第67話 ほやほや

 頭が痛い。

 二日酔いよ。

 ジユイゲ星の人間たちのせいで飲みすぎたわ。


 あの星の人間たちは、生まれ変わて、みんな仲良く平和に暮らしている。

 もう変な芸術活動はしないで欲しいわね。


 そして、また辞令が出て、管理する星を変更することになったのよ。


 ただ今回は、ちょっとおかしいのよ。


 星のある場所の情報しか教えてもらってないの。


 普段は人間の文明レベルとかも教えてもらえるのに、今回は星の名前さえ分からないのよ。


 どういうことなの?


 もしかして、危険で問題だらけな星なの?

 今までも相当アレだったのに、それ以上の星があるの?


 なんだか恐ろしくなってきたわ。


 まあ、でも、怖がってばかりはいられないし。

 とりあえず、調べてみましょうか。



 え?


 これは?


 生まれたばかりの星?

 出来立てほやほやの星なの?


 大きさとか公転軌道などは、コーンカツ星とよく似ている星ね。

 周囲に月と太陽もあるから、きっと生物が住める星になれるわ。


 なるほど、そういうことか。

 情報がまったくなかったのは、これが理由だったのね。


 ということは、今回の仕事は、ここに新しい生物を作れってことなのでしょう。


 やりがいがありそうね。

 まさに神って感じの仕事と言えるわ!


 やる気がみなぎってきたわ!!

 ここを宇宙最高の星にしましょう!!


 まずは何をしましょうか?


 そうだ!


 まずは、この星に名前を付けましょう!!


 名前なしは不便だからね。


 よし!この星はミャリュエル星と名付けましょう!!


 神(見習い)の名前を付けてもらえるなんて、繁栄すること間違いなしね!


 素晴らしい名前だわ!



 さあ、次は生物を作るわよ!


 まずは人間を作りましょう。


 神の力よ。

 ミャリュエル星に人間を誕生させなさい!!

 この私のような、素晴らしい人間よ!


 よし!成功したわ!!


 さて、さっそく人間の様子を見てみましょうか。


 え!?

 これは!?


 し、しまった!!



 生まれた瞬間。

 人間は全滅した。


 誕生したばかりの星は、温度が千度以上のマグマに覆われているからである。



「やっちまったーーー!!!」


 せっかく生まれた人間たちが全滅してしまった。


 どうやら気が急いてしまったみたいね。

 人間の暮らせるような環境を整えていなかったわ。


 痛恨のミスね。

 申し訳ないことをしてしまったわ。

 反省しないとね。


 では、改めて環境を整えましょう。



 う!

 こ、これは殺気!!


 いつの間にか私のそばに、いつもの鬼がいた。


 あぁ、どんなに反省しようとも、おしおきはされるのね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る