第14話 お金を稼ぐために

俺は言ったとおりに、薬草採取にいく事にした。


もう、なんだか、わからないことにモヤモヤしながら、歩いていく。


冒険者のなり立てなのに、変な部屋に呼ばれて、男性から見られるし。


俺は街の門をギルドカードを示してでていく。


薬草が生えている所は、街の門の、すぐ外。


そんなに遠くない所にあると聞いている。


でも種類が多くあるのと、毒を含む薬草もあるとか?


俺の村でも、風邪を引いたり、お腹を下すことがあったので、薬草は採取したことがあった。


ポーションを作るのは出来なかったが、薬草を取ってきて、煎じて飲ますことは昔からの風習だった。


この辺にも俺と同じような人がいる。


年齢は、俺と同じような気もするが、さらに一緒に妹や弟らしき人も協力している。


薬草を多く集めるために、兄妹で協力しているらしい。


時には、あきらかに冒険者じゃない子供が、一緒に薬草を取っている人もいるし。


その辺は代表者が冒険者であれば良いのか?


それとも、冒険者じゃなくても、薬草採取はできて、販売もできるのか?


俺は冒険者にならないとできないと思っていたが、まぁ、その辺はいいか?


もう冒険者になってしまったし。


俺は、外壁の周辺には、人がいるため、少し離れたところにいく事にした。


その時に、チラッと後ろをみえると、あの男がいた。


しかも、こんどは、3人。


俺は、あまり見ないようにして、木が立ち並ぶところに入っていく。


後方から3人も距離を開けて、後をついてくる。


なんだ? 俺を狙っている?


あの時の仕返しか?


緊張してくる。


俺は、引き離そうと、どんどん木が茂っている所に入っていく。


しかし、奴らの狙いは俺みたいで、速足でもついてくる。


どうする?


俺はあきらめて、足を止めた。


「おお、いさぎいいじゃねえか」と俺に因縁をつけた奴。


「なにか、御用ですか?」


「ああ、あの時は、恥をかかせてくれたな」


「………」


「そのお礼をしようと思ってな」


「そうですか、そんなのいりませんよ」と俺は踵を返して行こうとした。


「おいおい、それじゃ、こちらが困るんだよ」


「俺は、歩き去ろうとした足を止めて、「戦いますか?」


「ああ、殺し合いをしようじゃないか」


「兄貴、捕らえて奴隷として売りましょうよ」と男の仲間の奴。


「ああ、それも良いな、金になるしな」


「では、あなた方を捕らえて奴隷にするって言うことで」


「!っ、何をてめえ、何言いやがる、痛い目を見ないとわからないのか?」


「痛い目? あなた方の方が、悪いことをしているのに?」


「ああ、そんなこちゃ、関係ない」と言って剣を抜いた3人。


「剣を抜きましたね、もう、後戻りはできませんよ」


「戻る気はねえぜ」

「ひゃははー」

「うひひひひっ」と最後の奴は涎を拭いている。


でも、俺は剣を持っていない。


どうするか?


と目についたのは木の棒………


俺は、落ちていた木の棒を拾い、振ってみる。


うん、いいじゃないか?


「おい、みろよ、木の棒だってよ」

「馬鹿な奴だ」

「俺たちは剣を構えているんだぞ」


「その木の棒に、あなたたちは負けるとしたら、もう冒険者なんて、やってられませんね」


「生意気なガキだぞ」

「親分、やっちまおうぜ」


「ああ」と言うと3人は動き出した。


親分と呼ばれた奴が、突っ込んでくる。


剣を前へ突き出して、俺を突いてくる。


俺は、立ったままの姿勢から揺らいだようにしか見えない動きを見せる。


縮地で、奴の懐に………


奴の目は俺を見ていない。


そして木の棒で3割くらいの力で、横殴りにふる。


ぐえっ


男の目は白目になり、倒れる。


親分がやられて倒れるのをみた、残りの二人は、「やろう」とか、。「よくも親分を」と言いながら突っ込んでくる。


この二人には、剣を合わせるのも、バカらしいけど、縮地で動いて、同じように木の棒で腹を殴り気絶させた。


ふう~、初めてにしては上手くいった。


俺は、地面に転がる3人をみて、どうするのが一番いいのか?


ひとまず、街に戻ってみようかと思って踵を返して歩こうとしたら、魔物の気配………


このままじゃ、魔物に食われてしまうな。


どうしよう? あと少しで魔物が来てしまう。


検索魔法をやると、引っかかるのは、オークだ。


俺が迷っているうちにオークが姿を現した。


全身が緑っぽい色をして、腰に布を巻き付けて太い剣を持っている。


興奮しているのか、鼻息が荒い。


フゴーッ


俺と倒れた3人を交互に見ている。


オークは俺よりも、倒れている3人の方へ動きだす。


このまま放置しても良いとも考えたが、それじゃなんだか、こちらの方が気分が悪い。


しょうがない


俺は、縮地で距離をつめ、奴の背後から、木の棒を力5割りくらいで上から振り下ろす。


もちろん、狙うのは頭。


俺は慎重さがあるので、飛び上がり、オークの頭めがけて、木の棒を振り下ろす。


頭に当たる瞬間に強化魔法を木の棒に施して強化、さらに氷魔法で氷を尖らせて………突き立てる。


なんだか、オークの頭って固そうだから。


頭に当たった途端、嫌な音がした。


俺は地面に降り立ったが、オークは立ったまま………


後ろを振り返るオーク………しかし完全に振り返ることなく、倒れゆくオーク。


少しだけ地面を揺らしながら倒れる。


………


どうしよう? 三体だったのが、4体になってしまった。


冒険者たちを、このまま置いていく事は、命にかかわるが、自分を狙ってきた段階で、俺が助ける義理はない。


しかし、まさか、俺にやられるなんて、思っていなかっただろう。


このまま、放置? それとも?


う~ん、どうしよう


あっ、そうだと俺は相槌を打って、アルベルトの能力で、空間ってあったよね。


アルベルトの空間魔法は、時間停止の空間と、生物でも入れておける空間の二種類がある。


時間停止の異空間、つまり、時間停止アイテムボックスは、生物は入れておくことはできないが、腐る事はない………温かい者であれば、その時点で時間は停止しているから、また取り出す時に、居れたときの状態を維持している。


ということで、この4体を同じ生物を入れていける空間のボックスに収納。


収納する時に、入り口を近づけると、何もしなくても入る………実に便利だ。


男3人とオークの死体を収納して、俺は歩き出す。


しかも、速足で、どうもオークを同じエリアに入れたことで血が出てきているみたい。


急がなきゃ


街の門の左に曲がり、見えない所で4体を出すと、男たちも血まみれ………


ええええええーーっ、なにこれ、気持ち悪い。


オークの血で全身が血まみれになった男たちを、放置して俺は街に入って行った。


たぶん、あそこなら大丈夫だろう?


たぶんね………


あっ、薬草採取、忘れていた。


ああ----お金がない、今日も野宿だぁ~~~~



野宿だけは回避したいので、俺は、また、同じ門から、出ることになったが、チラッと置いてきた男たちとオークの方をみると、人が集まっている。


よし、これで心置きなく薬草採取………


また、帰りに確認しておこう。


俺の仕業とわからなけりゃいいんだが。


もしかして俺の仕業とわかればギルドカードはく奪になってしまう。


薬草採取する時もドキドキしながら、見つけて取ってきた。


とってきた薬草は、時間停止アイテムボックスに入れる。


こうすることで、、採取したままの状態を維持できるから、取り立て。


俺は、錯綜を採取して、戻ってきた。


結構な量、取る事が出来たが、門の右をみると、もう、誰もいなかった。


大丈夫だったんだろうか?


冒険者ギルドに行くと、別に依然と同じ?


あれっ?


キョロキョロしながら、カウンターに近づいていくと、前に怒ってくれたお姉さんが

手招きして、何か言われるのか、びくびくしながら前にいく。


「坊や、この依頼を受けてみない?」


「へ?」


俺はギルドのお姉さんから、渡された神を受け取り、了承した。


お姉さんの意外な依頼に俺は薬草を出すのを忘れていた。


しかも、お姉さんから坊やって呼ばれたのには、びっくりした。


紙を歩きながらじゃなく、立ってみてみると女性専用の宿と書いてある。


ここで、魔法が使えるなら、仕事があると言うことで、受けたんだが、見てから決めて言いそうだ。


しかも、住み込み………


部屋代は、依頼の給金の中に含まれると言うことで仕事さえしていれば、無料?


