第13話 ギルド登録
俺が村を出て、ずいぶん歩き始めるが、周りの景色は、あまり変わらない。
俺がいる国はオーリス王国と言う国だが、ずいぶんと前から戦争をしていないし、悪い王ではないと思う。
まぁ、戦争をしないから良い王だとは限らないが。
王都までは数日かかる。
近くの街までいくと王都行きの馬車がある。そこまでは歩く必要があるが、今まで、村から出たことがない俺にとっては、つらい。
俺の村は国境の近くにあるから、戦争があったときも、一番に狙われるけど、狙っても農作物しかないし、あとは人を襲うことが起きてしまう。
その時は、急いで戻らなければならない。
母親やアリシアを襲わせるわけにはいかない。
でも、距離が問題だな。
もう少し早く行ったり戻る事ができないかな。
俺は歩きながら、考えている。
あのとき、偶然にも風が吹いて、鳥が翼を広げて、恰好良い飛び方をしている。
「人間も飛べればな、いいな~」
青い空に、白い雲、気持ちよさそうに飛ぶ鳥………
そういえば、アルベルトの記憶の中に、飛行魔法なんて突拍子もない魔法を読んだことがあったみたい。
しかし、簡単にしか書いていなかったので、アルベルトは読むことをやめたみたいだ、だから情報がない。
そういえばアルベルトは、最後は、戦地から、城のライラのところまで、どうやって移動したんだろう。
確か城にいるライラのことを強く思ったみたいだった。
アルベルトの記憶には、そんな魔法を使えたと言うことは残っていない………
ローリー大尉と魔法の練習をしたとは、残っているけど、そんな特殊すぎる魔法のことは記憶にないぞ。
アルベルトは、どうやってライラの元にいく事が出来たんだろう。
人が、その場にいて、消えて、他に現れるか………
本の言葉を使えば、転移?魔法………
ある所から、別のところに現れる魔法か
う~ん、考えても難しそうだ。
でも、それができれば、一瞬で帰ることができる。
何があっても、緊急に駆け付けることができるが、それも、何があったのか、伝わってからでは遅い。
もしも、村が魔物から襲われることが起きたら、数分で時間が起きてしまう。
と言うことを考えれば、索敵を常時展開しておくようにするか?
いや、かなり離れた村と、俺がいる場所では距離的に無理があるように感じるが、俺に、それができるのか?
近くなら結界を展開することは可能だ。
しかし、距離があると、どうなんだろう?
魔法と言うのは、魔力を発動する人がいて、可能なものだ。
その魔法の発動者が遠くにいると、つながらない?
いや、何か方法があるはずだ。
遠くにいても、魔法がかかったままにできること………持続性魔法?
俺は、そんなことを考えていたら、もう昼は、当の昔に過ぎていた。
村から出るときに、母親が作ってくれていた、食べ物を食べるために、道端に座った。
草の上に座りながら、食べているが水は自分の魔法で出す。
しかし、誰も通らない。
食べた後、また、歩き出す。
どれくらい歩いたか、足が痛くなりだした頃、街に到着した。
遠くの方に、背の高い門が見える。
はぁ~、まだ遠い。
テクテクと歩きながら、俺はちょっと緊張する。
どうしてかって………それは両横に人が立って何かを確認しているからだ。
馬車も止められている。
荷物を確認したり、荷台を見ているみたい。
荷物を確認する方と、人が並んでいる場所に別れているので、俺は人が並んでいる方に並ぶ。
なんだか、初めてだから、緊張する。
並んでいる人は、何か手に持っている。
あれ、なんだろう?
俺は、持ってない………親からも、預かっていない………
あれ、どうして?
どこかでもらうのか?
なんて、考えていたら、俺の順番になった。
「はい、身分証は?」
「………ないですが」
「なに、持っていない?」
「はい」
「お前、いくつだ?」
「15歳になりました」
「どこの村出身だ?」
「あっ、ここから一日行った村ですが、村の名前? あったのかな」
「………お前、初めてか?」
「あっ、はい」
「そうか、良く、来たな」
「あっ、はい、ありがとうございます。」
「来た目的は?」
「冒険者になるために」
「そうか、冒険者になるために来たのか。じゃ、この水晶に手を置いて」
「はい、わかりました」と言われるまま、水晶に触った。
「よし、いいだろう、銀貨1枚だ」と言われて………え~お金いるの?
