第53話 聖都
聖王国の首都、聖都は糞でかい。
人口は200万にも上り、街は第一から第四までの4つの区画に分かれていた。
街の中心地となる第一区画には、聖王関係者や上位の神職者達が住まい。
その外側にある第二区画は催事などの神殿区画になっていた。
そして更ににその外側、第三区画には神職や金持ち等の富裕層が居を構え。
第四区画からが一般人の生活圏となっている。
「しかし……首都がこれで平等とか。建前隠す気あんのか?」
区画と区画の間はそれぞれ壁によって遮られ、通行も制限されている。
特に第四と第三の間はそれが顕著であり、塀の高さは軽く3メートルは超えていた。これは明かに一般人と上流階級を隔てる壁となっている。
因みに、今俺がいるのは
聖都において区画は4つ迄しかないとされているが、実は5つある。
所謂、
何故スラムが無視されて、区画が4つ扱いなのかというと。
それは平等を謳っている国の首都に、貧民街があるのは宜しくないという単純明快な理由からだった。
都合が悪いから認めない。
本当によくできた平等だこと。
「さて、どうした物か……」
冒険者ギルドは第四区にある訳だが、哭死鳥の拠点はどう考えてもこのスラム街にある可能性が高い。
先ずは冒険者ギルドへ向かい、ある程度情報を仕入れるか。
若しくはスラムで聞き込みを進めるか。
どちらにするか、現在絶賛迷い中だ。
「哭死鳥の名前で堂々と聞き込みしたら、向こうから接触してくるかな?」
「名案かと思います」
ポーチは基本イエスマンだった。
俺が何を言っても、素晴らしいとか、父上がおっしゃるのなら間違いありませんとかしか返ってこない。
こういう相談は悪知恵の周るベーアの方が適任なのだが、彼女は屋敷でお留守番をしている。
本当はポーチ方に番犬宜しく、お留守番を頼むつもりだったんだがな……
「面倒くさいから行きたくないべ」
byベーア。
「私がお供を致します」
byポーチ。
という流れで、聖王国にはポーチと二人だけでやって来ているという訳だ。
屋敷への再度の襲撃を考えると、3人で向かう訳にもいかなかったのでしょうがない。
「取り敢えず、先に冒険者ギルドに向かうとするか 」
此方の動向は相手の
だから一々宣伝する様な真似をしなくとも、放っておいても向こうから何らかのアクションを起こしてくる筈だ。
どうせ素人の聞き込みで拠点を特定できるわけも無いだろうしな。
そんな
取り敢えず情報集めは、仕掛けてきた奴を拷問して引きだすのが1番無難だろう。
という訳で。
暇潰しとレベル上げを兼ねた狩りの為に、まずは冒険者ギルドに向かう事にする。
「聖王国、信じてるぜ!」
俺はそう呟き、ぐっと拳を握り込む。
ダリア王国の王都にあるギルドでは全て――3か所ある――ガリガリの出がらしだったり、ボンレスハム型の魔物みたいな受付嬢しかいなかった。
だが俺は信じる!
この聖王国で、おぱーいの大きな受付嬢に「凄いです!」ってバインバイン揺らしながら絶賛されるラノベ展開を!
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