第4話 どうする?

ケインの姿をみなくなって数年が流れた。


ケインが好きだったリズも結婚して村から出て行ったきり、一度も帰ってくることもなかった。


噂ではリズは、顔は美人だけど、性格から愛想もなかったので暴力を振るわれていると言われて余計に表に出ることは無くなったと噂されている。


例え、ケインとリズが上手く付き合えても、親がケインのことを許すはずはなかったかも。


いくら冒険者になってお金を稼ぐことができても、生きていないと意味はないよ……ケイン。


また、ケインと話をしたい………嬉しそうに話すリズのことをケインの口から聞きたい。


たぶん、リズも、結婚と言う牢獄に入ったことを、悔やんでいると思う。


リズの親は救われたかもしれないが、リザは、どう思っていたんだろう。


ケインのことを、心の片隅にでも、居させてくれればいいなぁ




ケインがいなくなって、数年がたとうとしている時に、また、村で事件が起きる


俺とアリシアは、普段通り、家の手伝いを終わらせて二人で遊んでいた。


「クリス、また、あの木の上まで競争しましょうよ」


「えっ、またぁ」


「なに言ってんのよ、いい、いくわよ」


「よーい、スタート」と言う間も無く、言った本人のアリシアが俺よりも先に走り始める。


アリシアと二人で木まで走り始めたけど、俺もアリシアについていけるようになってきた。


でも、まだ、アリシアの方が走るのは早いから木の根元までアリシアが一番に到着した。


「はぁ、はぁ、まだまだね、クリス」


「うん、ハァ、ハァ、まだアリシアの方が早いや」


「よし、じゃ、今日は木の上まで登る競争よ」


「よし、今度は負けないぞ」


「よーい、スタート」とアリシア


「ち、ちょっと、待ってよ、まだ、息が、ハァ、ハァ‥‥‥」


「 もう、クリスったらだらしないんだから」


何も答えないでいると、勝手にアリシアが先に木の上に登りだす。


俺は息が収まるのを待ち、アリシアのあとについて木を登っていく。


そして先に登ったアリシアが枝の上に座るのが見えた。


俺は木に上るのは少しは得意だけど、それでもアリシアには敵わない。


俺の、ようやく枝に辿り着き、アリシアの横に座ることができた。


村の周辺には木がいっぱいあるけど、登った木は、大きさも高さも村では一番の木だ。


村で一番の木だからと多くまで見渡すことができるので、俺たち二人は、よくこの木に登っている。


「ここから見える景色は、いつ見てもキレイね、クリス」


「うん」


いつも見ている景色だけど、飽きることがない景色だし、夏もで冬でも景色は変わってきたり、生えている木が倒れてしまつたり、木が伐採させることもあるから、見ている景色は時々、変化する。


緑が多い時もあれば、葉っぱが落ちて木の枝ばかりになっている季節もあるから。


「今日は天気もいいし、澄み渡っているから、遠くまで見えるわね」


「うん、本当だね」


「はぁ、気持ちいい風が吹いているわ」


「うん」


しばらく景色を楽しんでいると、ふと見ると、森から黒い人影のような塊が出てきた。


まだ、遠くて良くわからない。


アリシアも俺も目は良い方だと思う。


でも、まだ遠くて黒い塊しか見えない。


「ねぇ、クリス、あれってなんだと思う」


「旅人か冒険者かな?」


「でも、あそこに、道はないよ」


「‥‥そうだね」


「なんだか、あの時の魔物に似ていない?」


「えっ? ケイシーの時の魔物?」


「うん、きっとそうだよ」


「早く門番の人に知らせないと」と急いで村に走っていく。


俺たちは門番がいる方に大声を出すが、動きがない。


時々、門番は居眠りしている時もあるから、今回も寝ているのか?