母親からもらったお金を出す。
「よし、通って良し、カードは作るようにな」と言われた。
「あの冒険者ギルドまでは、どうやって行けば、馬車ですか?」
「目の前だ」と指さされた。
振り替えると、目の前に、大きい建物があった。
「あっ、ありがとうございます」
「ああ、頑張ってな」と背中を叩かれ、俺はギルドの建物の階段を上がる。
俺は王都でしか、冒険者になることができないと思っていたが、この街にも冒険者ギルドを教えてもらえた。
いや~世間って広いな。
えっ?違う、俺が知らないだけ………ああ、そうですか、どうせ井戸の中の蛙ですよ。
いや、小さな村の蛙?………意味わからん。
銀貨の支払いは痛かったが、それでも、この街で冒険者になる事ができるとは………良かった、いや、本当に、そう思っているよ、だって所持金がね………
馬車に乗るのも高いし、歩くのも足が疲れるし。
道の真ん中を歩いていても、馬車が来ると、道の端によけなきゃならないし。
水たまりがあれば、水をかけられてしまうし………踏んだり蹴ったりだよ。
本当に知らないって、怖い、王都に行かないとなれないと思っていた。
階段を数段、登ってギルドの扉を開けると、一斉に俺の方を見るんだけど、えっ? なに?………でも、一瞬だけで、また話始める人や酒を飲んでいる………一体、何だったんだ?
俺の服がおかしいのか?
ギルドの中は、かなり大きく、どうしてかわからないが、酒を飲んでいる人も多く、みんな騒がしい。
長いテーブルのところにいき「あの、冒険者になりたいんですが」と言うとギロッて睨まれた。
「お前な、ここは酒を飲むところだ。冒険者の窓口はあっちだ」と顎で示された。
「あっ、すいません、ありがとうございます」とイスに座ろうとしたが、たって違う場所にいく。
始めてなんだから、知らないよ。
俺は人が並んでいる所の最後につく。
立って並んでいる人も、ぎゃははっって騒がしい。
依然、村に来た冒険者たちのケイシーと重ねてしまう。
ケイシー以外は、全員が騒いで酒を飲んでいたことを思い出す。
騒がしい人たちって記憶がある。
俺の順番がきた。
お姉さんが俺の方をチラッとみて、「どうしたの、坊や」と言われたので、坊やなんて、言われたの、初めで戸惑う。
「あの、冒険者になりたいんですが」
「君、いくつ?」
「15歳になりました」
「そう、それなら冒険者になる事ができるわ。でも、君、小さいわね」
「あっ、はい、すいません」と答えておいた。
「………いいのよ、じゃ、これに必要事項書いてね」
と言ってお姉さんは、紙を一枚差し出す。
えっと、名前………クリス、と
年齢………15歳と
出身の村………しらない、と
剣士か、魔法師か?
う~ん、どっちだろう?
両方 〇、と
「はい、これで良いですか?」
お姉さんは、返した紙をみて、ため息をつき、まぁ、いいわ、と言って受け取り、水晶に手を置いてと言ったので、俺は手を置いた。
何かが起きる訳ではなく、お姉さんは、水晶を確認して「はい、これで登録完了よ、これには説明を書いてるから読んでね」と言ってカードと紙を渡された。
「君はFランクからだから、あそこに書いてある依頼をみて、選んだら、こっちに持ってきて、Fランクは、危険度が少ない依頼が多いわ、薬草採取は、常時出ているから、勝手に行って、取ってくればいいわ、ただし薬草の種類を間違えないようにね。時々、その辺に生えている草を持ってきて薬草を取ってきたらお金をくれって言う人がいるのよ。
必要な薬草は、あそこに書いてあるからね、参考にして、じゃあね、頑張って」
「ありがとうございます」と頭を下げて、依頼が張られている壁にいくけど、Fランクは、庭掃除、家の掃除、ドブ掃除、猫探し、牛の世話………
依頼はあっても、お金が少ない。
元気が出る草なんて、銅貨1枚から
キズが直る草は銅貨3枚から。
病気が治る草は、銅貨5枚から。
体力回復ポーション?………小銀貨5枚から。
ゴブリン一匹………小銀貨一枚
ミノタウロス………金貨1枚
えっ、あのミノタウロスが?
金貨? どんなお金見たこともない。
******
今は夕方だから、今日の寝床をどうしようかな?