地図を見ながら、えーと、あっ、あそこだ。


名前が女性の冒険者専用と言うことで、しゃれている。


その名がシャトレーヌだ。


白い建物は4階建て、結構、大きい。


上階は冒険者だけじゃなく、貴族のお嬢様も泊まるみたいな言い方をしていたギルドのお姉さん。


「うわっ、立派な宿だな」


玄関の正面にたって見上げる。


その時、通りがかった人と肩が触れてしまった。


「あっ、ごめんさない」と言われたけど、俺もぼさっと立っていたので「こちらこそ、失礼しました」と答えた。


肩が触れた人は、俺よりも年上の人で、他には二人の女性が一緒にいる。


女性3人のパーティ何だろうか?


俺が入って行った女性たちのあとを追って入っていくと、三人からの目線が痛かった。


「ここは、女性専用ですよ」

「この変態」

「そうだ、そうだ、変態」


「あ? いえ、違うんです、ギルドの依頼で来たんですが、どなたか話が分かる方はいますか?」


「おかみさん、ギルドの依頼を受けてきた方がいますが」


しばらく待って、出てきた女性が女将さん?


女将さんと思われる人が出てきて「そうかい、やっときてくれたかい、でも、君で大丈夫かい?」


「あっはい、ギルドでも言われましたが、大丈夫だと思います」


「そうか、じゃ、ちょっと待ってね」と言って受付の女性3人を先に案内していた。


俺は端っこに立って周りを見ながら待っている。


なんだか、綺麗な宿だな。


とても、俺が持っているようなお金じゃ泊まれない宿だ。


受付の人が帰ってきて、「私がここの女将だよ」と言ったので「あっ、クリスと言います」と答えた。


「水汲みは、お風呂なんだよ」


そう、俺はここで水汲みの仕事を受けるために依頼された。


「はい、聞いています」


「じゃ、ちょっと、こっちきておくれ」と言って風呂場に案内される。


俺は女将さんの後についていく。


廊下を通っていくと時々、女性がいて女将さんは横に避けて「ごゆっくり」というので、俺もなぜか、横に避けて「ご、ごゆっくり」と言ってしまった。


女将さんは、また、歩き出して、お風呂場の扉を明けて、大きな脱衣場を抜けて、「ここが大浴場なんだよ」と言って大きい湯船を見せてくれた。


「今は、横の小さい方しか入れてないんだよ。この小ささでも、水を汲んでくるのに、2時間かかってしまうからね。人手が足りなくて。井戸はあるけど、その井戸から水を汲んできて、その水を魔石で沸かせて入るのさ」


「それで、水汲みを頼みたいのさ」


「わかりました、井戸から、ここまで水を運んでくればいいんですね」


「そうだよ、今日は、もう間に合わないけど、湯船に溜めてくれると明日でも使えるからね。水汲みは朝の4時から水を入れて、魔石で温めていくけど、入れるようになるまでは、1時間以上かかるのさ。だから、できるだけ早く入れるようにておくれ。裏へは、あそこの扉から出入りできるよ」


「はい、わかりました」


「じゃ、頼むよ」と言って女将さんはいなくなった。


俺は風呂場の扉から出て、井戸を見つけてのぞき込む。


まぁ、村で使っていた井戸と同じ?


でも、俺は、魔法で水を出す事ができるから、ちょっと、ずるだけど、魔法で水をためていく。


お風呂にいき、水を魔法でだしてためていく。


もっと、大量の水を………


もっとだ………と魔法の練習にもなる。


5分くらいで湯船に水がたまる。


そして魔法を発動して魔石に点火。


魔石に点火しても、だめだ、時間がかかり過ぎる。


これじゃ、夕方のお風呂に間に合わない。


俺は魔石に魔力を注いでいくと、徐々に温かくなりだした。


よし、ちょうど、良い温度だ。


温度計を入れて、41度くらい。


そして小さい湯船にも、水を足して魔石で熱くしていく。


43度くらいで、あとは保温設定。


よし準備完了。


そこに一人の女性が扉を開けた。


女性はお風呂場をのぞき込み「もう、入れる?」って聞いてきた。


「あっ、はい、もう準備はできましたから」


「そう、やった~」と女性は、脱衣場にいき服を脱ぎ始める


しかし、手をかけたところで止まった。


「ねえ、あなた、入るから」


「あっ、そうですね、すいません」と言って脱衣場から、廊下へ。


俺は急いで女将さんを探した。


女将さんはフロントにいたので、「あの準備ができたところに女性の方が入ってしまって」


「なんだって? もう、準備は終わっていないのに」と怒りながら風呂場に歩き出す


俺は女将さんの後を追う。


「あの、もう陣日はおわりました………」と言うと女将さんは急に足を止め、俺はぶつかりそうになった。


「嘘を言うんじゃないよ、まだ、あれから、1時間だよ」


「いえ、もう、準備は終わりましたので、確認してもらおうかと思っていたら………」


「ちょっと、ここで、待ってな」と扉の外で言われて、女将さんだけが入浴場に入る。


俺は女将さんを探しているうちに、数人が入ったみたいで、声が聞こえている。


女将さんが、入っている人と話をして、出てくる。


廊下に出て扉を閉めると、「どうやったんだい?」


「あっ、それは、僕は魔法が使えるので、その魔法で水を出して………」


「なんだって、あんな大きな湯船を?」


「あっ、はい」


「でも、魔石も、こんな短時間でわかないだろう? そこは?」


「あっ、そうですね、でも魔法で、沸くようにしました」


「………あんた、そんな小さいのに魔法師かい? 」


「魔法師と言うか、魔法を使えると言う感じです」


「そうかい、そうかい」と言いながら背中を叩く女将さん。


痛い、いたいっ、もうアザになるんじゃないかと思うくらい背中を叩かれた。


「しばらくは、あんたに頼もうかね」


「はい、よろしくお願いします」


「じゃ、決まりだね。ここの従業員専用の部屋があるから、そこに泊まりな、料金はいらないし、三食付きだよ。もちろん決められたお金も出すからさ。クリス君っていったかな? 君はお風呂番ね、水を入れるのと、お湯にするだけでいいから」


「あっ、じゃ、お願いします」


「よし、決まり」


「じゃ、部屋に案内するよ」


「お〜い、シャンテーヌ」と人を呼ぶみたい。


「は〜い、なんですか?」


「娘のシャンテーヌだよ、従業員専用の空いている部屋に、クリスくんを案内してくれ?」


「はい、空いている従業員専用の部屋ですね」


「食事は、朝は7時、昼は12時、夜は18時だよ、食堂にきておくれ」


「はい、わかりました」


「それから、もしよかったら、朝からお風呂を用意してくれると助かるね、出発する前にお風呂に入る人が多いからね」


「あっ、わかりました、朝からお風呂、用意しておきます」


「うん、頼むね」


俺は、少しの間、ここで働きながらお金を貯めることにした。


俺は娘さんから部屋に案内されて、「ここだよ」と扉を明け中に入ると


「へー、いい部屋ですね」と部屋の中を見て言った。


「うん、今、空いている部屋でも、一番、いい部屋だよ、あっ、私、シャンテーヌ、よろしくね」と言って手を出されたので、俺も手を出して挨拶した。


「じゃ、18時になったら食事だから、食堂にきてね、朝早い人は早く食べて寝ないとね、だから18時なんだ」


「はい、わかりました」


俺は食事の時間を待つことにしたけど、その前に、「コンコン、クリスくん、ちょっといい?」


「はい、どうぞ、空いてますよ」と言って鍵もかかっていない。


シャンテーヌ「え〜とね、もう一度、お風呂に水を足して欲しいんだけど」


「えっ、もう水ないんですか?」


「うん、そうなんだ、ごめんね」


「大きなお風呂があるって聞きつけて、今日は満室になったんだ。」


「あっ、そうですか、すぐに、行きましょう、あっ、でも俺が勝手に入るわけには‥‥‥」


「あっうん、私が一緒に行くから」


「はい、お願いします」と言いながら歩き始める。


お風呂場までいくと、「皆さん、男性が入りますので、タオルを巻いてください」と言うシャンテーヌの声がする。


シャンテーヌが風呂場から出てきて、「クリスくん、いいわよ」って言ってくれたけど、俺が入っていくと、全員がタオルを巻いているけど、ジト目で見ている。


はぁ、しょうがないか。 と思いながら全員の前で魔法を使って水を足しながら、今度はお湯を出す。


だって水を出すとぬるくなってしまうから。


「うわ〜、すごい」


俺はお湯を出していると後ろでは女将さんもきて腕を組んでみていた。


シャンテーヌ「クリスくん、ありがとう、さぁ、みなさん、どうぞ」


俺は、部屋に戻って行こうとしたけど、18時になったので、そのまま食堂に行って、食べた夕食は、すごく美味しかった。


あ〜、でも、こんなことをするために冒険者になったんじゃない!


