第3話 冒険者ケイン

俺たちは魔物に襲われ、冒険者のケイシーを亡くした。


見ず知らずの俺たちに、あんなにやさしく教えてくれたケイシー………


時には厳しい時もあったが………俺たちと会わなければ、まだ、生きられたのかな?


あのあと、すぐに騒ぎを知った大人たちが駆けつけた。


色々、聞かれたが、俺は口が重たくなったように話すことはしなかった。


みんなはショックのあまり、落ち込んでいるんだろうと話した。


それから俺は、また。5日くらい眠った。


その寝ている間に、俺は夢をみた。


夢の中には、ローリー大尉とか、ライラとか、アルベルトと言う名前があった。


その夢の中で、俺は魔法の使い方をローリー大尉の説明で聞くことができた。


ローリー大尉と言う人の前や横で、色々な説明を聞いていたが、その時の俺は、第三者ではなく、当事者としていたと思う。


そして俺はアルベルトの記憶と、魔法の力を手にいれた。


しかし、アルベルトたちの夢をみる前に………誰かに会った………とても懐かしく話し方も優しく………俺の頭に手を置いて撫でて笑顔の人………誰かはわからないけど………


しかし、夢の中のことなので目が覚めたら忘れてしまっていた。


*****


ケイシーの事件があって、しばらくたった。


俺とアリシアは、まだ、落ち込んでいる。


ケイシーは、ここには墓はない、冒険者の仲間が王都に連れて行った。


王都に家族がいるとのこと。


*********


しばらくして村の知り合いが冒険者になると言って、村から旅立って行った。


旅立つ前から、親とはもめごとを起こしていたが、家の横を通ると大きな声がしていた。


父親と、もめごとを起こしてた原因は、職業のことだったのか?


なりたい職業が冒険者だったから、反対されたのか?


でも、ケイシーが魔物にやられて死んだことは、知っているはずなのに………


それでも冒険者になりたいのか、俺は疑問に思った。


ケインが冒険者になりたいと言って村をでて行って、忘れてしまうほどの時間が過ぎた。


俺が、水汲みに家の扉を開けると、そこに歩いてくるケインの姿を見つけた。


俺とケインは、そんなに仲が良い訳じゃなかったが、それでも同じ村に住んでいると言うことで、話くらいはしていた。


「よっ、クリス」

「あっ、ケイン」


「どうしたの?」


「どうしたって、帰って来たんだよ」


「えっ、もう、冒険者やめたの?


「お、おまえな~」とちょっと落ち込んでいる。


「やめたから、帰ってきたんじゃないの?」


「違うさ、今は休養さ」


「そうなんだ」


「ああ………活躍しているから、たまには休みも必要さ」


「そうなの? そんなに活躍しているの?」


「あ………ああ、そうだぞ」と少し焦っている?


「冒険者になって、どう?」


「ああ、面白いように金を稼ぐことができるぞ」


「えっ、そうなんだ」


「ああ、冒険者は、いいぞ」


「でも、危険でしょ?」


「危険でもあるが、それでも魔物と対する時にスリルがたまらない」


「そうなの?」


「ああ、魔物の動きを良くして、魔物が、どう、動くかで判断して、剣で抹殺する」と身振りを交えて教えてくれる。


「へー」


「おまえ、軽いな………」


「えっ、だって、俺は冒険者じゃないもん」


「ほら、アリシアが待っているぞ」


「あっ、ほんとうだ」アリシアは木の陰から、こちらを見ている。


「じゃあね、ケイン」と手を振り、俺は、アリシアのもとへ走っていく。


アリシアの元にいくと、「ねえ、クリス………ケインとはあまり話さない方がいいなじゃい?」


「えっ、どうして?」


「なんだか、私、あの人、きらい………」


「そ、そうなんだ」


「違うところ、いきましょう」と俺の手を引っ張って歩き出す。


ケインは、まだ、同じ所に座っているが、違うところを見ている。


その先にいるのは、リズだった。


ケインと同じ年だと思うけど、髪が長いから風になびいている。


可愛いと言うよりも、美人と言う感じだ。


どこにいくのか、知らないが、かごを持っているから洗濯かな?


