第76話 毎月25日はプリンの日
「如月ちゃーん!科学体験会おつかれー」
今日は戸村先輩の訪問を事前に知らせてもらっていた。体験会が午前中で訪問が午後だから私が帰らないようにとの事であった。あらかじめ知っといたとしても寒気は生じるものらしい。
「毎月25日はプリンの日って知ってたー?プリンを食べるとニコニコだからだってー。そんなわけで今日はプリン!でも、蒸し器とかは面倒だからゼラチンで作るプリンよ!」
理科室4には間中と私が残っていた。幸太朗は剣道部に1時間顔を出してくるといい、細田はバスケ部だ。
「俺、頃合いみてバスケ部抜けてくるから戸村先輩と今日の手作りお菓子残しといてね!」
お菓子と同じ扱いの戸村先輩って。
「俺は体内時計で戻ってくる大丈夫。」
幸太朗の体内時計も怖すぎる。
そんな先程の会話を思い出しながら、戸村先輩のお手伝いだ。
買い物袋から牛乳、砂糖、卵、ゼラチンが出てきた。
「あー薬品庫からバニラエッセンス出してきてくれる?」
「へ?」
初耳だ。
「あら、知らなかった?卒業前に仕込んどいた自作のバニラエッセンスがあるのよ。あれ漬け込んで3ヶ月はかかるの。4ヶ月はたったからいい感じのはず。」
バニラエッセンス手作りですか。薬品庫を開けると確かに「戸村のバニラ2×××0301」と書かれた褐色瓶が存在した。
「卒業記念に漬けたのよー」
知りませんでした。
そして今日は中身が白い小洒落た片手鍋を持参してきたらしい。
「カラメルソースの色の変化がね、大事だから。」
だそうだ。あとは戸村先輩のクッキング専用ビーカーを出して、スパチュラを何本も束ねたやつ(泡立て器の代わり)、メスシリンダー、化学天秤などを並べていった。
「さあて、何個作ろうかしら?」
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