第25話 変異を求めて
カオス。
それは乳神様が用意してくれた俺専用のユニーククラスだ。
神が態々用意してくれただけあって、最上級職の中でも頭一つ二つ抜けた強さを持っている。
基本的に、上位のアンデッドは戦闘能力が高い傾向にあった。
但しその分弱点も多い。
ヴァンパイヤや死霊系の持つ、強烈な光弱点なんかがいい例だろう。
つまりアンデッド系のその強さは、
しかしこのカオスというユニーククラスには、弱点らしい弱点が見当たらない。
その上で上位アンデッド特有の強力な能力まで有していた。
つまり滅茶苦茶強いのだ。
流石乳神様の考えた“私の考えた最強クラス”だけはある。
弱点があるとすれば、それまでにはなかった痛みがそれにあたるだろう。
どうも種族が死者と生者の中間扱いらしく。
そのお陰で各種弱点が消え、代わりに痛覚が発生してしまっている――それでも通常の生者に比べれば大分ましな方だが――様だった。
お陰でこっちは貴重なスキルポイントを消費して、取る予定の無かった痛覚鈍化を取る羽目になってしまっている。
「ま、強いからいいけどね」
冗談抜きでカオスは強い。
ちょっと試しにベア子とポチ相手に軽く手合わせした所、2体同時相手でも俺が勝ってしまうぐらいだ。
まあポチとベア子は獣系の最上級職だから、そこまで戦闘特化したクラスではないというのもあるが――獣系はどちらかというと、探索といった特殊な能力に優れている傾向が強い。
だがそれでもこの強さは破格だ。
草原を歩いていると、俺達の姿を見つけた魔物が凄い勢いで逃げていく。
ごつい最上級モンスターが3体も並んで歩いてるのだ。
至極当然の反応だろう。
但し、逃げていくのは魔物だけでは無く人間も同じだ。
アンデッド系よりかは匂いやヴィジュアルがましになったとは言え、この状態じゃいくら強くてもガールフレンドなど出来ようはずもない。
やはりモテモテ計画には変異が必要不可欠だ。
「ワオ!」
「ポチが城を見つけたそうだべ」
ポチの吠えた方に視線をやるが、特に建物は見当たらない。
とは言えポチが嘘を吐くとも思えないので、きっと鋭い嗅覚で匂いを嗅ぎつけたのだろう。
俺達は今、乳神様から貰った情報――俺はこれを乳ペディアと呼んでいる――を元に、ある城を目指していた。
そこの地下にあるお宝を手に入れる為である。
狙うは亜人の心。
これはポチやベア子を亜人種に変異させるのに必要なアイテムで、それがこの先の城の中にあるそうだ。
ふふふ。
遂に……遂に初のガールフレンドが見えてきた!
まあ俺用の悪魔の血を入手する為には、最上級クラスの2匹の力が必要不可欠だから変異はまだ先になるのだが。
それでももうひと踏ん張りだと考えると、胸が高鳴り小躍りしたくなる。
――というか小躍りした。
「何やってるべか?」
「気にするな」
俺はテンションMAXで城を目指す。
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