第104話 確認
王様との話から、王族一家には俺が帝国に何かをしたと思われているみたいだし、執事のセバスチャンも王様が雇い入れた人なので注意しなければいけないなと思っていると、屋敷に帰ってきたセバスチャンが、「旦那様申し訳ございません、どうしても王様には逆らえませんでした」と言って謝ってきた。
「本当は国王様といえどもアルベルト様の事は言うべきではないと思っていたのですが、信頼を裏切るようなことをして、申し訳ありません。」
と言ってくれたが、今回はうまくいったので、これからもよろしくお願いしますねと言った。
執事のセバスチャンが、うまく立ち回ってくれたような気がしたから。
アリシアは久しぶりに王城に行ってシャーロット王女と話すことができて喜んでいた。
俺はずいぶん体力も体調も整ってきたので、戦争の時に行っていた帝国を確認してみることにした。
今度は自分の部屋から瞬間転移をした。
一瞬で草原に出てきたところだけど、ここには以前、帝国の部隊の本隊があったところ。
そこには何もない草原が一面に広がっていて、草を揺らしながら草原を吹いてくる風がとても気持ちいい。
今、俺は灰色のフードとマントをかぶっている。
できるだけ目立たないようにするためだ。
そして、さらに帝国の王都の近くまで転移して、帝都の中まで門を通って冒険者として入ってみた。
伯爵と書いてあるギルドカードは指で隠して、門番にギルドカードを提示する。
すんなり通してくれた。
俺は酒は飲めないけど、料理も出せるので酒場に入ってみた。
酒場のマスターに料理を注文してテーブルについて待っていると、噂話が聞こえてきた。
近くのテーブルから「以前、戦争があっただろう、その時に食料とかよー、弾薬まで誰かに奪われたそうだぞ」
「まったくマヌケな話だよなぁ。」
ということを話しながら、話を肴に酒を飲んでいる。
「俺が聞いた話によるとだなぁ、兵隊が横流ししたんじゃないかって言うことを聞いた」
もう1人の男が
「俺が聞いた話はなぁ、将軍が持ち出したと聞いたぞ」
と、いろんなことを言いながら、それを肴に酒を煽っていた。
そして別のテーブルに座っている男が、「俺は、知り合いの奴から聞いたんだがよ、最近、王様が変わったって聞いたぞ」
「なんでも前の王様はなぁ、戦争に行って帰ってきたら、頭がおかしくなっていたそうだ」
そこまで聞いて、料理を食べ終えたので料金を払って居酒屋を出て行った。
王都の街並みをいろいろ見ていると、立ち話している人が意外に多くいて、最近、街が良くなったらとか言っている、俺は、これでひとまず安心かなと思った
なので、路地裏に入って瞬間移動で屋敷に帰ることにした。
瞬間移動で暗くなった目の前が明るくなったら、目の前には下着姿のアリシアがいた。
そう、ここはアリシアの部屋だ。
あれ?
でもアリシアは洋服を脱ぐところではなくて、洋服を着るところだったため、それ以上は見えなかったので、すぐに自分の部屋に瞬間転移した。
俺が部屋に戻ってから、冷や汗を拭いていると、そこにアリシアがノックせずに扉をバンッと勢いよく開けた。
アリシアは、怒気を強めながら、ク、リ、ス〜と言いながら近づいてきた。
「クリス、ちょっと聞きたいんだけど、今、私の部屋に転移してこなかった」
顔から汗が出た。
嘘を言うのは簡単だけど、アリシアには嘘をつきたくないので、「うん、ごめん」
「ちょっと今、帝国の様子を見に行ってきたんだ、その帰り」
「本当は自分の部屋に戻ってくるつもりだったんだけど、アリシアの部屋に転移してしまったんだ」
「もうっ」
「クリスが転移した時、私、着替え中だったのよね！ クリス、見たでしょ」
冷や汗たらり‥‥‥
「もう、気をつけてよー」プンプンしがら部屋を出て行った。
あーびっくりした。
危ない危ない
鉄拳が飛んでくるところだった〜
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