第119話 アーロン伯爵領 5

俺たちは宿に帰ってきたので、しばらくは それぞれの部屋でゆっくりすることになったので、俺は今一人。


以前の宿と違って、少し俺の部屋は広くなったので、夕食には早いので椅子に座ってテーブルに手をついて集中する。


マーカーの売人が どこにいるのか。

多分、そろそろ隠れ家に行くと思われる。


売人は家族と別れて、街を歩いている。


街を歩いている売人をマーカーで追跡しながら、ある建物に入っていった。


居酒屋みたいだ。

酒でも飲みに来たんだろうか?。


そうすると1階の居酒屋には見向きもしないで、2階の階段を上っている。

2階を上りきったところで廊下を歩いていき、ある扉の前で止まり、中に数人がいる部屋に入った。


「以前、預かっていた麻薬は、売ってしまいましたので調達に来ました」と売人が言った。

その部屋にいた奴が、「金は?」とドスが聞いたような低音で言った。


売人が札束を渡している。

受け取ったやつは、それを数えている。


この部屋には5人の男性がいるが、金を受け取ったやつは机の椅子に座っている。

あとの4人はソファーに腰掛けている。


机の椅子に座った男が、そこにいる男の1人に、「おいっ」と言って、違う部屋から麻薬を持ってこさせていた。


ここの部屋が、マーカーをつけた売人の親分の部屋みたいだ。と言うことは監視対象になるのでこいつにマーカーを変更した。


金を受け取って、無造作に机の引き出しに入れた。

以前つけていたマーカーのやつは、麻薬を受け取って部屋から出て行った。


そして俺は、この部屋の中の会話を聞いている。

話を聞いていたが 、女の話ばかりしている、

あそこの女がおっぱいがででかいとか、胸の形が良いとか、俺好みだとか…


たいした話はしていない。


マーカーをつけてた男は、この中ではボスと呼ばれているが、ドミニクと言うらしい。


ドミニクは先ほどお金と交換に新しい麻薬を持っていた奴のことを嘲っている。


馬鹿な奴だとか、いろいろな悪口をことを言っている。


ドミニクがいる部屋に、さらに数人の男が入ってきて、やはりお金を差し出して麻薬を受け取っていた。

差し出された、お金は売上金だろうなぁ…


意識を集中していた時に、俺の部屋のドアがノックされた。


アリシアが扉の外から、「私だけど」と言ったので、どうぞと言った。


「クリス、ご飯なんだけど、なかなか降りてこないから迎えにきたの?」


もう、そんな時間?


いつの間にか集中してやっていたので、時間の経過を考えていなかった、迎えに来たようだ。

アリシアに、「すぐ行くよ」と言って一緒に俺の部屋を出た。


全員が食堂のテーブルについて、俺が来るのを待っていた。


「もうっ、遅いよ。」とイザベラが言った。

コリンが「もう 腹ぺこ〜」と言った。


ソフィアは何も言わなかった。


アリシアと俺がテーブルの席について料理が運ばれてきた。

夕食は、やはり美味しくは なかったけど食べれた。



夕食を食べた後、お風呂に入って、さっぱりして俺の部屋に戻ってきた。


ここの宿は前の宿よりも、ちょっと高いんだけど、入れ替えなく男風呂と女風呂が2つ存在する。


しかし、男風呂の方が人が少なかった。


宿の値段が高いせいか、冒険者の中に女性の比率が多いグループが泊まっている。


男性が多いグループは、安い宿を好むが、女性が多いグループは、お風呂があってきれいな宿を希望するから。


俺は自分の部屋に戻ってきて、テーブルの椅子に座った。


麻薬のボスのドミニクに集中すると会話も聞こえてきた。


ドミニクは麻薬の在庫がなくなってきたので、仕入れなければいけないと言っている。


麻薬の仕入れには、部下ではなくてドミニクが動くようだ。

と言う事は、部下に任せられないと言うことも考えられる。


これらは、さらにバックに控えている奴が出てくる可能性もある。


俺は、ドミニクが動くのを椅子に座って待つことにした。


夜中の12時を回ろうかと言う時間になって、ドミニクはやっと動き出した。


周りに部下をつけずに、1人で歩いている。

部下を付けない無いと言うことは、知られたくない所にいく可能性がある。


この状況から考えて、結構な大物が絡んでいる可能性がある。

相手を、部下にも知られたくないから1人で動いている可能性があるから。


ドミニクがある大きな屋敷の裏口から入っていった。

俺はドミニクを意識の中に捉えながら追跡していくと、ある男と会っている。


この男は貴族のような服装をしている。

誰だろう?