これじゃ、冒険者じゃなく、風呂番になってしまう。


でも金がないから、仕方ない。


****


俺は、次の日も朝、早く起きて、風呂の用意をする、


昨晩の汚れは、もう、終わりの時に掃除してくれているそうで、、お風呂が入れる状態にすればいい。


俺は、裏にいくことなく、湯船の栓をして魔法で水を入れていく。


湯船に水を入れることができたら、今度は魔石に魔力を注入しようと考えていたけど、やめて、俺の火魔法で火力の小さいフャイヤーボールの小さいのを作り、水に入れて、温めていく。


そして徐々に、魔力を上げていくと、ぐつぐつ音がしだして沸騰する。


あっ、沸かし過ぎた………と思って、水を足していく。


今度は水魔法でかき混ぜながら。


ちょうど良いと思われる温度になったので、あれは顔を上げると、数人の女性が、扉の所にのぞき込むように立っていた。


「もう、いいかな?」


「あっ、はい、どうぞ」と言うと、一斉に数人の女性が脱衣場に入ってきた。


俺が、まだ、出ていないのに脱ぐ出す女性たち。


俺は、急いで廊下に出て、扉を閉める。


はぁ~なんだか、すごいな。


たぶん、朝早くでて行く女性たちだろうけど、少しは恥じらってほしいけどな。


アリシアには、ああなってほしくない。


俺は近くにある待機部屋にいくが、お湯が少なくなれば、誰かが呼びに来る。


脱衣場の中に張り出してある紙に、水が少なくなれば………と書いてある。


大抵の冒険者は男でも、女でも、風呂に入れることは少ない、なので汚れているから、洗ってから入るのが入浴の仕方だけど、それもしないで入る人もいる。


個々では女性専用と言うことで、そんな人は少ないらしいけど、まったくいないと言う訳ではない。


俺がいる待機部屋は扉が閉めていない、いつでも、言って来れるようにだけど、わざわざ、俺に声をかけてくれた人がいた。


「あの、ありがとう、こんな朝早くからお風呂に入れるなんて思わなかったよ」


「あっ、いえいえ、仕事ですから」


「それでも、君はすごいね、魔法で水を入れたり、沸かす事ができるなんて」


「えっ? 見ていたんですか」


「うん、驚きだよ、君みたいな人がいたら、本当に大助かりだね」


「あっ、ありがとうございます」と俺が言うと、じゃあねって言って急いで立ち去った。


本当に急いでいたみたい。


俺が待機の部屋からでると、そこには、大勢の女性たち………


なんだか、すごいことになっているけど、お湯は足りるんだろうか?


