第5話 乳神

駄目だ。

狩りにならない。

地面に寝そべりながらそんな事を考える。


どうやら昨晩のエロい双子が俺の事を他の冒険者に話してしまった様で、いつもの狩場には人が溢れかえっていた。

まあ溢れているってのは流石に大げさだが、普段は全く人影を見かけない夜の湿地にちらほらと人影が写る。


倒れている俺に無情にも斧が振り下ろされ、俺の頭が転がり落ちた。


「おっしゃあ!レベルアップ!!」


首ちょんぱされた俺のすぐ横で、髭マッチョの親父が斧を振り上げて雄叫びを上げている。

だがあんたのレベルアップはここまでだ。

誰がリポップしてやるものか。


可愛い女の子ならともかく、キモイおっさんに経験値をくれてやる趣味はない。


ほとぼりが冷めるまでリポップは控えるとしよう。

とはいえ、この状態でいられるのは72時間が限界だったりする。

それ以上時間がたつと、強制的にその場でリポップさせられてしまう。

完全に嵐が去るのを待つのは無理そうだ。


潮時か……

良い狩場だったんだけどなぁ……


リポップしまくるユニークスキル持ちは激烈に上手い。

一旦その噂が広がると、延々粘着され続けるのが目に見えている。

此処に留まったのでは冒険者けだもの達の良い餌になり続けるだけだ。

仕方がないので、人のいなくなるタイミングを見計らってここを離れるとしよう。


しかし右も左も分からないこの世界で、次の当てなど当然なかった。

乳神様が出てきて俺に良い狩場教えてくんないかな?


そんな淡い希望を抱いて、俺は眠りに就いた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「……」


良い乳だ。

その余りの魅力に目が釘付けになる。

揉むのは流石に無理にしても、ツンツンぐらいさせてくれないだろうか。


「駄目よ」


バッサリと断られる。

夢も希望もあった物じゃない。


……しかし見れば見る程本当に良い乳だ。


程よい爆裂巨乳具合に、張りのある美しい形。

それを布面積の少ないマイクロビキニが見事に引き立てている。

これに触れられるんなら、もう死んでもいい。


……まあもう死んでるんですけどね。


「あんた本当に胸が好きねぇ」


はい、大好きです。

好きすぎて、次生まれ変わるならおっぱいが良いとさえ思える程に。


「おっぱいは生き物じゃないわよ。てか……胸になったら自分じゃ見たり触ったりできなくなるけど、あんたそれでもいいの?」


やっぱやめておきます。

触るのはハードルが高くとも、せめてこの目で楽しむぐらいはしたいので。

後、よくよく考えたら女の子にもモテたいし。


「胸ばっか見てたら、絶対女の子にはモテないわよ」


本能を大事にしつつも願いを叶える。

その為のインキュバス。

正攻法では無く、淫魔になって搦手からめてで頑張っていく所存であります。


「ま、別にいいけどね」


乳神様がテーブルに頬杖を突いて、溜息を吐く。

その際の僅かな胸の動きが俺の心をときめかす。

あー、挟まりたい。


「で、今の狩場だと狙われまくるから場所を変えたいと?」


その通りオフコース

何故だかユニークモンスターがあそこにいると噂になっている様で、狙われまくって困っています。


「何故だかも何も、あんたが「レベリング道場だ!」つって調子乗って双子に狩られまくったせいでしょ」


おっぱいがプルンプルンしてたんです。

避け様のない不幸でした。


「いくらでも避けようはあったと思うけど?まあいいわ。西の森に向かいなさい。人は殆どより付かないし。生息している魔物も基本弱いから、あなたでも問題なく倒せるはずよ」


ありがとうございます。

お礼に肩でもお揉みしましょうか?


「あんた後ろから私の胸を眺めたいだけでしょ?そう言う不純なのはいいから」


乳神様がしっしと、まるで虫を追い払うかの様に手を振る。

ゾンビである俺を虫扱いしてくれるとは良い人だ。


ん?

だって普通、虫よりゾンビの方が嫌でしょ?

完全にG以下よ。

ゾンビは。

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