籠を抱えてあるくリザを目で追っている。


見えなくなるまで目線を離すことがないケイン………


**


あるとき、俺とアリシアは村の門の外の川の近くで、木の棒で遊んでいた。


「やあっ」

「そんなんじゃ、だめよ」とアリシア


「だって当たると痛いよ」


「そんなことを言ってたら、強くなれないわよ」


「うん、わかった」と


***


アリシアがケインを嫌がるので、アリシアと会わない時に、ケインと話をした。


ケインは依頼を受けて魔物を倒す事ができれば、大金がもらえると嬉しそうに話してくれる。


「えっ、そんなに早く、お金を稼ぐことができるの? だってケインが冒険者になったのって、この前だよね」


「まぁな、冒険者はな、数人の仲間とパーティーを組むんだよ」


「へ〜、パーティー?」


「俺が入っているパーティーはな、みんな俺より上だからな、初心者の俺でも、上のランクの依頼を受けられるんだよ」


「へー、そうなんだ」


「このまま、依頼をこなしていけば、俺もEランクに上がることも早くなるからな」


「へー、ランクが上がるんだ」


「そうよ、ランクが上がれば、また、上のランクを受けることができて、金が稼げるんだぞ」


「へー、すごいね」


「うちの親もな、俺が金を少しやると、もう、それは、それは大喜びしてな」


「へー、すごいね、ケインは親孝行なんだね」


「まあな、うちも、お前んとこと同じ子一人だからな、親は大事にしなきゃな」


「すごい、ケインの口から、そんなことが出るなんて‥‥‥」


「お前な〜」とケインは顔を赤くしている。


俺はケインのことを本当に仲のいい友達だと思っていた。


ケインは20歳で俺が見ても、がっしり体系ではないが俊敏そうだ。


「俺はな、魔物討伐でも、前衛を受け持っているんだぞ」


「へー」


「お前、軽いな………まぁ、いいか、前衛はな冒険者でも花形なんだぞ、魔物に初めに突っ込んでいくからな」


「うん、それで‥‥‥」


「魔物でも倒しやすい奴もいれば、そうじゃない奴もいるんだ。

しかも魔物に切りつけるときに魔物の肉っていうのは、結構、硬いやつが多くいてな、剣を斬りつけた時の感じが、リアルっていうか、すごいぞ

でもな、こっちも魔物の腕の力とか、爪とか、噛みついてくるからな、危ないこともあるけど、仲間が助けてくれるから、おもしれぇぞ」


「へ〜、そうなの」それって、あぶないんじゃないの? もし、間に合わなければ………


「冒険者っていうのはな、ギルドっていうところで依頼を受けて、その依頼を受けて旅に出るんだぞ、そして依頼を受けた村まで行って、魔物が出てくるまで待つんだ」


俺たちが話をしていると、少し前を女性が通り過ぎた。


女性はチラッとこちらを見たが、声をかけることもなく通り過ぎた。


ケインは話をやめて、女性を目で追っている。


じーっと見ている。


女性が見えなくなるまで目で追っていた。


「‥‥‥」


「お前の家の近くに、可愛い子が住んでいるだろ」


「えっ、アリシアのこと?」


「ちげえよ、アリシアはお前と同じ年だろ、そうじゃなくて!」


ケインの顔が赤くなる


「あっ、リズのこと?、さっき前を通ったよね」


「あっ、うん、そのリズだよ」


「そのリズが、どうしたの?」


「お前な、俺が女のことを話したら、普通、気づけよ」


「?」


「………俺、リズのこと好きなんだ」


「へ〜」 ケインはガクッとした。


「それだけかよ」


「だってリズとは、時々、会うけど、綺麗な女性だけど、ちょっと話ずらいっていうか‥‥‥」


「バカ野郎、それがいいんじゃねえか、お高く止まった感じがいいんだよな」


「へー、ケインって変わっているね」


「えっ、変わっているって………そ、そうか?」


「うん、俺だったら、もっと話しやすい人がいい」


「それは、アリシアのことだろう」


「うん、もちろん」


「はぁ、こんな奴に話すんじゃなかった」


ケインは、リズに会うために、村に帰ってきているのか?


でも、ケインは一生懸命にみているけど、リズは見ていないどころか、嫌っているような感じ………


ケインの片思いみたいな関係だ。


リズを見るために帰ってきているけど、家では親と言い合いばかりしている。


ある日、俺が村を一人で歩いていると、ケインとリザが二人して話している所に出くわした。


ケインが一生懸命、リザに話しているが、リザは、ふーん、そうとか、へー、とかしか言わないみたい。


俺は、ちょっと歩を止めたが、また気にせず歩き始める。


リザは笑いもせずに、面白く無さそうにケインの方はみていない。


ケインは顔を赤くしながら、熱心に話をしている。


リザは、そんなケインのことを興味がないって感じだ。


そんなある日、俺はケインと会った。


暇そうにしていたので、「ケイン、剣の訓練してよ」


「お前と訓練すると、下手すぎて、俺の訓練にならねえよ」


「えっ、いいじゃん、ケイン」


「もう、しょうがないな」


ケインは、しかたなく付き合ってくれた。


俺は急いで家から、いつも剣の訓練に使う木の棒を持ってきた。


少し木の棒で打ち合うと、ケインは「あー、やめた」と言い出した。


「どうしたの?」


「ケガが痛い」と腕に包帯を巻いていた。


「どうしたの?」


「前に、依頼を受けた時に魔物にやられた」


「えっ、ちょっと大丈夫?」


「ああ、魔法師に治癒魔法をかけてもらった」


俺が治癒魔法をかけてやろうと思ったが………やめた。


治癒魔法をかけてもらったのに、まだ、痛むの?と俺は思った。


また、しばらくしてケインは冒険に行ったみたいだ。


しばらくは村で会わなかったから………


数日してケインの姿を見つけて、俺は走ってケインのあとを追った。


「ケインー」


「おっ、なんだ、クリスか」と振り向いたケインは、包帯の数が増えている。


「また、ケガ?」と言うと


ケインは「名誉の負傷だぞ」と以前とは違う腕を見せる。


首にも包帯を巻いているし、頭にも包帯をしているケイン。


足も引きずっているから歩きにくそう。


「ケガの一つもないと、勲章とは言えないんだぞ」


「そ、そうなんだ」


「いいか、このケガはな、リーダーを助けようとしたケガなんだ」


「へー、リーダーを」


「そうだぞ、俺たちのパーティーのリーダーは強いんだぞ、でもな、背後から襲われたら、誰だって………だめだ、その時に俺が魔物からリーダーを守ったんだ」


「へー、そうなんだ」


俺はケインの怪我を見るたびに冒険者って大変なんだなって思った。


ある時、ケインが村に戻ってきて、見えるところは包帯だらけ。


でも、ケインは包帯を巻いて痛そうにしながらも、興奮して「大金が手に入るんだ」と話してくれた。


ケインは大金が手に入ったら、リズに告白すると顔を赤くして言っていた。


それから、すぐに村を出て、仕事に行ったみたい………


***


村を出て、もう2ヶ月経つけど、ケインは村に帰ってこない‥‥‥


あんなにちょくちょく村に帰ってきていたのに、ケインの姿を見つけることもできなかったので、俺はケインの家に行って聞いてみた。


「こんにちは、おばちゃん、ケインは?」


「それがね、あれから、まだ、帰ってこなくて心配しているところさね、まぁ、そのうち、ひょっこり帰ってくるよ」と言っていた。


「そうですか、わかりました、また、きます」と言ってケインの家から帰ってきたけど、心配だ。


大きな仕事があるといって村を出たきり、ケインに会うことはなかった。


ケインの家に行っても、まだ帰ってきていないと、ケインのおばちゃんは寂しそうにしていた。


ケインは大金が入ると言っていたが、大金が入るほどって、危険なことなのかな。