でも、確認にはいけない、と思っていたら、女将さんの娘さんが様子を見にやってきた。


「大盛況だね」


「ですね」


「ちょっとみてくるよ」と言って中に入って行った。


しばらくすると、手招きされた。


俺は入っていくと、「お湯を足してくれる」と言われるが、中の女性たちはタオルを巻いている。


俺は周りを見ずに、水じゃなく、お湯を足していく。


「うわっ、なに、あれ?」

「すごい、お湯を出しているみたい?」

「あんな小さいのに、魔法を使えて、お湯を出すなんて」


と周りの声を聞きながら、お湯を足していく。


「うん、いいね」と言われて、二人してでて行く。


「今、多くの女性たちが入っているから、あと、もう少ししたら、今日の仕事は終わりだよ」


「あっ、はい」


「基本、朝と、夕方、用意してくれればいいから、あとは自由だよ~」


「そうなんですね」


「うん、ほんとうなら、朝4時前に起きて水を汲んでから魔石で温めるんだけど、用意できるのは早くても6時ごろになるんだよ。

でも、君の場合、20分くらいで用意できるからね。

しばらくしてもらって入る人がいなくなるのは、9時過ぎだからね。

九時過ぎると、もう、冒険者ギルドに行く時間だし、どうかしたら遅いくらいだからね」


「じゃ、ギルドは九時まえにいくことになるんですね」


「うん、そうだよ、八時半には、もう、いいよ、別の人が掃除に入るから、じゃあね」と言って去って行った。


今は八時だけど、あれから誰も来ない、俺は、もう少し待ってみる。


***


時間的なは中途半端な時間しかないが、それでもお金を稼ぐために、俺は、六時間を有効に使うことにした。


あっ、でも、お湯が足りなくなると、中に入るのは、どうも、恥ずかしい、皆が俺を見ているし、どうにかできないのかな?


俺は雑貨屋にいくことにした。


雑貨屋で、色々、探したけど、これで、いいか、というものを見つけた。


水に浮かぶ大きくない木のものを選ぶ。


それを購入して、街の門を出る。


薬草採取をしながら、休憩のときに、アイテムボックスから、木を出して魔法を付与する。


その辺にある木でもよかったんだけど、一応、湯船の中に入れるので。


俺は地面に生えている草の上に座って、お湯が出る魔法を付与する。


もちろん、俺の魔力を注ぐ必要があるが、離れていてもできるから。


お湯がほんとうに出るのか、確認してみたが、大丈夫だった。


水魔法と火魔法を組み合わせて同時にできれば、あとは魔力を供給するだけ。


よし、いいぞ。


まだ、早い時間だが俺は、宿に帰る事にした。


そして宿に帰って風呂場に直行して実験だ。


もちろん、実験は上手くいった。


こんなことを数週間、続けて、俺は、宿の仕事をやめた。


女将さんと娘さんにも、引き留められたが、俺は丁寧に断った。


だって、俺は冒険者になるんだから。


俺には、目標がある。


朝の風呂番の役目をおえ、俺は依頼書にサインをもらって、冒険者ギルドにいく。


今から依頼を受けるが、もう薬草採取は、あきた。


なので、誰かとパーティーを組んで、何かしたい………


ギルドに着くと、さっそく、依頼書を渡してお金をもらった。


紹介してもらったお姉さんはいなかった。


これで、数日ぶんの宿は泊まる事はできる。


でも、ぜいたくはできない。


俺は、依頼書が貼ってある壁を見に行くが、たいした依頼しかない。


猫探し、掃除、子守り………


横の依頼を見てみると、Eランクは、ゴブリン狩り、ウルフ狩りがある。


やっぱり冒険者なら、最低でもゴブリン狩りをしてみたい。


誰かとパーティーを組めば、一つランクの上の依頼も可能だと言うことをもらった紙に書いてあった。


そこでキョロキョロしながら、探してみると時間的にも遅い時間だったみたいで、ギルドの中には一組だけ………


どうせ受けるなら、上のランクを体験してみたい。


でも、今、ここにいるには、女性3人だけ。


いくらキョロキョロして探しても、いない。


朝から酒を飲んでいる男性は数人いるけど、今は出遅れた感があって、いるのは。目の前の女性三人。


俺はFランクだから、俺を入れてくれるのか、わからない。


どうしよう?


女性三人は、なんだか、話しているみたいで、出遅れたとか、言っているみたいで、誰かが寝坊したのが原因だとか、言いあっている。


ちょっと怖い感じ?


「あんたが寝坊したから、もう、出遅れたじゃない」


「イザベラだって、寝坊したじゃない」


「それは、そうだけど………」


俺はFランクだから、その上のEランクまでは受けることができるが、三人の女性はパーティーに入れてくれるだろうか?


年齢は、一番、背の高い人がリーダーみたい。


20歳くらいだろうか? 美人さんだ。


その他の二人は、俺と同じくらいの年と背格好


う~どうしよう?


