第51話 そこはメイド喫茶
理科室1にはコーヒーの香りが立ち込めていた。そして安田先輩が制服の上に白いフリフリのエプロンを掛け、頭にはヘッドドレス(メイドコスプレ等で頭につけるフリフリの飾り)を付け
「おかえりなさいませ、ご主人様」
戸村先輩を迎えた。
「おっ、コーヒーのいい匂い。」
それをスルーしてポップコーンとともにマスターのようにコーヒーを注いでいる髙山先生の元へ戸村先輩は向かい、私は
「「お帰りなさいませご主人様」」
とヘッドドレスをつけた間中と幸太朗に出迎えられた。
「お前たち、どうしたんだ?」
違和感たっぷりのヘッドドレスと学生服という組み合わせの間中と幸太朗に問うと、
「前回戸村先輩来訪を知らせるのを怠ったのと今回の知らせが遅かった罪によりメイド頭に強制されております。」
間中がかしこまって答えた。
「メイド頭って…安田先輩だな。てか今回事前告知あったのかい?」
「髙山先生の確保が必要でしたので、3日前ほど、科学部男子の会の方に連絡が。あ、如月部長の驚く顔が見たいとの戸村先輩ご要望により部長には知らせるわけにはいきませんのでご了承のほどをよろしく願います。」
つらつらと説明されて、押し黙っていると
「如月ちゃん早くーポップコーン!!冷めちゃう!」
という戸村先輩からのコールが。
そうして始まったカオスのお茶会の最中、
「髙山先生、もう1人来るので、コーヒー作ってもらってもいいですか?」
戸村先輩が言い出した。
「もう1人って誰ですか?」
と聞くと
「相井っての。元硬式テニス部部長。俺の小学校からの同級生。大学は違うけど。あいつTK大だし頭良いから。気になる情報持ってんだって。聞いてやって。」
シュボッ コポコポコポ
髙山先生がマッチに火をつけアルコールランプをコーヒーメーカーにセットする。そしてサイフォン式コーヒーメーカーが音を立てる。
「これカッコ良いですし、美味しいです。」
と安田先輩が髙山先生を褒めると、白髪頭の髙山先生は優しい笑みを浮かべ
「はーどっこいしょ」
と腰を落とした。先程継ぎ足した自分のコーヒーカップに口をつけ
「うまー生き返る」
幸せそうだ。ん?
「あれ、髙山先生、最近、インコの雛ちゃん預かりました?」
思わず聞いてみる。
「あ、坂本先生が、出張の時は預かってますよ。」
なるほど。
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