていたんだろうと思う。


料理が、むちゃくちゃ美味しくなかったので。

これで少しは、まともになってくれるといいけど。

しかし急には難しいので時間をかけながらやるしかない。


井戸水なんかも、麻薬を混入されていて汚染されているので、使えるくらいに、きれいにするためには、どうすればいいのかと言うことを検討中らしい。


でも時間さえ経てば、井戸水は自然と新しい水が湧き出してくるんじゃないかと思う。


しかし麻薬を混入されている訳だから、湧き出した水を、できるだけ取り出して少なくして、また水が湧き出すまで待つしかない、それを数回繰り返さないと、安心して使えない。


しかし飲み水や料理する水などは早急にどうにかしなければいけない。


全部の井戸に麻薬が混ぜられているわけではないと思う。

そんなことをしたら麻薬が大量に入るから大金がかかる。


王子様から、井戸水をどうにかしたいと相談があった。

井戸水を、どうにかするためには、当然だが井戸を、どうにかしなければいけない。


王子から相談されたこともあり、メンバーを伴って1つの井戸に来てみた。

中を覗き込んでも、暗くて深くて見えない。


パーティーメンバーにも協力してもらわなければ、俺1人で対処できるわけないの

で、まずは、井戸を新しく作るのをみてもらう。


普通は井戸を作る時には、、簡単にはできないから、人が掘り進めるしかない。

人が数人かかって掘り進めても数日でできることはない。


今回は魔法で井戸を掘るつもりなので、俺も初めての経験だから、どうやって水が出る水脈まで掘っていくのか、まずは、やってみる。


そして俺が実践した井戸の作り方をみて、メンバーにも協力してもらう。

掘らなければいけない井戸は、街中にあるので。


俺以外のメンバーは、いままでオーリス王国でポーションを入れる瓶を土魔法で作っていたのでできると思う。


しかし井戸と瓶では大きさも違う。

そして崩れないようにしなければならないので、しっかりとした構造の壁が必要だ。

まさか、こんなところでポーション作りが役にたつとは。


街の治安を守っている騎士たちや街の人で動ける人たちには、森に行って木の伐採をお願いした。


そして、それを加工できる大工ができる人を集めた。

桶と滑車を固定するためのものを作ってもらう。

あとはロープも必要だ。


俺はメンバーの見ている前で、井戸をほる事をしてみる。


井戸周辺には水脈があるので、あまり近いと影響を受けやすいと思って、少し離れたところに新しく井戸を掘る事にする。


俺は地下の、かなり深い水脈を感知魔法で確認してみた。


水脈がないところには、いくら深く井戸を掘っても水は出てこない。


井戸を掘るために、棒で丸く井戸に位置を決めた。

そして土魔法を発動して、穴を掘っていく。


徐々に土魔法で穴を大きく深くしていく。

それを、どんどん深くしていく。


そして水脈に穴を開けるわけにはいかないので、水脈の近くで留めておく。

水脈に穴を開けてしまうと、そこから溢れ出してしまうから。


水が染み出す感じが井戸だから、水が噴き出してしまうと、大変だから。


ある程度の深さと大きさを確保できたらので、水が湧き出すまで、しばらく待つ必要がある。


あっそうだ、呼び水がいるんだっけ、と思って、魔法で水を入れた。


さらに今度は土魔法と錬金術を同時に使いながら、鉄の滑車を作っている。


滑車を固定する木は大工さんに頼んでいるので、俺は土魔法と錬金術を駆使して鉄の滑車を作成する


一応、同じものが必要になると思うので、鉄の滑車を10個ぐらい連続して作った。


俺は少しだけため息をついた。

疲れたと言うよりも心配になったからだ。

何が心配なのかと言うと、水が出るかどうか。


「どう、今みたいにして井戸を掘ってくれる?」

そうすると「無理」とアリシアがいってきた。


「えっ、どうして?」

「クリスみたいに簡単にできない、というかクリスが凄すぎて、自分たちにできるかどうかわからないんだけど」とアリシアが言った。


「でも、この土魔法も訓練だから、やってみようよ」と俺


「わかったわ」と納得してくれた。


むやみやたらに井戸を作るわけにはいかないので、王子からもらった大きな地図を見て街中を確認しながら、井戸を作る場所を、王子が護衛につけてくれた騎士にお願いして、馬車で送ってくれることになったので、水脈を確認していく。


確認した場所には、すべてマークを地面につけたのでメンバーは2人一組になって、俺が印をつけた個所に散らばった。


井戸堀作業を、しばらくする必要があるので、他国への出発は遅れる。

それを王子にいったら王様には了解を取っていると言うことだ。


パーティーメンバーと別れて、俺は2番目の井戸を作る場所に来た。


2番目の井戸は、もう慣れてきたので、短時間で作ることができた。

そして3番目の井戸、4番目の井戸と作っていく。


10カ所くらいの移動を作り終えたときに、ちょっと休憩に入る。


その時にメンバー4人とも戻ってきた。


どうしたんだろうと思っていると

「クリス、私たちはとても無理」とソフィアが言ってきた。


少しは穴が掘れるそうだが、そこから難しいと言うことだ。

「じゃぁ俺が手助けするから」と一緒に行動することにした。


次の井戸の作成のため移動をする。


そしてメンバーに、作るときのイメージが少ないんだと思う、じゃぁみんなでやってみようか。


「じゃあまず俺が魔法を使ってみるから、みんな俺の周りに集まって。」


「できるだけ近くに!」


「今から魔法を俺が使うから、魔力が集まってきているのを感じて。」

「俺に手を触れるか触れないかと言う感じで手を出してみて」


俺の周りに4人が集まってきたんだけど、すごく近くにいるので周りから、いい匂いがしてきた。


特にソフィアが右斜めにいるんだけど胸元が見える。

「じゃあ行くよ」


俺は集中して周りから魔力を集めていく

「集めた魔力を濃くしていくよ」と言って集まった間力を濃密にしていく。


「魔力が集まっていることや、濃密なっているのがわからない人がいる」

全員が手を上げないので、わかっているんだろう。


そして、しばらくは、その状態を維持したままにしておく。

「どう、わかった?」


全員がうなずいた


全員が理解したことを確認したので、展開していた魔法をを解除した。

俺の周りにいた4人は、距離をおいた。


そして、

「こんな体験初めて」とアリシアが言った。

ソフィアが、「すごい体験だった」


イザベラが、「信じられないくらい魔力を感じた」

コリンが、「自分もできる気がする」とそれぞれの感想を言ってきた。


「今体験したことを実際に自分でやってみてもらうよ」と俺が言うと

今から井戸を掘ろうとしているところに、広い円陣を組む。



「じゃあ行くよ」


「じゃぁ全員、目をつぶって、

目をつぶって、先ほど体験した感じた魔力をイメージして。

俺は全員の状態を、できているかどうかを確認してみる。


ソフィアは、何とかできている。

アリシアも、大丈夫だろう


イザベラがもう少しなので、「イザベラ、もうちょっとイメージを強くして」

コリンも、もう少しなので、「コリン、もうちょっと」


イザベラも、コリンも集中力を重ねるようにしたので顔が変な顔になっている。


「4人ともだいぶ良くなってきたよ、いつも、これを練習するんだよ。」


「この状態を時間をかけずに早くして、さらに魔法を濃くしていくのが練習だよ」


「そして、さらに重ねて魔法を行使しなければいけないんだからね」


だから魔法は1つの魔法じゃなくて、いくつか魔法を同時に使わなきゃいけないんだ。


「最低限魔法を纏わせることができて濃密にしなければ先には進めないよ」


「はい、じゃあ魔法を止めて」


全員が肩で息をするくらいゼーゼー言っている。

ソフィアとアリシアは前かがみになって苦しそうに息をしている。


コリンやイザベラは、座り込んで息が上がっている。

「初めてだからしょうがないけど、これをいつも練習して集中力とイメージ力を鍛えておいてね

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