俺がうじうじして迷っていると、背の高い人が俺をチラッと見て、すぐに目を反らした。


今まで女性と、話をしたのは、アリシアと母親と、村の人だけ。


あっ、もう一人、冒険者の女性がいた。


そのくらいしか、女性と話したことがない。


女性三人の雰囲気に圧倒されてしまうけど、ここは、重い切って声をかけてみよう。


「あの~」


誰も、見てもくれない………


今度は、もう少し大きな声で「あの~」


と言っても三人は話に夢中になっている。


目の前にいる三人の女性の背が高い人に気づいてもらおうと、声を張り上げるが、届かない。


なので、俺は思いっきり声を上げて、手を振ってみた。


「あの、すいません………」と言うや、後ろを向いていた女性が振り向き、いきなり殴られた。


「あ~、うるさいわね」


背の高い女性が、「あっ、大丈夫?」と言って駆け寄ってくれた。


「口が切れているよ、今、治癒魔法をかけてあげるから」


俺は背の高い女性に治癒魔法をかけて、殴られたところも痛みが取れて、立ち上がった。


「それで、なんなの?」と殴った女性。


俺は意を決して、「あの、パーティーに入れてもらえませんか?」と


三人は顔を見合わせて、


「君のランクは?」と俺を治癒してくれた人。


「Fランクです」


「そう、Fランクね」


「そんな奴、入れる必要がないわよ、ソフィア」と俺を殴った人。


「う~ん、そうだね、私たちも前衛の人が、もう一人いた方が良いと考えていたんだけど、Fランクじゃあね」


「ダメですか?」


「まぁ、イザベラが殴ったお詫びに、試しに入れてみてもいいけど」


「えっ、いいんですか?」


「そんな奴、入れる必要ないわよ」とイザベラ。


イザベラと名乗る人は腕を組んで睨んでいる。


ひえっ、こわっ


もう、一人のあまり話さない人が、「私は良いと思う、私はコリン」とだけ。


「ありがとうございます」


「あっ、私は、ソフィアよ、この子はイザベラ、よろしくね」


「あっ、はい、よろしくおねがいします」と答えた。


背の高い人が年長でソフィア、俺を殴った人がイザベラ、そしてあまり喋らないのがコリンと言う名前とのこと。


「じゃ、出遅れけど、一応、掲示板をみましょうか?」


「うん、そうだね」とコリン。


イザベラは、なんだか、俺を入れたことに納得していない様子。


一応、パーティーを組むので、試しとはいえ、言い依頼は残っていなかったが、受付で申請した。


俺たちのパーティーは3人、俺は前衛でも光後衛でもできる。


しかし、受けた依頼は、遠くにあって、あまりいい依頼とは言えないらしい。


行くのも、数日かかるし、帰りも大変だし、その上、依頼料が安い。


一番は依頼料が安いのが問題だとソフィアは言っていた、しかし、俺のことを考えれば経験になると考えたらしい。


普通はFランク冒険者は、旅も慣れていない。


俺も旅は慣れていない、アルベルトの時も、冒険者で稼ぐことはしていたが、近衛師団に入っても、時々しかできなかった。


近くの場所しか、いく事ができない、ライラの専属になってからは、一切できなかった。


しかし、安い依頼料だって、村人が出し合っているお金だ。


依頼を出すということは、なにか問題が起きていると言うことだ。


特に冒険者ギルドまで、来て出す依頼は、冒険者しか受けることができないことになるので、主には、魔物の討伐だろう。


魔物が村に襲ってきて村人が全滅しては、依頼料が、どうなるのか?


依頼は、依頼終了を紙にサインをもらって、終わりとなる、しかし、間に合うかと言う問題もある。


俺たちの村を襲った魔物のこともあるし、魔物は冒険者が来るまで待ってはくれない。


冒険者が現地にいくと、もう村が壊滅していたってこともあるとのこと。


その場合は、確認が必要だが、預けてある依頼料はもらえるらしい。


また、魔物討伐も、魔物の数や種類が違うと言うこともある。


俺も、女性専用の宿の風呂番で、稼いでいるが、まだ、心もとない。


俺たちは、冒険者ギルドをでて、依頼があった村までいく事にした。



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お読みくださりありがとうございます。


ブックマーク、ハートマーク、星マーク、評価も、感想も、ほんとうにありがとうございます。


本当に多くの方の支援には心より感謝しております。

そして、何よりも小説を書くための励みになっています。


誤字脱字がありましたらお知らせください、すぐに訂正を行っています。


また意味不明な文章があることもありますが、なにぶん素人が書いている文章です。お知らせくだされば、訂正しています。


クリスとアリシアの物語をお楽しみください。

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