第98話 帝国
俺はあらゆる方面に感知魔法を働かせて、集団がいる場所の近くに転移を重ねている。
かなりの数の転移を重ねながら、しばらくその兵団を見ていて人数と本部がどこにあるのか確認する。
大隊本部と言うのは立派なテントだから。
すごくわかりやすい。
遠くから1番大きな木に登って、広大な土地に兵士が30,000人はいるんじゃないかと言うところを見つけた。
多分、これが本隊だろう。
そして俺は遠くでも見ることができる望遠の魔法、遠視を使って確認をしてみる。
両眼に魔力を集中させると遠くまで見渡すことができるから。
そして、かなり立派な大きなテントが立っている。
そのテントに人の出入りが多い。
俺は思った、ここで当たりかな。
あとは誰がいるのかと言う事だけど、感覚魔法を使って、その人物を突き止めてみる。
前世から覚醒して、いろいろな魔法が使えるようになったので、簡単に使っているが、とても高度な魔法ばかりだ。
感覚魔法は人だけじゃなくて集中すれば人の言葉も聞くことができる。
一番、偉そうにしている人物にターゲットを絞る。
そうするとターゲットにしている人物の前に、「なんだ将軍」
将軍に対して言葉、使いが荒いし、この人が王様かな?
王の周りにある備品を見ても、戦争好きなのがわかる。
大砲の模型とか、剣が飾ってあるから。
その国王の立ち振る舞いを見ていると、少しカチンと頭にきた。
凄く偉そうに振る舞っていて、言葉も汚い王様みたいだ。
しかも周辺に若い女性も数人いる。
戦争にまで女性を連れてきて、はべらせるなんて!
奥方に行ってやろうかな?、 なんて冗談を考えたけど。
できたら視認したほうが確実なので、テントから出てきて欲しいんだ。
多分、移動の時以外は出てこないと思う。
なので夜になったら、もう少し近づこうかなと考えたが、今はもう少し離れた位置に転移して休憩を取った。
こんな大きな部隊が、すぐに動けるようになるのかと言うと、ならないと思うから。
人数が多くたって、あの大きな豪華なテントをたたむだけでも時間がかかると思うから。
動いたら、確認できるように自分から見える範囲で、木の上から監視している。
なので相手から見える事は無いし、見つかる事はないと思う。
さあ、もう少ししたら本番だ。
なんだかドキドキして手に汗をかいてきた。
落ち着け、と言ってアリシアのことを思った。
アリシアから手を握れたことを思うと、少し落ち着いてきた。
温かくて柔らかかった手・・・・
俺はここで、食事をすることにした。
もちろん火を出すわけにはいかないので、異空間収納に入れていたパンを食べる。
夜になるまで一眠りしようかと思ったけど、興奮で寝付けなかった。
時間の経過とともに実行する時が迫っているから。
こういう時、ヒーローとかチート能力を持っている人だったら簡単に、やるんだろうなと考えた。
でも自分は、勇者でも、ヒーローでもないし、チート能力なんか、自分ではないと思っている
目の前のことに集中するだけだ。それで精一杯。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます