本編第1話 生まれ変わって同じ悲劇を繰り返さない為

俺はアルベルトが生きてきた記憶と能力を継承している。


俺は、記憶があるアルベルトの時代に悲しい記憶があり、それに気が付いたのも、あるときからだ。


アルベルトの時は、自国の兵士の裏切りに、殺されてしまうが、あの時は、ライラは俺が死んだあと、どうなっただろうか?


ライラに会いたい、顔を見たいと必死に願ったら、魔法が発動して転移することができた。


しかし、俺の魔法も、生命も、そこまでだった。


でも、最後にライラに会うことができたけど、どうしてもライラのことが忘れられない。


俺の死後のことは、よくわからないが、ライラが生きていてくれることを願う。


俺の意識がなくなったあと、俺は真っ白い空間? 部屋?に意識だけを移された。


「なんだ? この部屋は? !っ、そういえば、ライラは?」


周りを見渡してもライラはいない………


ライラ~と大きな声で叫んでも、俺の声しか聞こえない。


それにしても、ここは?


俺はライラを探し始めるが、どこまで歩いても、同じ光景ばかり。


歩けば、何処かの壁に当たると思って歩き始めたが、何もない………


俺は平行感覚を失い座り込む。


「なんだ、ここは?」


そのとき、靄みたいなものが俺の目の前に出現する。


それは眩しいほど、光り輝き見ていることができない。


俺は右腕で、眩しさを防ごうとしたが、無理だった。


そのうちに、光は輝きを落としていき、靄が、少しだけ見えるようになったが、それでも、同じだった。


光は『お前を、今から、300年後に転移させる。これからは、その人物と協力して生きていくのじゃ。

その人物が、この星を破滅に招くか、助けることができるか、その人物次第なのだ。』


と、どこからか、声は聞こえるが、人らしいのはいない。


もしかして目の前の靄が喋っているのか?