「魔物だー」と叫ぶ。


門番じゃなく、誰でもいいから村の人が気がつけば………


「大変だ、魔物だー」と叫ぶ。


門番はトイレにでも、行っているのか、出てこない。


俺たちは門を通り過ぎても、誰もいないから、村長のところへ行く。


村長の家のドアをたたいた。


「村長さん、大変だ〜」ドンドンと叩いても村長はすぐには出てこなかった。


村長が出てきた途端「なんじゃ」と不機嫌そう


「村長さん、魔物がいる」


「お前たち、嘘を言うんじゃないぞ、まったく、遊ぶんだったら、他所で遊んでくれ」


「本当だよ」


「嘘を言うんじゃないぞ」


出てきた村長に、2人は魔物が近づいていると言ったが、村長は、子供のいたずらと受け取って、まともに話を聞いてくれなかった。


「本当なんだよ、村長さん」


「そうよ信じてよ」


こんなことやっていたら時間ばかり過ぎてしまう。


俺たちも焦りからか言葉が出てこない。


もう魔物は門のところにいる。


村長は玄関の扉があるため、魔物は見えない。


そこに大きな声が響いた。


「フゴーッ」


村長は声に驚いて扉から顔を出して声がした方を見ると、村長の目が大きく見開かれる。


「ま‥もの?」


村長は、ドア越しに魔物を見て、一瞬で大汗をかき、ガタガタ震えだした。


そして腰を抜かした。


村長が立ち上がることができた時には、もう、魔物は近くにある家を壊し始めていた。


「フゴッ、フゴー」と鼻息を荒くして、持っていたこん棒を振り回しながら、家を壊している。


その時に、やっと警鐘がなり始める。


「カン、カァン、カン、カァン………」


鐘の音と、家が壊される音で、ぞろぞろと家から人が出てきた。


「なんだ?」

「なにが起きたんだ?」

「うわっ、魔物だ~」

「ミノタウロスだぁ」

「逃げろ」


ミノタウロスは、声がする方に向かっていき、こん棒を振り下ろす。


「た、助けてくれ」とミノタウロスに言っても、だめだった。


「グシャ」とこん棒のつぶされる。


時には鶏小屋をつぶして、食っているみたい。


鶏に飽きたのか、今度は、俺とアリシアがいる村長の家に近づく。


でもミノタウロスが向かってきても、動くことができない………


強者から見たら、俺たちなんか、つぶされるだけ。


その時、村長が俺たちのことをエサにして家の扉を閉めた。


「えっ?………村長さん開けてよ」と扉をドンドン、叩いても開くことはなかった。


村長の行動を切っ掛けとして俺たちは動くことができた。


俺とアリシアは、村長の家の前から、離れることができた。


魔物は俺たちの方に向かってくる気配はなく、村長の家を目指している。


さも、そこにエサが隠れていることを知っているような感じに………


ミノタウロスが、こん棒を上から下に振り下ろす。


「ドガッ」と大きな音がして、こん棒は屋根から家の玄関の部分を壊した。


屋根や壁の瓦礫とともに、ドアも壊れて、その下に村長が横たわっている。


横たわる村長の体から、血が流れてきている。


俺たちは、パニックになりながら、村の外に走る。


しかし、村の門を過ぎた所には、もう一体の魔物がいた。


「うわっ」


その魔物が「ゴブ、ゴブゴブ」と大きな声で威嚇してきた。


俺とアリシアは足がガクガク震えだす。


しかし、足が震えながらも、何とか動くことができる。


俺たち二人は走りながら、逃げているが、その後ろから魔物が、ついてくる。


走る速さは、ミノタウロスの方が早い。


俺たちが、曲がっても、しっかりついてくる。


川に入っても、すぐ後方にいる。


川から上がって、大きな石のところで追いつめられる。


アリシアは俺を守るように前に出てミノタウロスに立ち向かうように手を広げる。


「ア、アリシア~」とアリシアの肩に抱き着く。


「し、し、し、心配しないで良いよ、ク、クリスは私が守るから」と震えながら言うアリシア


俺の後方には、大きな岩がある、両側にも岩があり、岩のくぼみみたいなところへ追いやられた、もう右にも左にも逃げることはできない。


ミノタウロスは、目の前でこん棒を横殴りで振る。


変な音と共に、アリシアがいなくなる。


「えっ?」


今までいたアリシアがいない………


アリシアを探すとアリシアは宙に飛んでいる。


そしてアリシアは、地面にたたきつけられ、ゴロゴロと転がる。


それを見た俺は、切れた。


俺の意識が、どこかに飛んでいき違う俺が現れる。


いや、あくまで俺なんだけど、ガタガタ震えているような俺じゃない。


今までは、アリシアの陰に隠れてアリシアから守ってもらっていたが、今の俺は自信に満ち溢れている。


すぐにアリシアに向けて「ハイヒール」と唱える。


アリシアの治癒魔法が発動されたことの証明のようにアリシアの体が光り輝く。


それを確認した俺は、俺に牙をむくミノタウロスに向けて、言葉だけで「ファイヤー」と言うと、ミノタウロスは何もない状態から一気に燃え上がった。


ミノタウロスが大きな叫び声をあげる。


「フゴーッ、フゴーッ………」


俺は冷静に、ミノタウロスが燃えているのを見ている。


ミノタウロスは、燃えながら俺に右手を伸ばしてくる。


しかし、伸ばした手は………手前で止まった。


そして動きを止め、ミノタウロスは崩れ落ちるように倒れた。


俺は、それを確認してアリシアのもとへ駆ける。


アリシアを仰向けにして、服が破れたところからケガを確認する。


今回で二度目の大きなケガ………


アリシアの息を見てみると、息は普通だ。


しかし、こん棒で殴られたケガは致命傷になってしまう。


一応、確認のため、服をはぐってみたが、傷は残っていない。



俺が倒したミノタウロスは、村の奴よりも小さい。


村の方に急ぐ必要があったが、アリシアをこのままにして良いのか?


俺は立ち上がり俺が使ったこともない結界をアリシアの周りに張った。


そして急いで、村の中に入っていく。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

お読みくださりありがとうございます。


ブックマーク、ハートマーク、星マーク、評価も、感想も、ほんとうにありがとうございます。


大変、励みになっています。


誤字脱字がありましたらお知らせください、すぐに訂正を行っています。

なにぶん素人が書いている文章です。お知らせくだされば、訂正しています。


一生懸命、書いていますが、ところどころ意味不明な文章がありますので気分を害した方には申し訳ありませんが見直し作業中であり訂正は、順次しています。


クリスとアリシアの物語をお楽しみください。


読んでいただきありがとうございます。

これから、どんどん面白くなりますのでよろしくお願いします


よろしくお願います。

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