第103話 帰還 3

アリシアに説明する時でも、すべてを言うべきか迷ったんだけど、王様の件や村人を襲おうとしたや奴らの件は黙っておいた。


パーティーメンバーの説明も、私が知っていればいいんじゃないのと言われたので説明する必要がないかと思ったが、これからのことを考えると話した方がいいと考えるたが、迷う。


パーティーメンバーには、何か隠していることがあるんだろうなと言うくらいだろう。

久しぶりに街に出てみると、街はまだ騒がしく戦争の影響が色濃くあった。

しかし徐々に落ち着いていくだろうと俺は考えている。



本当に俺は疲れたので、しばらくは屋敷でゆっくりすることにした。

他のパーティーメンバーは、ポーション作りを励んでくれている。

戦争だと言うことで、ポーションが飛ぶように売れていたから。


最近は俺たちが作っているポーションが人気で、王都だけではなく、地方にも商業者ギルド経由で販売されているそうだ。


だから作業場にも徐々に人を増やさなければいけないので、人の募集と人選は執事のセバスチャンに任せておいた。


後は指導はパーティーメンバーと作業場の責任者にしてもらう。


作業場でポーション作りをしているんだけど、屋敷とは別棟で作業しているので、それでも時々、アリシアが様子を見に来た。


俺が屋敷でゆっくりしていると、執事のセバスチャンが扉をノックした。


「旦那様、王城からお手紙を預かっております」


俺は手紙を受け取るためにドアを開ける。


「こちらでございます」 手紙を受け取る。


俺は手紙の裏を見たりして、誰からだろうなと思ったけど何も書いていないし王族の印籠があるだけ。

なんだろうな?

思い当たる節はないんだが!


体が回復してきているので、俺は呼び出された日に、付き添いでアリシアと2人で向かうことにした。


馬車に揺られながら王城に到着する。


そうすると、すぐに高等文官が出迎えて「こちらでございます」と言って先頭を歩いていく。


俺たち2人は、あとをついていく。


そうすると以前、戦争の前に来た部屋に通された。

そこには、もう王様と王妃様と第一王子と王妃が座っていた。

普通は王族が先に座っているなんてないんだけど。


全員が、なんだかすごい真剣な顔をしている。


俺は、呼ばれた内容が、よくわかっていないんで侍女に言われた椅子に腰かけた。

そして侍女は紅茶を入れてくれた。


「あのー、今日はどういうご用件で」と俺が聞いてみたが、帰ってきた返事は、


「感謝する」と言って王族全員が頭を下げた。


急に王族が頭を下げたので、頭を下げた意味がよくわからなかった。

なんのことだろう?


王様が話し始めた。

「アルベルト殿と私が話をした日…」


数日ごろから、アルベルト殿がどこかに行っていると貴殿の執事のセバスチャンから聞いた。


このことも、セバスチャンはなかなか言わなかったが、私の命令と言うことでやっと話してくれた。


その1ヵ月の間に、何があったか、アルベルト殿ならわかっているだろう。


貴殿が私と面会して、その後に戦争のことが急展開した。


そして貴殿は、1ヵ月後に屋敷に帰ってきたときに急に部屋に現れたそうだな。


それも、かなりボロボロになりながら疲労困憊状態で。


これもセバスチャンが話してくれた事なんだが、その時のアルベルト殿の状況が、ただごとではなかったと。


3日も目が覚めなかったと聞いた。と王様は言った。


「もう体は大丈夫なのか?」


「え~と、だいぶん元気になりました」と口を滑らせてしまった。


「私の時も助けてもらって、多分、貴殿が今回も働いたと考えた。

そして貴殿には特殊な魔法があるようだ。もちろん喋る必要は無い。貴殿には秘密が多すぎる。

ただ、感謝していると伝えたかった…。

もし、帝国との戦争になっていれば、わが国は負けていただろう」


その時、全員が、頭を下げた。


俺はそれ以上言う言葉を持ち合わせていなかった。

なので黙っていた。

横に座っているアリシアも、言うべき言葉を持たないような感じで黙っていた。




王族との話が終わって、俺たちはシャーロット姫の部屋に来ている。


アリシアとシャーロット姫は仲よく話をしている。

俺は横で聞いているのも変だと思ったので、景色が良いベランダに出てきている。


天気もいいし、今日は、青空が広がっていて風が爽やかだ。

山から降り降ろされる風が、すごく気持ちが良い。


俺は、この空間も守れて良かったと本当に感じていた。


なんだかアリシアとシャーロット王女が、こちらをチラチラ見ているので噂話でもしているのかなと感じている。


今回はうまくやったと思うので、王様は感づいてはいるけど、証拠がない。

証拠はないんだから、俺もとぼけていればいい。

今回は本当にうまくやると言っていたと自分でも思うので、大丈夫だろうと思う。


屋敷の執事であるセバスチャンは、王様が雇った人だった。

だから王様には逆らえないのか、注意しなければ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る