第3話 ステータス

ステータスにはざっくりと7つの項目がある。

HP(LC)、スタミナ、MP、パワー、スピード、マジック、そしてラックの7つだ。


HPはヒットポイント。

御馴染み生命力を表す能力で、俺達アンデッドの場合はこれがLCロストカウントと表記される。


消滅へのカウントダウンって奴だ。

まあアンデッドには生命なんて無いので、表記が違うのは当然と言えば当然だった。


因みにHPは70%も減らされると、殆ど動けなくなるらしい。

両手両足をへし折られた状態と言えば分かりやすいだろう。

普通に考えれば痛みで動けたものではないし、動けても最早戦いにはならない。


一応痛みを抑える方法は色々とあるので、必ずしも戦闘不能とは限らないが。


その点アンデッドは痛みを感じないのが良い。

この特性お陰で、俺はリポップのスキルをフル活用できていた。


……まあそう考えでもしないと、やってられないだけだが。


次にスタミナ。

体力、持続力と呼ばれ、HPの回復にも影響する項目だ。

無いとすぐにへばる。

冒険とかするのなら、できるだけ多い方が良いだろう。


因みにアンデッドは基本疲れ知らずだ。

だがそれは疲れを感じていないだけで、持続力が無限という訳ではなかった。

むしろ回復能力が無いので、ある時突然限界が来て動けなくなったりする。


LCといいスタミナといい。

この世界、ちょっとアンデッドに厳しすぎない?


MPはマジックポイント。

魔法版のスタミナみたいなものだ。

これが無くなると魔法が使えなくなったり、魔力を消費する系のスキルも発動できなくなる。

魔法使いなんかはMPが尽きると案山子状態になり兼ねないので、気を付けよう。


アンデッド系にも魔法を使える種類はそこそこいるのだが、少なくとも今の俺には使えない。

よって現状では死にステ。


パワー。

皆大好きレベルを上げて物理で殴る。

あのパワーさんだ。


重い物を持ち上げたり、敵を殴ったり切ったりする時に影響する項目であり。

今の俺にとっての最重要ステータスと言っていい。

高ければ高い程敵を倒すスピードが上がるからな。

がんがん上がって欲しい所だ。


後これが高いと耐久力も上がるっぽい。

リポップ持ちのゾンビである俺には、正直どうでもいい事ではあるが。


スピード。

高ければ高い程動きが素早くなる項目だ。

これが高いと手数なども増えるので火力にも直結し、更に回避能力や詠唱速度にまで影響する重要ステータスとなっている。

足の速さも上がる為、ある意味パワー以上にがんがん上がって欲しかったりも。


だってゾンビって動き鈍いんだもん。

正直、今の動きはもどかしくてしょうがない。


マジック。

魔法に関するステータスだ。

魔法版パワーで、これが高ければ高い程魔法の威力が上がる事になる。

その他にも、MPの回復速度や魔法に対する抵抗力にも影響がある為、戦士系にも存外重要なステータスとなっていた。


因みにゾンビは一部の例外を除いて、魔力は糞低い。

というか0だ。

多分成長率も。

その為、弱点の炎魔法を喰らったりすると瞬く間に燃え尽きてしまう。

本当に何から何まで不遇過ぎる。


まあ仮に抵抗力が上がったとしても、弱点が消えるわけではないので所詮焼け石に水ではあるのだが。


そして最後はラック。

数値化されても効果が実感し辛い、ふわっとしたステータス。

一般的には運気が上がり、幸運に見舞われる確率が上がるとされているが、実はちょっと違う。

その効果はずばり、レベルアップ時のステータス上昇率を上げるというものだ。


適応範囲が狭すぎるって?


まあ確かにそうだね。

でも冷静に考えて、自分の運気が周りの状況に大きく影響を与えられる筈なんてないよね?

あくまで自分自身のステータスなんだし。


まあ適応範囲は狭いが、自身のステータスをブーストしてくれる分けだから、何気に最重要ステータスである事は間違い無いだろう。

因みにラックは1上がる度に全ステータスの成長率が1%上がり、100で約二倍になる。


但しこれは乗算であるため、元々の上昇率が0の場合、2倍になっても0にしかならなかった。

つまりどんなにラックが上がっても、只のゾンビである俺の魔力は0のままという事だ。


まあ俺は別に30歳童貞まほうつかい目指してないからいいけどね!


んじゃま、最期はステータスを大公開と行こうか。


クラス:ゾンビ

Lv:8

LC:17

MP:0

パワー:10

スピード:2

スタミナ:4

マジック:0

ラック:1


総合値:34


うん、我ながら酷いステータスだ。

駆け出しの冒険者でも、きっともう少しましなステータスをしているだろう。

まあパワーが伸びてくれているのだけが救いだな。


因みにこちらが初期値――


Lv:1

LC:10

MP:0

パワー:3

スピード:1

スタミナ:3

マジック:0

ラック:0


総合値:17


――どう?酷いだろう?

余りにも弱すぎて、最初のゾンビを狩るのに半日かかったのは今では良い思い出だ。

といってもこっちに来てまだ1月も立ってないから、思い出って程でもないが。


ああそれと、レベルアップ時に上がる能力はランダムだ。

勿論完全なランダムではない。

各ステータスには成長率が存在していて、その確率に添って成長していくシステムになっていた。


その為同じクラスでも、運次第でとんでもない能力差が出来てしまったりする事もある。

特にゾンビになんかは成長率が低すぎて、そう言うのが出やすい。


因みに成長率に関しては、クラスと個体の素養で決まる様だ。

とは言え、素養の部分は余程天才とかでもない限り誤差と言って差しさわりないだろう。


さて、夜明けまではまだ少しあるが、今日はレベルが一気に上がった事だしもう帰って寝るとしよう。


俺のねぐらは湿地の中央付近にある。

湿地の外側はたまに冒険者が来てうざいので、彼らが入り込んで来ない中央付近で俺は眠る事にしていた。

その方が落ち着いて眠りに就く事が出来る。


魔物の強さはワンランク上になってしまうが、どれもノンアクティブな為、間違って攻撃しない限りは安全だ。

まあ正確にはノンアクティブではなく、単にゾンビに対して興味ないだけなんだけどね。


流石に、腐ったゾンビを好んで襲って来る魔物は少ないからな。

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