第118話 アーロン伯爵領 4

俺は本当に関わりたくなかったが、自分の国が、これだけ麻薬に汚染されていることが怖くなってきたので、できることなら解決しようと思った。


夜に売人に会ってから、メンバー全員で散策しながら、俺は他の売人をいろいろ探してみたんだけど、見つからなかった。


そんなに、簡単に見つかれば苦労しないんだよね。

なので、昨日のマーカーが付いている売人に意識を集中してみる。


俺たちは今、買い食いしながら椅子に座っている。

買ったものをモグモグ食べながら、意識を集中すると、300メートル先にマーカーの存在を確認した。


さらに何をしているのかと見ていると、家族と買い物をしているみたいだ。


なにか大きい瓶を持っている。

瓶の表示には、どこかの水がはいっているみたいだ。


どういうことだ? 


水なら井戸水があると、思うが、そこまで重たいものを持ち運ぶほど、その水が良いのか?


買い物をしている家族を見ると、すごく楽しそうだけど、父親が麻薬の売人だと言う事は、多分、奥さんも、子供も知らないだろうなぁ。


今はマーカーを追跡する必要は無いかと、意識を切らせると全員が 俺の方を見ていた。


「えっ なに?」

「何も〜〜」とアリシアが言った。


何か、まずいことやったのかな?


その後、俺たちは いろいろな店を回ったり、新しい店を開拓したりして帰っていった。




アリシアの視点


私たちは今、屋台の串を買い食いして屋台の横の椅子に座っている。


みんなが話しているときに、クリスに同意を求めたんだけど、クリスは全然反応しない。


また何かしているのかな?

そして、さらにクリスを注意して見ていると、全然、動かない。


なんだか、こういう時のクリスって、何かをしている時なんだよね?


何をしているのかは、クリスは、あんまり話してくれないけど、心配になるのよね。


危ないことをしなければいいんだけど!


女の子たちの視線をクリスに向けていると、クリスが起動した。

「えっ なに」と言ってクリスが再起動した。

私は「何も〜〜」と言って それ以上言わなかった。


クリスが何も言わないのは、私たちを巻き込みたくないと考えたから。


私も、クリスが、すごい魔法使いだと言う事は知っているけど、危険な事はして欲しくない。


いくら今は貴族の伯爵様になったといっても、クリスは クリスのままだ。

私も敬語は使ってないし、クリスもいつも通りだから。

以前と何も変わっていない。


クリスと2人で野山を駆け回っていた故郷の村のことを思い出しながら、クリスは変わらないなぁと思った。


いざと言うときには、1人で立ち向かってくれるし、いつもは本当に気弱そうなクリスなのに、でも、いざ、決心して動き出したときには、すごく、かっこいいんだよね。


女の子たちのメンバー全員も思っているけど、クリスが後ろにいるときは、何も言わずに従ってくれているし、でも、いざと言うときには本当に前に出てメンバーを守ってくれる。


クリスが動くと、いろいろな物事があっという間に解消していく。


それがクリスを信頼している理由だし、憧れているのもあるし、最近は少し、・・・・・・


あー、今までは私がクリスのお姉さんだったのに

なんだか今は弟と言うよりも、・・・・

・・・アリシアは少し顔を赤くしていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


お読みくださっている方、ありがとうございます。


ブックマーク、ハートマーク、星マーク、評価も、感想も、ほんとうにありがとうございます。


ほんとうに小説を書くための励みになっています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る