第23話 カオス
カオス。
それはアンデッド系、最上級クラスの一つだ。
リッチとレイスの進化系に当たる訳だが、正直今一よく分からない謎のクラスだった。
その見た目は筋骨隆々の茶色い体をしており、額からは二本の角が生えている。
手足の指から生えた爪は鋭くとがり、更に背中には蝙蝠の翼の様な物が備わっていた。
ハッキリ言って、アンデッドぽくない。
どちらかと言うと悪魔系の見た目だ。
まあヴァンパイアなんかもアンデッドっぽくはないんだが……但しそれは見た目だけの話で、あっちは中身ゴリゴリのアンデッドである。
それに比べ、カオスは能力もアンデッドぽく無かった。
まず日の光による弱体や、聖属性といった弱点が完全に消えている。
更にステータスの耐久力の表記が、アンデッド特有の
「おおお、随分かっこよくなったべや」
ベア子が俺の姿を褒める。
そう、俺はレベル60に達し念願の最上級職へと進化したのだ。
それがカオス。
「ワオワオーン!」
「ポチが美味そうって言ってるべや」
それりゃまあ、アンデッドアンデッドした以前までの見た目よりは美味そうではあるだろう。
まあ一応誉め言葉として受け取っておく。
「確かに上手そうだべ。どれ一齧り」
「いってぇ!!」
ベア子が齧りついた瞬間、腕に痛みが走る。
久しく忘れていた感触に、俺は思わず大声を上げてしまった。
つうか、アンデッドなのに何で痛み?
「あいだ!あいだだだだ!」
人が痛いつってんのに、ベア子は俺の腕をガジガジ齧り肉を引き千切りやがった。
こいつ、容赦がないにも程があるだろ。
見ると、傷口から青い血が垂れていた。
痛みに血とか――青いけど――益々アンデッドぽく無いな。
「おお、こりゃ美味い。ポチも食べるべや」
「いやいやいや!ちょっと待て!痛いっつっただろうが!」
当たり前の様にポチに勧めるので、思わず待ったをかける。
「ん?アンデッドなのに痛みを感じるだべか?」
正直、肉を噛み千切られた割にはそこまでの痛みはない。
感覚が鈍いのか、もしくは何らかの耐性があるのだろう。
しかし痛いもんは痛い。
他に食う物がないならともかく、そうでもないなら勘弁してほしい所だ。
「ああ、どうやら特殊なクラスっぽい」
個人的に痛みなんて100害あって1利無しなのだが、ステータスを見る限りかなり強い様だし我慢するとしよう。
そうだ、この際ユニークスキルをスキルポイントで消費して取るのも悪くはないな。
こういう時の為に無駄遣いせずため込んで来たのだ。
ここはある程度放出して、ユニークスキルの痛覚鈍化を習得する事にする。
「あいたぁ!」
急に、足に刺すような痛みが走る。
見るとポチが俺の太ももをガジガジしていた。
刺さった牙は骨まで達しているのか、バキバキと大きな音を立てている。
「何やってんの!?ポチ!?」
「ヴァウ」
「ベア子だけずるいって言ってるべ」
焼き餅か。
やれやれ、持てる男は辛いぜ。
って、格好つけてる場合じゃないな。
やっぱ結構いたい。
俺は可及的速やかに、痛覚鈍化を習得するのだった。
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