第91話 スカートの中
「この金曜日っていうのは今週ですかね?」
「明後日か!日にちが無さすぎるのう。」
「こっちの身動きを封じるためですよね。」
「日にち指定されてないから来週の金曜日って勘違いしてましたで通じないかのう。」
「いや、犯人にそんな呑気な言い訳通じないだろ。」
「ここは一回、幸太朗と三谷くんに自首してもらって……。」
幸太朗はすかさず
「絶対やだ。無実だし。」
と拒絶してきた。当然か。
「本当にやってないですか?なんで盗撮犯だって申し出ろなんて。心当たりは?」
間中が幸太朗に詰め寄った。幸太朗は嫌そうに、
「夏の地方大会の試合、広報に載せる写真頼まれた写真部の助手で行った。」
言葉を選んで端的にゆっくりと話す幸太朗の釈明を聞くとこうだ。
夏の高校野球の地方大会に我が校が出る試合の写真を写真部が任されたらしい。ちゃんと公欠扱いになるのだが、その日一年生は学年レクがあり、そちらに出たいと一年生4人が騒いだ。ま、言わば、電車の写真を撮りに行くのでなければ食指が動かない連中なのだ。仕方なく二年生で部長の三谷くんが行くことにし、仲良し?の幸太朗に助手兼荷物持ちを頼んだらしい。三谷くんは凝り性だから、カメラ一つでは収まらないらしい。
決して盗撮はしてないのだが、疑われたのであればそれしか心当たりは無いという。
「「「うーん。」」」
幸太朗の話を聞いて私、細田、間中の三人は唸った。唸ったすえ、
「今日は疲れた。帰るか。雛ちゃんと餌、幸太朗持ち帰ってくれ。あと三谷くんに明日の朝、早く来てもらおう。詳しく聞こう。それでいいな。」
と決断を下した。間中が
「ちょっと待って下さい。理科室2だけ特殊鍵使います。荒らされたら、たまらない。」
というと私達を先に外に出し、中からドアにチェーン鍵を掛けた。私がゴミ集積所に行ってる間に勝手に取り付けたらしい。そして間中は、窓から隣の化学室に行き、化学室の鍵を閉めた。
「ちょっと待て、明日から化学室の窓から出入りしないとなのか?」
ゾッとした。窓の外はベランダというにはささやかすぎる出っ張りがあるくらいだ。
「大丈夫です。男子が開けますから。部長は辞めてくださいね。下からスカートの中身丸見えになります。」
したり顔でサラッと間中にスカートの中身と言われ、思わずスカートを抑えた。
「ナカミマルミエー」
雛ちゃん覚えないで!!
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