第50話 訪問者 6/24(木)放課後

 「如月ちゃん!UFOだよ!ゆっほっ!」


放課後、数学班で静かに事件整理をしようと籠っていると、寒気がして、案の定、戸村先輩が買い物袋片手にあらわれた。しかも気狂った科学部部員として想像されがちなセリフとともに。


「あの、 UFO出たんですか?」


とりあえず受け入れようと聞くと、


「今日はUFO記念日なんだってー。初めてUFOが発見された日!で、コーヒー皿みたいな物体だったって言うから、物理の髙山先生のあのコーヒーを飲むがてら、お菓子でもって。」


「はい。それで、」


「手伝ってー」


今日のお菓子作りとはポップコーンであった。フライパンタイプというのだろうか、アルミの皿に手がついていてガスで作るタイプのを3つほど袋から出すと、戸村先輩はガスバーナーを用意した。


「同時に作りたいんだー。2つはできるけど、さすがに3個は厳しいからさ、そっち如月ちゃんね。」


と一つ渡される。塩味。


「あのね、あとは醤油味とキャラメル味。レンジタイプじゃさ、理科室で作れないじゃん。これ探してたら、3種類あったから思わず買っちゃったー。理科室はいっぱいガスバーナーあるんだからさ、同時にやりたいじゃん!せーのでいくわよ。如月ちゃん手順大丈夫?」


「ほらー膨らむ過程がさ、UFOみたいじゃん。銀色だしー」


戸村先輩は上機嫌である。ポップコーンのポンポンと小気味いい音と3種の匂いの混じり合いはなんとも豪華だ。


「できたら、さあ、このまま理科室1(物理室)へゴーよ、ゴー」


あれ?準備室ではないのか?と思いながら、ついていくとそこはメイド喫茶だった…。

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