この男と会って大金をテーブルの上に積み上げている。


そしていろいろな話をしている中で、誰が聞いているわけでもないと思われるけどドミニクが名前を滑らせてしまっていた。


その名前が、アーロン伯爵


まだ本人かどうかわからないけど、この街を統括している伯爵が悪巧みをしている可能性があるのか。


俺も貴族だけど、貴族でも上下関係があるので、俺の位置関係は、はっきりってわからない。


たぶんアーロン伯爵の方が上級だろう。


どうしようかと思っていると、扉が開いて伯爵以外の男性が大きな荷物を抱えて入ってきてドミニクに渡した。


ドミニクは確認のため小袋に分けられた白い粉を破って なめてみた。


確認ができたようで、白い粉が入った荷物を持って裏口から出て行った。


慣れているような取引だったので、ずいぶん前からやっているようだ。



俺は情報を集めなければいけないと思って、一度、王都に帰ろうかと思う。


次の日、俺は食事をした後に、部屋でやることがあるから今日は1日部屋にいるからといって、パーティーメンバーには、あまり危険なところには行かないようにと注意して部屋にこもった。



次の日、俺は、王城に直に行くわけにはいかないので、屋敷の庭にあるゲストハウス用の1階に転移した。

まだ、執事には転移の魔法が使えることを伝えていない。


だから屋敷の部屋ではなく、屋敷の外にある小さな2階建てのゲストハウスに転移してきた。


自分の屋敷なのに、自分の部屋に転移できない、他国にいくと言って出かけている俺が、急に部屋から出てきたら、おかしいから。


ゲストハウスの1階に現れた俺は、ゲストハウスの扉を開けて

こっそり屋敷の他の人に見られないように屋敷の門を抜けて、王城に歩いて行った。


やっぱり、執事のセバスティアンに話しておいたほうがいいと思った。こういう時は馬車で行けるように。


歩くと疲れると言うよりも、時間がかかってしまう。


俺はやっと王城について、急ぎ王様か、宰相に会いたいと言った。


俺が息を切らしながら急いでる風だったので、すぐに取り次いでくれて部屋に通された。


部屋に通されて、侍女から紅茶を入れてもらって、ゆっくりしていると王様と宰相と第一王子とシャーロット王女が来た。


王様と宰相しか呼んでないんだけど?

俺は全員が椅子に座るのを確認して、話し始める。


「パーティーメンバー全員で今は、アーロン伯爵領にいるんですが・・・・」

そしてアーロン伯爵領で見たりしたことを報告した。


そして、たまたま調べることがあったので、調査してみると現場に行き当たったとだけ言った。


その場合、国として、どう対処するのか、または、なにもしないのか。


王様が、「そういえば最近、王都でも、麻薬が出回っているの情報が多くなっている」


「そして、暴力沙汰やいろいろな事件が勃発しておる」


「余も、心配していたところだ」


「あまり貴殿とかしこまった話をするのは嫌なので普通に話していいだろうか、貴殿もそうしてほしい。」


と言われたので、俺は了承して、少しだけ敬語を使いながら話すことをする。


そうすると以前よりも説明がしやすくなった!


王様にアーロン伯爵領地のことを話していけばいくほど、全員の顔が険しくなっていく。


俺は話し終えた、しばらく黙っていた。


そうすると王様が「相手がアーロン伯爵では兵士だけでは無理なので、こちらからも早急に近衛騎士隊と兵士を送る。クリス殿には、騎士隊が到着するまで調査を引き続きお願いしたい。」


この騎士隊には、今、この場にいる第一皇子が率いていくそうだ。


何があるか分からないから、100名以上の規模になるそうだ。


「よくぞ報告してくれた」と王様が言ってくれた。


そして王様は、宰相と第一王子と話をしだした。



俺は、暇になったので、パーティーメンバーのところに帰ろうかと思ったんだけど、横に座っていたシャーロット王女をチラッと見たら、王女が近寄ってきた。


「アリシアは元気にしていますか?」


と聞いてきたので、まだ数日しか経っていないのにと思ったが、元気にしていると答えた。


その時に王様が振り向いて、「しかし、よく短時間で戻って来れたな?」と意味ありげなことを言ってきた。


そこはスルーしながら、ええ、とだけ答えた。


そして王様が何か意味ありげに、王城に、クリス殿専用の部屋を用意しようと思う、と言ってきたので俺は驚いたけど、よく考えたら便利だから、お願いしますとだけ伝えた。


そして王様が、この部屋からクリス殿が、いつ出てきてもいいように他の者にも伝えると言ってくれた。

だから遠慮なく使ってくれ、とまで言われて、信用されているのか、良いように使い回されているのか?



王様がシャーロット王女に指示を出し、俺が使っていい部屋に連れて、案内してくれる。


扉を開けて中に入ると、すごく豪華な部屋で、国賓クラスが止まる部屋だった。

シャーロット王女に俺は、「こんな豪華な部屋を俺が使っていいんですか?」


と言うと、「お父様が使ってほしいと言っているんですから」と言われた。


国賓クラスが止まるだけあって部屋も大きくて豪勢で、続きの部屋もいくつかあった。

お風呂も付いていて大きかった。


もし用事があるときは俺は、この部屋から出てきて、近くにいる文官や、兵士に行ってもらえば対処すると言うことらしい。


どうやって、このお城まで来ているかと言う事は、聞かないことにしたらしい。

なんだか、お城での対応が違うんだが・・・・。

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