ハーレム目指して本格始動

第22話 最上級職

「ふんぬ!」


ベア子が雄叫びと共に、大岩の様な亀の突進を正面から受け止める。

ドゥン!と重々しい音が響き、彼女の足が地面にめり込んだ。


パワーとパワーのぶつかり合い。

正に怪獣大決戦と言っていいだろう。


巨亀ランドタートルとベア子のパワーはほぼ互角。

一対一なら勝負の付かない泥仕合に突入する所だが、此方は3人(?)だ。

ベア子が敵の動きを止めた時点で、俺達の勝ちは確定している。


「ワオ!」


ベア子の背後に控えていたポチが亀の後ろに回り込み、その尻尾の付け根に噛みつく。

但しこれはダメージを与える為の行動ではない。


ポチは咥えた尻尾を、首を大きく振ってひっくり返そうとする。

それに合わせて、甲羅の下側に爪を引っかけていたベア子も腕を返した。


「ぐぅええぇぇ」


綺麗にひっくり返された巨亀ランドタートルが手足をばたつかせ、呻き声を上げる。

そこに俺が容赦なく魔法を叩き込んだ。


Gグレートサンダー!」


亀の上に魔法陣が現れ。

そこから激しい雷が落ち、その体を貫く。


「ギュアアァァ」


流石上級モンスターだけあってタフだ。

魔物は苦しげに呻くが、致命傷には程遠い。

俺は続けて魔法を叩き込み続けた。


やがて魔物は動かなくなり、経験値が入って来る。

上級モンスターは1匹でかなりの経験値が稼げて美味い。

まあその分、リスクも高くはあるが。


「レベル上がったべか?」


「ああ」


「んだば」


そう言うと、ベア子は俺を押し倒し齧りついて来た。

愛情表現の甘噛みでは決してない。

殺意の籠った本気の攻撃だ。


あ、別に腹を立てて襲って来た訳ではないぞ。

これが俺達のレベル上げなのだ。


上級モンスターは気軽に狩るのが難しいため、止めは俺がさして経験値を稼ぐ。

そしてレベルが上がったら、今度はポチ達が俺を狩ってレベルを上げる。

俺が実質不死身だからこそできる、効率の良いレベル上げだ。


勇人先生って言ってくれてもいいんだよ?


20回程殺された所でベア子に異変が起きる。

彼女の毛が黄金に輝きだし、額から宝石の様な透き通る美しい角が生えてきた。


遂にレベル60に到達したのだろう。

そう思い、Eチェックで確認するとクラスがゴールデンベアに変わっていた。

これでベア子は晴れて最上級モンスターの仲間入りだ。


「おお、こりゃ凄いっぺや」


彼女が腕を振るうと俺のLC(HP)が一撃で0になる。

後衛タイプとはいえ、上級職の俺をワンパンとか……最上級職恐るべし。


「これならどんな相手でも、どんとこいだべや!負ける気がしねぇ!」


テンションが上がってかベア子は辺りを走り回り、そしてすれ違いざまに俺をワンパンしていく。


何がしたいんだこいつは?


「嬉しいのは分かるが、少しは落ちけよ」


「あ、いやー。つい興奮してしまったべや」


別に痛みはないから別にいいんだが、まだポチのレベルアップが残っている。

喜びの舞は後にして貰おう。


「さ、次はポチの番だ」


「ウオーン!」


ポチが俺への攻撃を開始する。

程なく彼女はレベルが上がり、銀狼シルバーウルフへと進化した。

灰色がかった毛並みは鮮やかな銀色に変わり、美しく幻想的な姿へと変貌する。


俺は思わずその姿に見惚れてしまう。

これは確実に、亜人化した時の姿に期待が出来るという物だ。

そう思わせる程に今のポチは美しい。


「よし!」


俺は自分の両頬を張る。

俄然やる気が出てきた。

残すは俺のレベルアップだけだ。


ハーレム計画の折り返しもそろそろ見えてきた。

俺は張り切ってレベル上げを続ける。

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