第89話 体育館脇ゴミ集積所
16時58分に体育館脇ゴミ集積所に出向いた。A1高校のゴミ集積所は大きめのプレハブ作りで扉を開けると中に分別してゴミを置くようになっている。
辺りを見渡すと剣道部の素振りラン3人組とバスケ部屈指の体格の良い4人組のランが目に入った。こちらを凝視しながら素振りランをしている幸太朗はかなり怖い。この
吸い寄せられるように扉を開けると、ゴミ収集がされたばかりらしくガランとしており、真ん中に教室の暗幕(黒いカーテン)に包まれた私の太ももあたりの高さのものがドンと置かれていた。
「如月!!」
私が中に入ってしまったので慌てたのであろう、幸太朗が飛び込んできた。
「大丈夫か!」
大丈夫もなんも。と口を開きかけた時
「キサラギ、ママ、」
と声がした。ハッとして慌てて暗幕を剥ぐと鳥籠がその中に雛ちゃんがそこにあった。
「雛ちゃん!」
「キサラギ、ママ、ママ」
バサバサと羽ばたきながら歓迎してくれた。
慌てて細田と間中にSNSを飛ばす。
『雛ちゃん無事。ゴミ集積所中』
「如月、こんなものが」
幸太朗に言われてスマホから鳥籠へ視線を戻すと封筒が鳥籠にガムテープで貼られていた。とりあえず現場写真を撮ってからその封筒を開けた。中には先ほどの脅迫文と同じような癖の強い字体でマジックで書かれた紙が入っていた。
『この事件の犯人は科学部の佐田幸太朗と写真部の三谷進だと申し出ろ。金曜日までに申し出なければ何が起こるか保証はしない。』
「三谷くんって進って名前だったんだ。」
「そこじゃないだろ!」
ついうっかり三谷くんのフルネームに気を取られていた私に突っ込みを入れながら幸太朗はこの事件として添えられていた紙の方をみていた。それはローカル新聞の小さな記事を印刷したものだった。
『A1高校のチアガール狙われる?盗撮被害に遭った疑い。』
「幸太朗、盗撮したのか?」
ちょっとショックだ。確かにA1高校のチアガール達は可愛いユニフォームだし、アイドルのような愛らしさだ。しかし盗撮とは彼女らの了解を得られぬような形で撮影をしたということである。
「俺してない。多分三谷もしてない。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます