第52話 相井先輩

 硬式テニス部に顔を出してからやってきた相井先輩とは日に焼けた戸村先輩という感じであった。


 新たに増えたメンバーとともにコーヒーとポップコーンでのメイド喫茶のひとときを味わった。コーヒー茶碗等は洗って後始末をしてくれるというメイド達を置いて私と相井先輩、戸村先輩は数学班に行くことになった。


「これを見せたくてな。」


と相井先輩が見せてくれたのはSNS画面のスクリーンショットであった。


『地獄を見せてくれたやつに地獄を。呪われ破れ壊れ消され火を吹きガラスが突き刺さる。骨ばかりとなった身体が壊れて終わるがいい。』


「随分、物騒な詩?ですかね。」


当たり障りなく感想をもらすと、


「これは今は消されているんだが、テニス部の後輩、今の三年の奴のSNSの呟きなんだ。」


と言いながら、相井先輩が共有してくれるとの事なので、そのスクリーンショットを頂いた。


「俺が気づいたのは文化祭の2日目だったんだが、この呟き自体は文化祭の前々日なんだ。その後暫くしばらくして消されている。」


そう言われてその呟きをもう一度読むと心当たりがありまくりだ。


「うわ〜。」


と思わず口を両手で押さえると、


「やっぱりなんかあったんだな!」


相井先輩が机を拳でダンッと叩いた。


「この人の名前を教えて頂いても良いですか?あと何故、これを相井先輩が気になさったのかも知りたいです。」 


問えば、相井先輩は戸村先輩が差し出したメモ用紙に名前を記入してくれた。てか、戸村先輩、理科室2に入ると俄然がぜん、科学部員に戻りますねぇ。


 相井先輩が再び口を開こうとすると突然理科室2の扉が激しく叩かれた。


「如月ー」「戸村先輩‼︎‼︎‼︎」


「やっば。密談の時のくせで鍵閉めてた。」


 戸村先輩が、慌てて鍵を開けると、元メイド達がゾロゾロと入ってきた。


幸太朗は亀と鹿の間に、安田先輩が四つあるキャスター付きの椅子の最後の一つを強奪して戸村先輩の隣りに陣取ると、間中は仕方なく実験机から椅子を引き出してきて座った。


「で、鍵なんか閉めて何話してたんです?」


安田先輩の妙な圧にたじろいで、戸村先輩と目で相談をしていると、安田先輩は相井先輩が持っているメモをさっと獲り、聞いてきた。


「鈴木一真がどうかしたの?」


 







 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る