『その者に転生すると、、お前に意識は無くなっていくだろうが、能力は引き継がれ、意識もある程度は残る」


「えっ、どう言うこと?」


何を言っているのか、わからない。


「では、いけ」と言って目の前の靄は消えた。


「………えっ? なに、それ?」


と言うと、俺の魂は、何処かに吸い込まれるように消失した。


*****


300百年後の世界なのか、どうか、わからないが、俺はある家の上空にいる。


その家の扉の目には、かごに入っている赤子がいる。


その赤子は、すやすやと眠っているように見える。


なんだ、なにが起きるんだ、俺を、こんなところに連れてきて………


しばらくすると、赤子は目を覚まして、俺を見ると、手を伸ばした。


俺は、その赤子の伸ばした手に引きずりこまれるように吸収されて、俺の意識は眠った。


*******



朝、早くに赤ん坊の泣く声で目を覚ました、この家の女性は、扉を開けると、驚いた。


「オギャー、オギャー」」と元気に泣いている。


「あら、こんなところに、どうしたの?」と女性は、かごから、赤ん坊を抱き上げる。


「よし、よし………」と言って、あやしていると、泣き止んだが女性は、この村に、こんな子、いたかしら………


赤ん坊をあやしていると、男性も起きだして、女性のもとにくる。


「ねぇ、あなた、扉の前に、この子が?」


「えっ?」


「ここにね、この子がいたのよ、かごに入れられて………」


男性は、この女性と夫婦みたい。


下に置いてある籠を持ちあげ、なにか、入っていないか、確認しているけど、なにも無さそう。


「どこの子だ? こんなところに置いたままにして」


「この子、生まれて数日たっているみたいだけど、村には、そんあ子供を産むような人はいないわ」


「それも、そうだな、隣のアリシアのうちは、もう生まれているし」


「そうね、アリシアちゃんは、この子よりも、少し大きいし………」


「ねぇ、君、どこから来たの?」と赤ん坊に聞くが、話せるわけはない。


「ねぇ、親を探すあいだ、ここで、育てましょうよ」


「でも、母乳は、どうするんだい?」


「それは、そうね、どうしましょう?」


「………そうだな、隣に相談してみるか?」


「!っ、、そうね、そうしましょう」と言って女性は、表に歩き出す。


そして隣の家のドアを叩く。


早くしないと、また泣き出すのを恐れたかのように………


ドアを叩きながら「ねぇ、ちょっと、いい?」


ガチャとドアが開いて、抱いている赤ん坊をあやしていた。


「どうしたの?」とちょっと眠そうな感じ。


「この子なんだけど………」


「ど、どうしたのよ?」


「それがね………」と女性が説明する。


「へ~、そんなことが?」


「うん、そうなんだ、それで、私、母乳出ないからお願いできない?」


「ええ、いいわよ」と言うと、隣の母親は、抱いているアリシアと俺を交換した。


「ここでは、なんだから中にどうぞ」と中へ招き入れてくれた。


アリシアの母親は、俺を抱っこしたまま、イスに座ると、赤ん坊に母乳を上げだした。


ちょっと、落ち着いた後、アリシアの母親から、「それで、この子、どうするの?」


「うん、それは、まだ、決めていないと言うか、見つけたのは、さっきだから

………」と考え込む。


「もしかして、他の村の人が捨てたのかな?」


「うん、それも、あるかもね」


「じゃ、村長さんに、そうだんしなきゃ」


「………それも、そうだけど、もし、親がいなければ………」


「いなければ?」


「私が、育てようかなって」


「えっ、ご主人は、良いっていっているの?」


「それも、今から、相談だわ」


「そうね、それも、いいかも、どうせ、親が見つかることはないと思うから、でも家の前に置いてあったって言っていたわよね」


「うん、そう」


「それも、おかしいわね」


「村には、門番がいるから、誰も入れないと思うんだけど」


「あっ、それも、そうね、簡単に誰でも入れれば、魔物が入り放題だわ」


「そうよね、おかしいわ」


「もしかして居眠り?」


「あり得るわね」


「なんにしても村長さんに言う必要があるわね」


「そうね、あら、赤ちゃん、お腹いっぱいで寝ちゃったわ」


そして、赤ちゃんのアリシアと、交換して抱っこする。


「ほんとうに、私が、育てようかしら」


「それも、いいかもよ、協力するわ」


「ほんとう、ありがとう」


「さっそく、村長さんのところに行ってみるわ」


「うん、それじゃ、私も行くわ」と二人して話しながら歩き始める。


村長のところにたどり着くと、ドアを叩く、「村長さん、ちょっといいですか?」


しばらくして、「なんだ、朝、早くから二人して………?」とドアを開けて言った。


と、俺のことを説明するが、村長は、「またか?」と言って怒りながら、歩き出す。


そう行くところは、門番のところ。


遠くから、「おまえら、また居眠りしていただろう」と怒っている。


「えっ?」と門番。


「お前らが居眠りしているから、人が出入りしたみたいだぞ」


「えっ、昨日の夜は誰も通っていませんよ」と門番。


「ほんとうか?」と疑いのまなざし。


「はい、昨日は誰も、通っていません」と門番の二人して言う。


「じゃ、どうして、家の前に子どこが捨てられているんだ?」


「い、いえ、そ、それは、自分にもわかりませんが、昨日は誰も通っていません」と女性が抱いている赤子を見ながら言う。


「う~ん、そうなのか?」


「はい、間違いないです」


「………そうなのか、それじゃ、どうするか?」と女性の抱いている赤ん坊を見る。


「あの、村長、よかったら、この子供、私が育てていいでしょうか?」と言い出す。


「………」チラッとアリシアを抱いている母親をみて「そうだな、お前が育てろ」と言う。


どうも、村長は、近くにいるアリシアの母親の協力を見込んだみたい。


そして、去り際、門番に向かって「いいか、居眠りするなよ」と言いながら、ブツブツ言って遠ざかって行った。


「よかったね」


「うん、これからよろしくね」と言いながら、家に帰る二人


それを見ながら、不思議がる門番の二人。


「おい、通っていないよな」


「ああ、昨日は村長の二番目が一緒にいたからな」


「おまえ、またか?」


「そのうち、殺されるぞ」


「なぁに、大丈夫さ」


「俺が叱られるようなことだけは、やめてくれよ」


「なぁに、イチャイチャしていても、目は開けているからな、大丈夫さ」


「本当に誰も、通っていないんだな」


「通っていないって」


「もう、交代で寝ているんだから、怒られるようなことはするなよ」」


「ああ、大丈夫さ」


二人は、家に帰ってきた。


ひとまず、アリシアの家では父親に説明する必要があるので、家に戻った。


そして俺の母親のエリーは、子供を家に連れ帰り男性に話す。


「ねぇ、子供がない私たちには、必要だと思わない?」


「えっ、どう言うことだい? まさか?」


「そう、そのまさかよ」


「はぁ~、まさか、急に父親になる日が来るなんて………」


「それじゃ、あなた、良いのね」


「ああ、しょうがない」


「わっ、やった、よかった、ねぇ、名前は何にしようか?」


「う~ん、そうだな………あっ、今、頭の中で閃いた」


「えっ、なに、なに?」


「えっとね、クリスって、どう?」


「クリス………クリスね、うん、いいわ、あなたの名前はクリスよ」と言いながら、はしゃいでいる。


その日から、母親のエリーには、大変な日が続いたが、アリシアの母親が、協力してくれて、子供用品を、お祝いとして用立ててくれた。


洗いたての服やおしめなども、急にいるものは、もらうことができた。


「使い古しで、ごめんね」


「ううん、気にしないわ」


慣れない子育てを始めて数か月がたち、すくすくと成長していった。


家が隣と言うこともあり、俺は女の子の服を幼少期は着ていた。


お風呂も、どちらかの母親や父親と一緒に入ることが多々あった。


成長とともに、子供二人で入ることも許された。


どちらかの家にお泊りすることもあり、一緒に寝ることもあった。


俺たちは姉弟みたいな感じで育った。


しかし、3歳、5歳と成長していくと、アリシアの方が、走るのも早いし、木に登るのも、上手だった。


そして10歳になった頃、村の外で遊んでいいと言うことが許された。


村の外には、大きな木がいっぱいあって登ることもできるし、浅い川があるから、川遊びができるようになった。


川では、泳いだり、魚を取ったり、川ガニを取ったり、丘を走ったり、競争したり、村の中ではできないような遊びができて、楽しかった。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

🍏 お読みくださりありがとうございます。


ブックマーク、❤️マーク、★マーク、評価も、感想も、小説を書く上で励みになっております。


誤字脱字がありましたらお知らせください、すぐに訂正を行っていきます。


この物語は異世界の物語です、空想の物語ですので混同されることがないようにしてください。


🍎 基本的に週末に連続で投稿していきますので、よろしくお願いします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る