ケインは数ヶ月、経っても戻ってこなかった。


ケインは、さらに半年経っても帰ってくることはなかった。


いつか、ケインが村に帰ってくることをケインの両親は、待ち望んでいたが、いつまでたってもケインは戻ってこない。


ケイン、どうしたのかな?


いつ、戻ってくるんだろう。


リズに告白するって言っていたのに。


1年以上経ってもケインは帰ってこない‥‥‥


ケイン、早く帰ってきてよ‥‥‥ケイン………頬を涙が落ちる。


しばらくたってもケインは手紙どころか、音沙汰もなにもないので、両親はおきらめきれないと言っていたが、心の奥底では………



ケインが帰ってこない日から2年が過ぎて、今度、リズが結婚するらしいと噂が流れた。


噂では、家の借金が膨らんで返せなくなった親は、金を借りた家がリズを嫁にもらうということで借金をチャラにする話を持ちかけたらしいけど、親は、それを承諾したらしい。


初めから、それが目的で、お金を貸していたのかも‥‥‥


リズの家の近くを通る時、親が泣いていたりする声を聞いた。


また、ある時、すすり泣くリズらしい泣き声が聞こえた。


借金の相手は、50代の女たらしって言われている。


奥さんが、7人もいて、奥さんが殴られることもあるそうな家らしい。


おじいちゃんと結婚するみたいだよ、しかも恋愛じゃないから。


どうなるのかリズは‥‥‥


もっと、早くにケインとリズが付き合っていれば、何かが変わったのかな?


でも、あの親だから、ケインと付き合っていても、ケインと別れさせて50代の男性のもとへやった可能性もある。


あのとき、ケインが、もっと早くリズに告白して、リズが受けてくれていれば………


ケインも生きているかも………




「クリス、何、落ち込んでいるのよ」


「あっ、アリシア………うん、ケインのことをね」


「あっ、ケインね、帰ってこないそうね」と軽い


「うん、そうなんだ」


「クリスはケインと仲良かったもんね」


「うん、ケイン、死んだのかな?」


「さぁ、それはわからないわよ、どこかで可愛い女性を見つけて生きているかもよ」


「!っ………そ‥うかもしれないね」


「そうよ、元気だしなよ」


「うん、ありがとう、アリシア」


でも自分でも、そんなことはないと思っていたけど、アリシアの優しさが嬉しかった。


しばらくはケインがいないことで寂しさを感じたけど、アリシアが剣の稽古で俺を引っ張り出してくれた。


「クリス、剣の稽古するわよ」


「えっ、またぁ、アリシアは強いから嫌だなぁ」


「なに、言ってんのよ」


「ほら、クリス、拾いなさい」と言って棒を俺に向かって投げる。


もう、しかたいな、と思いながら、棒を拾った。


「いくよ、クリス」


「ちょっと、まだ準備ができていないよ」


「もう、早くしなさいよ」


実は今までアリシアに勝てることは全然なくて負けてばかりだったから。


しかし平和な暮らしは、長くは続かなかった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


お読みくださりありがとうございます。


ブックマーク、ハートマーク、星マーク、評価も、感想も、ほんとうにありがとうございます。


本当に多くの方の支援には心より感謝しております。

そして、何よりも小説を書くための励みになっています。


誤字脱字がありましたらお知らせください、すぐに訂正を行っています。


また意味不明な文章があることもありますが、なにぶん素人が書いている文章です。お知らせくだされば、訂正しています。


クリスとアリシアの物語をお楽しみください。

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