お金も少ないし。
俺はお金も少ないから、明日の朝から薬草採取をしようと思って、入ってきた門をギルドカードを示して出る。
騒がしい街で寝るよりも、草の上の方が良いや。
馬車道よりも、そこから歩いたところを見つけた。
そこから見える町は明るく照らされているが、賑わいというか、騒がしいイメージだ。
木の根元に寄りかかろうとしたが、枯れ木を集めようと、立ち上がる。
アリシアと一緒に来なくて、良かったよ。
こんなところで野宿していることなんて、考えられないし………。
木を集めて、火を焚こうとしたが、今は夏だから、寒くないや。
俺は眠くなってきて、木に寄りかかりながら瞼を閉じようとしたときに、はっと目を覚まして結界を張った。
そして寝た。
かなり歩いて、足が棒のように感じながらも、緊張したりすることも多く、初めての経験で疲れて、朝まで眠ってしまった。
どこかで鳥が鳴いている。
その声に目を覚ます。
「ふぁ~、良く寝た」と背伸びをしながら、起き上がると、頭をぶつけた。
いててっ、と頭をぶつけた所をみると、手で触ってわかるが結界があった。
あっ、そうだった、結界で覆っていたんだ………、周りを見て異常がないことを確認して結界を消す。
今日は、もう食べ物はないから、水魔法で水を出して、飲む。
よし、いきますかぁと言って立ちあがる。
今日は依頼を受けないと、食べ物がない。
もう、一度、昨日通った門にいき、今度はギルドカードを門番の人に見せて、すんなり通ってきたけど、ちょっと緊張した。
た、何か言われるんじゃないかと思ってしまった。
もう、早い冒険者は、こちらに向かっている。
5名くらいの人が多い、みたいだけど、中には、10人くらいの人たちもいる。
装備っていうのかな、剣も色々な種類があるみたい、太いのや細いのや………
弓を持っているひともいるし、結構、女性もある。
なぜか、帽子をかぶった魔法使いぽい人は、棒を持っている。
あっ、そういえばケイシーも魔法の棒を持っていたな。
詳しくは聞いていないけど、あの棒は何をするんだろう?
冒険者が街を出ていくのを横目で見ながら、ギルドに歩いていく。
階段を数段、登ったあとには、昨日とは違う感じ?
と言うのも酒を飲むところには、人がいない。
昨日、教えてもらった掲示板にいき、自分のランクの依頼を探してみる。
パーションの材料は常時依頼しています………と書いてある。
詳しく読んでみると、受付に申請する必要はなく、勝手に採取してきていいと、書いてある。
でも、横には、家の掃除をしてくれる人、募集?
薬草は、どうか、わからないから、俺は掃除の依頼を受けることにした。
その木札をはがして、受付の方をキョロキョロ………昨日のお姉さんは? あっ、いた。
俺は誰も並んでいないお姉さんの前に行って、黙って木札を出す。
俺が出した木札に、お姉さんは気が付いて、「君がうけるの?」と聞いてきた。
「はい」
お姉さんが木札を手に取り、俺と木札を交互に見る。
「この依頼、結構、キツイわよ、それでもいいの?」
「あっ、はい」
「そう、それなら」と言って、今度は木札じゃなく、紙を渡して、終わつたら、これにサインをしてもらってね、と言われた。
紙をうけとり、場所も地図が書いてある。
「はい、わかりました」と言って紙を見ながら、歩いていく。
その時に、ドンと人に当たる。
「おい、お前、人にぶち当たって置いて、謝りもせずか?」
「あ、すいませんでした」と謝ろうとしたが、げんこつが飛んできた。
俺は瞬時に結界を張り巡らせる。
ガンッ
固い物が当たる音がして、拳が弾かれる。
拳で殴ってきた男は、痛そうにしている。
あっ、やばっ………どうしよう?
俺は数人に囲まれた。
後ろから女性の声で、「君たち、そんな小さな子供に拳をあげるなんて、すべて見ていたわよ」と振り返ると。腰に手を当てている仁王立ちの女性。
「お、俺は悪くねえ」と言って、この男性は、逃げて行った。
逃げて言った方を見ていたら、「君も、ちょっと、こっちにいらしゃい」と言って腕を引っ張られて連れていかれる。
「えっ?」
「いいから」
受付の奥に連行されて、部屋に閉じ込められた。
「ここで、ちょっと待っていなさいよ」とお姉さんはでて行く。
俺は一人で待つことに不安を覚えるが、しょうがなく待っている。
キョロキョロしながら5分ほど、待つと、扉のノックが………
「ど、どうぞ」
入ってきたのは、先ほどのお姉さんと、男性………
「この子です」とお姉さん。
えっ?
俺は、なんだか怖そうな男性はジッと目を離さない。
「にわかには、信じられんな」
「でも、私、この目で見ました」
なにを言っているんだ?
男性は、俺の方を見て「君は何歳だ?」
「15です」
「君のギルドカードのランクは?」
「昨日登録しましたからFランクですが」
「そうか、わかった」とだけ、行って男性は部屋から出て行った。
一体、何だったんだ?
女性と一緒に部屋をでて「ごめんなさいね、決まりなので、今は秘密です」と言う女性。
俺は、わけわからん。
「それで、今日は、どうする?」
「あっ、じゃ今日は薬草採取にいってきます」
「そうね、それがいいわ」
と言って、冒険者ギルドをあとにしたけど、何だっただろう?
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